79.親交の曲〜原作20歳組編〜(144.
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〜三門市立大学内・カフェテリア一角〜
日曜日だけあってか何時もの賑わいがない、それなりに人が行き交う校内。その一角にあるオープンテラスカフェ風な場所に加古・来馬・堤、そして柚紀の四人が同じテーブルを囲み談笑をしながら昼食を取っていた。そこから少し離れた場所には諏訪と小佐野が一緒におり、主に柚紀の様子を観察しながらコチラも昼食を取っている
「にしてもさ〜諏訪さん。………柚紀ちゃんって凄いね、あたしなら嫌いな相手と無理して仲良くなろうとか理解しようとか思わないもん。何であんな風に出来るんだろ?」
「(…フゥーー)………二宮はつる姐の弟子と言うか教え子的な立ち位置に居るだろ?あの人は【気に入らない相手にはどんなに請われようと絶対に教えたりはしねぇ】。だから"人として中身が駄目な相手ではない"と、鶴ヶ峰は理解している訳だ。……本能的に嫌いな人間、それこそアイツのトラウマ要因になった性格が糞でどうしようもねぇ馬鹿野郎じゃない限り、仲良くしたいんだよ鶴ヶ峰はな。(スゥ、……ハアァ〜)……どんだけお人好しと言うか寛大と言うか、心が広いんだよアイツは。そんな性格だから、苦労が絶えねぇんだよったく!!」
「とか文句を漏らしながら、こうやって見守っている諏訪さんもかなりのお人好しだよね〜。あのメンバーなら心配する必要なくない??皆さん良い人ばっかりだし、今日がハジメマシテじゃないんでしょ?」
「…………だが不安要素が全くねぇ訳じゃない。主に加古の押せ押せな性格が大丈夫かが、俺は気掛かりなんだよ。堤は勿論来馬なら問題は、………ないだろうな。あの別役の失敗を許せちまう程の奴だ、鶴ヶ峰相手なら余裕だろうさ」
「えっと、………鶴ヶ峰大丈夫か?かなり周囲を気にしているけど、そんなに人いないだろ?寧ろ勉強会参加者が集うラウンジの方が、人口密度高かったんじゃないか?」
『そ、それは、そうですがぁあ〜!だって私まだ中学生ですよ!!!なのに、大学構内にお邪魔するとか、……普通無理な事ですからね!?後、眼鏡するのが慣れなくて違和感が半端なくて、……すみません』
「あら?そんな事を気にしていたの??細いし色味のないフレームだけどやっぱり違和感が拭えない感じかしら?後見た目は大丈夫よ、風間さんみたいな大学生が実際に居るんだもの、平気よ平気。それに柚紀ちゃんって綺麗な容姿してるから、着るものや軽く化粧しただけで幾らでも大人っぽく出来るから弄り甲斐があって楽しいわ〜」
「加古さん、あまり柚紀ちゃんを虐めちゃ駄目ですよ?でも、………うん。普通に"何処にでも居そうな女子大学生"に僕も見えるから自信持ってよ!それに、"君は何歳"とか不躾な事を聞いてくるような大学生は流石にいないよ。後数年すれば社会人になるから、その辺りの領分や良心は備わっているだろうし、万が一にも疑念を抱かれたら"太刀川くんの妹若しくは従兄妹"とか言えばさっきみたいに何とかなるよ」
さて、自分だけ場違い感を否めない柚紀はかなり落ち着きがなくソワソワしていた。理由は加古が話した通り、少しばかり手心を加えて大人っぽく見える工夫をしたからだ。具体的には、靴をスニーカーでなく低いながらヒールのある黒のパンプスを穿き、それに伴い靴下からストッキングにチェンジし、ジーンズとタートルネックのインナーはそのまま。ただ加古は「トリオン体を見た時から柚紀ちゃんは首筋綺麗だから、普段も出した方が良いわよ絶対に」と思っており用意したモノに着替えさせようとしたが、『男性が居る所で着替えはちょっと……』と首の痣と背中も見られたくないので断ったのだ。これに対しては諏訪が直ぐに仲裁に入ったのですんなり身を引いた加古だが「じゃあ代わりにメイクさせてくれない?後、髪の毛も弄って平気よね??」と別案を提示され、流石にこれは渋々了承した柚紀は、夏の歓迎会以来のキッチリメイクを施され、夏より大分長くなった髪を左右に結んでコテで巻きゆるふわパーマをして……何故か伊達メガネを着用する事に。眼鏡なしでは確実に注目を集める程良く出来てしまったのと、加古曰く"言実の生身に寄せてみた"との事だった
そして新入生も大学に入学して半年以上経過しているのにオドオドしていた柚紀を不審に感じた三人の顔見知り(男子大学生)に「その子誰?ウチの生徒じゃないよな?」と訊ねられ反射的に堤の後ろに隠れてしまった柚紀。更に不審に思った相手に「彼女は太刀川くんの妹さんで、教授からの課題を直接受け取りに来てもらった」と咄嗟に嘘をついて何とかその場を誤魔化したのだった(逆に興味を持たれてしまったが、そこは諏訪が割り込んで強制終了させた)。因みに大学に来たのはランチも目的だが、言実からとある用事を頼まれてそれの為でもある。その内容は
「それにしてもまさか"ボーダー基地内に保存されていた紙の資料をコピペしてそのままレポート提出していた人が居る"とは、流石に思わなかったよ。確かに参考程度と言うか"原則・原点的な解釈間違えをしていないか"を確かめるのは認めていたらしいけど……先人の汗と結晶の成果を"さも自分がやりました"的な態度を取るのは、流石にズルいよ」
「お陰で私達にまで疑いの目を向けられるとかたまったもんじゃないわよ全く!……だから技術開発室は可能な限り【過去に大学研究室で発表された内容がコピペされたものじゃないか】を調べる事にした。でもそれを受け取り運搬するのは【ボーダー隊員ではない第三者、だが内情を知らない部外者も駄目】とか言われたら、もう柚紀ちゃん位しか居ないわよね〜」
「【私が調べるのだからデータの運搬は信頼出来る者に任せるのは当たり前】って言実さんに言われたら誰も反論出来ないよ。あれだけの膨大な資料をほぼ全て網羅しているのは言実さん位らしいからね。今年に入ってからのはまだデータがあったけど、去年のとかは紙媒体しかなかったから、男手が欲しくて僕にも声を掛けた。とは説明を受けましたが、結局はデータありましたね。……あの言実さんにしては確認不足な気がして、何か妙ですよね??」
と、柚紀が一番目的とした【二宮について知りたい】とは実はこの三人には説明していないのだ。言えば高確率で加古が「それは本人に聞くのが一番じゃないかしら?」と、二宮を呼び出す可能性が否めなかったからであった。そして呼び出された理由を口にした来馬が【言実らしからぬ言動】と、違和感に気づいてしまう。そして加古も堤も疑念を抱いてしまったのを見て柚紀がカミングアウトするのだ、三人を呼び出した本当の理由を