84.夜想の曲〜夜を共に明かしませんか?〜(149.
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柚紀達が本部基地の屋上に到着した頃には周囲は暗くなり、星が見え始めていた。隊員の活躍もあって敵の数が大分減り空を見上げる余裕も出始めスナイパーの誰かが「凄い!満天の星空だー!!ってえっ?!…ねぇ誰か今、流れ星が見えた気がしたけど見た人居る?!」と口にしたので反射的に柚紀が空を見上げ無意識に言葉を口にする
- 見上げた空……星達の、光 -
❲ん???……あ、アレ??…歌、終わったよね?だけどさ…………"一部の隊員の数値が上昇してる"んだけど。えっ?……な、何でか分かる??柚紀ちゃん、市河ちゃん❳
「!………それ、本当ですか宇佐美先輩?でも鶴ヶ峰は歌ってないですよ?よく分からない意味不明な事を口にしてぼんやり空を見上げてはいますが」
❲(カタカタ、カタカタ……カタ)あ〜、……多分【終わりますって宣言していないのと、無意識に口にした言葉がユズちゃんが覚えている若しくは聞いたことがある曲の歌詞…フレーズなんじゃないかな?】それを同じく聞いたことがある人・知っている人の性能上昇効果に繋がった。こんな感じかな?ってな訳で……(カタカタカタカタカタカタ…ダン!)あ、見つけた。この曲だね!ユズちゃ〜ん、現場からアンコールが来たからもう一曲お願いしまーす!!で、今度はこんな曲如何かな?❳
『ふへッ?!あ、アンコール!!?えっと……………ぅ、うん。
こんな感じで三度(四曲目)の歌に突入する。これに対して"確か歌は一日三曲までじゃなかった?"と時枝と菊地原がシロに訊ねるが【黒トリガーのお陰でトリオン能力も飛躍的に上昇しているし、屋上とは言えど基地に居るから大丈夫】と返答。これとは別に柚紀の不安げな思考を聞いた佐鳥とフブキから"今から柚紀が歌う曲の歌詞とメロディが知りたい"と請われ、シロにより頭に知りたい内容が強制的に叩き込まれる。本来ならかなりの無茶な行いだが、二人が知りたがる理由を受信していたのでこれを甘んじて受け入れ、時折歌に参加したのであった
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そしてアンコールが終わる頃には敵の殲滅及び"市内全域に転がっていた死体が鈴に姿を変えた"と報告を受け、ホッと安堵した柚紀がその場に座り込む。それを見て「大丈夫?」「お疲れ様」「眠くない?疲れてない?」と周囲から声が掛かる中、一本の通信が入る。相手は……
《皆ご苦労だったな、これで山場は超えた筈だ。が……今夜は現場もオペレーター達も警戒態勢を強めるべきだろう。交代しながら各自役目に勤めてくれ。現場の指揮は歌姫及び東に一任する、忍田さんと一部の隊員は念の為に警戒・放置区域外にて見回りを頼みます。オペレーター及び機械・システム関連はヒナと開発部門メンバーを中心に警戒と対策やシステム回復を頼む》
❲別にコッチは構わないけどさ言実、……ソッチはどうなの?調査進んでる??❳
《………微かにだが痕跡は見つけた。コレから迅のサイドエフェクトをフル活動させて"サイアクを防ぎに動く"。それに集中するが故に連絡が疎かになったり応答しなくなるやも知れぬ。だから………寂しがるなよ柚紀、終わった必ずお前の元に帰るからな》
❲だからそれまで出来る限り起きててくれたら俺は嬉しいな〜。だって"今柚紀ちゃんが寝たら数日は目覚めない未来が確定している"からね。起きていきなり俺が居たら吃驚するでしょ?以前寝ている間に居なくなっても取り乱したしさ。それに……今日なら起きてるだけの"ネタ"には困らないだろうから大丈夫だよ。ってな訳だから俺達が戻るまで柚紀ちゃんを頼んだよ皆❳
未だに調査中らしい言実と迅からの通信であった。そしてトリオン体故にいつの間にか十二月となり日夜徐々に寒くもなってきたが外に居ても問題ないとの事で、夜の天体観測をしつつ色んな人との会話タイムとなる。何故そうなったかと言うと………
『………お〜!また流れ星だ〜!!そう言えば今日って流星群見れる日とか来馬さん辺りが言ってたっけ?"町中は明るいからあんまり見れないだろう"って諦めてたけど、……不幸中の幸いって言うのかなコレ』
「かな?…どうやら敵の襲撃のせいで電柱が倒されたりして"街全体が停電状態"みたいだね。基地だけならトリオンを使って発電出来るらしいけど、テロや襲撃による後始末にも色々使ってるみたいで最低限の光源しか付いてないからかなり薄暗かったし………これなら無理して中に入る必要ないね、トリオン体なら寒くないし!!」
「(パサッ)でも見た目的には柚紀さんは薄着にしか見えないから毛布羽織っていてね?後、飲み物や食べ物も持ってきたから摂取しないとトリオン切れになるから気をつけてよ?」
『あはは、うんお気遣い有難うね時枝くん。後さ、……佐鳥くんが"今夜一緒に夜更ししないか?"って聞いた理由ってもしかしてコレを見る為だった??(コテン)』
いつの日か迅がくれた休憩セット(柚紀はスカートの長さを考慮して椅子に座っている)を用いて、任務当番以外の人が柚紀達同様流れ星を見つめていたのだ。……窓がほぼ無い建物内にて、電気が十分に使えない空間は意外とホラースポット状態で不気味であり、トリオン体なら夜更ししても多少は無茶が出来るし今は"敵襲に備えて警戒をしている"と免罪符があるので、柚紀含めて殆どの未成年の隊員は色んな意味で嬉しいご様子。そんな三人に近付く猛者が現れる
「お!居た居た!!お〜い柚紀ちゃ〜ん、ついでに佐鳥と時枝〜。例の円盤維持に使った赤いブレスレット回収に来たからくれないか?やっぱり条件が厳しいからお蔵入りになりそうだが、良いデータが取れたから感謝してるぜ」
『あっ!?冬島さん!(スクッ、タタタタタ)お帰りなさい!!?えっと、……酔いはどうでしたか?』
「(ナデナデ)おう!柚紀ちゃんのお守り効果的面だったぜ?!帰って来て早々こんな事態だろ?今までだったら酔ってて直ぐに仕事なんて無理だっただろうから、助かったぜ!(ナデナデ)あんがとさん。にしても………ベールやブーケがないからアレだが確かに花嫁衣装みたいな服装だな〜。……親父さんの趣味か何かか??」
『では流石にないです。……私が小さい頃に住んでいた里は【和装が普段着】だったので、洋装に一時期憧れを抱いていた事があるんです。その、私って小さい頃かなり病弱で…一年の半分は布団の中で過ごしてて、寝間着も診察しやすい様にと肌襦袢的なの着ていて、………診察の合間にお父さんと話していた何気ない内容に【歌で皆を元気にしたい、その時はお母さんみたいなドレスを着て】的な憧れを語ったのが理由かと』
仕事が一段落したらしい冬島がやって来たのだった。そしていつもの様に駆け寄り挨拶をしたり頭を撫でたりしながら楽しそうに会話をする柚紀の邪魔こそはしないが、後ろに控える形で側にいる二人に冬島は……明らかに自分を警戒をしているのが何だか笑えてしまうが、そこは大人の余裕で表面に出さない様にしているのであった