74.訪問の曲(139.
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C級ランク戦ロビーにてスナイパーの合同訓練で上位に居た隊員の殆どが柚紀と親しげに話している姿を見て【スナイパー界隈でも、歌姫の人気は健在】と他のポジション隊員が認識し、ちょっとした騒動があったりした数日後の放課後
『(ムス〜)……皆、私が迷子になるとか心配し過ぎだよ〜!学校に行けなかった時に結構街中を散歩して、…それなりに地理は覚えたし地図アプリとかで調べられるのにさ〜。どう思いますか?村上先輩、穂刈先輩』
「そう不機嫌になるな、鶴ヶ峰。(ナデナデ)あるだろ?前科が、それに、早くなってきた、暗くなるのが、少なくとも、帰りは、真っ暗だ、外はな」
「ウチも本部程広くないから、大勢で来られると対応が色々しづらくなる。(ナデナデ)……あの場で"俺が責任を持って鶴ヶ峰を送迎する"と言わなければ、恐らくもっと人が増えていたぞ?」
『………確かに、そうですね。私、独りが一番嫌です。でも団体でゾロゾロ動くのも、苦手です。目立ちますから(ハァ〜……チラッ)因みにですが、…………何故少し後方からカゲ先輩が追随してくるんですか?確かに今日はお店休みですが、コチラに…"鈴鳴支部"に御用があるのですか?』
時々並び順を変えつつ、今は柚紀を真ん中に穂刈と村上が一緒に歩いていた。本来は荒船が一緒に行く予定だったが急用が入ったらしく、穂刈に代わりを頼んだのだ。……異性と二人っきりが駄目な柚紀を配慮して。そして目的地はどうやら村上が所属する鈴鳴支部らしい。……………で、何故無関係な影浦が間を取った状態でついてきているかと言うと
「(クスッ)カゲも心配なんだよ、……お店であんな事が遭ったし、太一の事を当真から聞いてたみたいだからね。…………今日は支部に来ない様に手を回しているから(ナデナデ)安心してくれ」
『(………ホッ)……お気遣い有難う御座います村上先輩、…彼が悪い人じゃなく素直な人なのは分かるんですが、………こう、(ギュッ!)…悪意の無い真っ直ぐ過ぎる言葉が、胸に刺さるのがちょっとだけ、……シンドくなるんです。だから、………嫌いじゃないけど苦手、です』
「………(ナデナデ)誰にでも居る、苦手な奴は、だから、気にするな、……必要はない、無理して皆と仲良くする、………違うか?」
『……………分かっては、います。ただ……コッチ、…ボーダー関係者の中で同級生や年下相手で"苦手な人"、今まで居なかったから、油断してました。……学校や、年上の人だと苦手…キライって思う人、居るから、……出来ても可笑しくないのに』
「………【お人好しな鶴ヶ峰がキライって言う程の奴は大概どうしようもない輩だ】と、野々村が持論していたが、……どんな奴が苦手と言うかキライなんだ?」
【年上の異性】が苦手な柚紀、……小柄な少女だと自分達の学年では大体が高身長に当て嵌まってしまう以上、警戒対象を絞る必要があると感じ詳しく探りを入れる村上。……無いとは思うが、この後に会う"自隊の隊長"が駄目な可能性が少しでもあるので、念の為に
そんな意図を知らない柚紀は少し考える素振りをして、……更に影浦を一瞥して口を開く
『……二面性と言いますか【表裏のギャップが激しい人】は、かなり苦手です。つまりは策士や腹黒な人ですね。…………それが人の役に立ったり"ちょっとした悪戯レベル"なら、まだ良いですが……他人を不快にさせたり、迷惑をかけるレベルの方は…嫌です。後はフブキと似た感じですので、彼女が平気な人は大体私も大丈夫なので……っ!………すみません、ちょっと…水分補給、したいです(…ヒュウ〜)』
「!……あぁ、構わない。急いではいないからな、……完治してないんだったな、まだ、……無理をするな(サスサス)」
『すみませ、くっ!??ゲホゲホッ!?………ぁっ……(ガクン!)……ハァ、ハァ、(水、飲んで、落ち着かなきゃ、でないと、先輩達に迷惑、掛けちゃう)』
喉の鎖型の痣が無くなりほぼ普通通り話せる様になった柚紀だが、"自分の事"を話しているとこの様に異変が生じてしまう。そして今回は更に対人関係の内容、尚更喉が圧迫されて辛くなりその場に蹲ってしまう。……何とか動こうとするが、心配してくれている村上達の影が自分を覆い被さり………更に色々重なり余裕も無く焦りが生じて意識が朦朧とし始めた、その時
「(チッ!)退けっ二人とも!?今のソイツをそれ以上追い込むなっ!?(ズカズカスガ!……ヒョイ、…ポンポン)……焦るな、誰も怒らねぇ。先ずはテメェの事だけを考えろ、(…ポンポン)……鋼、今に連絡してコッチに迎えにこさせろ。穂刈は俺の鞄に入ってる"似合わねぇモン"出して用意しろ。……確か少し先に公園があったな、先ずはそこに行くぞ(…テクテクテクテク)」
やはり影浦も例外でなく"柚紀限定だが自分に向けられていない感情や思考が分かる"らしく、立ち止まった三人に追い付けばすかさず柚紀を回収。不安定な状態ではあるが今回は攻撃的ではないので痛みを感じず、二人に的確な指示をすればさっさと歩き出してしまう。それを影浦の荷物を持った穂刈と今に連絡した村上が追うのだが……村上の表情が優れない。気になった穂刈が訊ねると
「………よく考えれば、この状況は"店の時やあの食事会と類似している"。異性が苦手な鶴ヶ峰の側に女子が居ない状況は、やはり負担でしかないみたいだな。だが、……カゲの店と支部まではさほど距離感は変わらない筈。なのに何で、こうなった?」
「違うな、色々と。先ず……"諏訪さん"、…保護者が居ない。それに、笹森から聞いたが、…話していない、鶴ヶ峰は、移動中。……話せれなかったのも要因だが、聞き専らしい、基本は。…………無理を、させたのかもな、俺達を気遣って、自分から話をしないと、そう思った。……かも」
「…………………………まだまだ、俺達は鶴ヶ峰を知らなさ過ぎるみたいだな。送迎一つ、まともにこなせない。……荒船が心配していた通りになった訳だ」
実は影浦が追随していた理由の一つが"荒船が頼んだ"からだった。……普段は自分勝手で横暴な言動が目立つが腐ってもA級の隊長、…いざと言う時は役に立つ訳だ、先程みたいに。犬飼の例もあるが、やはり実力や判断力含めた総合的に見てもAとBでは"見えない境界線"が存在しているのかも知れない。………特に柚紀が関わるとそれが顕著に現れるのだった