76.推理の曲〜遺された軌跡を辿る〜(141.
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- ナデナデ、ナデナデ、ナデナデ…… -
『………んっ、……ん〜(…スゥ…- フワッ -)ぁ、あれ?……この香り、……沈香?「おっ?!気がついたみたいだな。(ナデナデ)気分はどうだい柚紀ちゃん?」……(パチパチ)り、林藤、さ…っ!…ゴホゴホっ!!!』
「あ〜もう、相変わらず寝起きで無理して話そうとするよな〜この子って!……一先ず起こして水を上げて下さい。俺は下手に触れないので」
「へいへい。……よっと!(クイッ)…とりあえず今は普通の水だが我慢してくれ。後で別の飲み物持ってきてもらうから。…………一人で飲めそうか?」
『(…コク、リ)……ゅ、ゅっくりで、なら。………ンッ(…ゴク、ゴクゴク)』
リビングでない何処かの個室らしい場所のベッド寝かせられていた柚紀だが、漂って来た香りに目を覚ます。すると頭を撫でていたのが迅でなく林藤に驚きを隠せずに居たが、お約束の喉の乾燥により咳き込んでしまう。そこを同じ部屋に居た迅から手渡されたペットボトルを受け取り、体制を整えて先ずは初め水分補給をさせる事に。それを傍目から見ていた迅が「わぁ〜この絵柄、犯罪臭しかしないかも」と茶々を入れた事に対して「流石にこんな年下は守備範囲外だぞ?!ってか妙な事してみろ?……あの子、俺だろうと容赦無くシメに来るからな!!?」と些か林藤は慌てたが、柚紀は水分補給を頑張っていて全く気づいていないご様子
さて、水分も取って落ち着いた柚紀が改めて今自分達が居る室内を見渡し…状況を察する
『此処って、……お父さんが使っていた部屋ですよね?後、………何で新しいお線香上げたんですか?それもわざわざ種類を変えて』
「ん??……そう言えば今日は伽羅の香だったか?ゆりが"静樹さんが好んで焚いていた香だから"って選んでいたな。…………香に詳しいのか?俺にはあまり判別出来ないが」
『……林藤さんの場合は煙草が判別しにくい理由と言いますか原因ですね。……多分かなりの量やタールの強い銘柄を愛用されてますよね?(…クンクン)少し側に居ただけですが、移ってます香りが。香は、……まぁそれなりにですね。主に私はアロマオイルを多様していますが、小さい頃は茶道や華道に加えて香道も習っていましたから。ここ最近ご無沙汰し過ぎて感覚が鈍っていますが、…………お婆ちゃんの家では毎日お線香の香り、嗅ぎますので(…チラッ)』
「!……あ〜、なる程ね。先生のご亭主さんの仏間にって訳か。……そろそろ一ヶ月になるから流石に感覚が戻りつつある訳だね。因みに新しく焚いたのはボスだから理由は本人に聞いてね」
机にある香炉に新しい線香が刺さっているのを見て不思議そうにしている柚紀を、何やら珍しげに見つめる林藤。その視線が……少し苦手なのかあまりソチラを見ずに答える柚紀は最終的に迅を意味有りげに見つめれば、察した迅が助け舟を出す。……すると、本題の流れ……玉狛支部に柚紀が来たかった理由の話をするにあたり、机の椅子に改めて座り直す林藤に倣い、柚紀もまたベッドの上だが正座をし、迅はドアに背中を預けて傍観体制に入る。そして机にある写真を一瞥後、……語り始める
「ん〜、……線香を上げた理由は【これから貴方の娘さんに秘密を話します】的な報告の為だな。迅から君はそれを知りたいと願っていると聞いたからね、さっき宣言した通り可能な限りの願いは叶えてあげないとな。そうでなければ"大人は嘘付き"だと、……君の警戒心が何時までも解けない。城戸さんは兎も角俺までそう思われたくはないからな〜!」
『城戸さん?……忍田さんは??』
「忍田に関してはその問題はナイナイ。……彼奴は真っ直ぐで俺達の中じゃあんまり表裏の無い奴だし、かなり甘ちゃんで腕っぷしは兎も角口じゃ何時も負けてばかりだ。ま、君が絡むと言実ちゃん程では無いが融通が効かなくなる。………身勝手な大人達の都合に子どもである君が巻き込まれるのを良しとしない。が、君が納得しているなら仕方ないから引き下がる。…そう言う大人だよ彼奴は」
『…………………一先ず、この場に居ないヒトたちの話は一度置いておくとしまして林藤さん、……貴方は父がどうして姿を消したのが、その理由を知っているのですか?………迅さんの予知にも引っかからなかったと言うのに』
帰省した人が仏間に手を合わせるのと同じ事をしたと話す林藤。……その感覚や未だに大人を警戒している点や、忍田が実直で意外と面倒見の良い人だと感じている柚紀は此等を深く追求はせず、早速本題に入る。その真剣な表情を見て受けて立つつもりでいたが……煙草がないと本調子らしいので「吸いながらでも良いか?」と訊ねれば『携帯灰皿をお持ちで窓を開けてくれるなら』と返事を返す。するとドアと窓を開けて空気の流れを作り、その道筋に柚紀は居ないが、外気に触れるにはもう寒い季節なので迅がクローゼットから綿入り半纏を取り出して柚紀に着せて寒さ対策。そのままベッドに腰を降ろして聞く体制を整え、林藤が軽く一服した後に知っている事を語り始めたいのだが、その前にと柚紀に問い掛ける
「そう言えば、俺が居ない間に中々鋭い質問や疑問点を口にしていたらしいな。【城戸さんとウチの方針の違い】や【ロゴの違い】とか。先ずはそっちの説明が先だな。……君も薄々気づいている筈だ。【他人の命を軽んじる言動を好まない筈のあの人が、"全てのネイバーは敵であり殲滅するべき"と考えている城戸さん、……ボーダーの考えに賛同したり協力するのは不自然】と。先に結論を言ってしまえば元の方針は"共存"、つまりはウチの考え方がソレな訳だ。そしてそれが玉狛支部が掲げているロゴに現れている。何故そうなったかを、順番に手短に説明しよう。……柚紀ちゃんが風邪を引いたら忍田からも怒られそうだからな」