73.自転の曲(138.
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『……落ち着け柚紀、ソレは思い出さなくていい。…"思い出すな"、忘れたままで良いんだ。(ポンポン……スッ)………"暫し眠れ"、そうすれば全てが穏便に済む』
『(クラッ)……言実さ、(グワァン)ッ!!ぃ、ィャ、だ。もう、……逃げたく、ない。忘れたく、ない!……どんなに、辛い記憶だろう、と………それが……私の………(ポフッ)…すぅ、……すぅ』
『………(ナデナデ)(……やはり暗示が効かなくなってきたか。何れこうなると、分かっては居たが……)…………分かってくれ柚紀、"今は"その時ではないと』
前触れもなく言実(白衣姿)がワープしてきて柚紀を些か強引に鎮めて眠りにつかせる。その風景を始めてみた者は呆然となり、……似た風景を見た事がある佐鳥と時枝は疑念の眼差しを言実に向ける。その視線に気付いた言実がソチラを一瞥をした後に姪を抱えれば『……ヒナ』と一声。すると、一度用済みとなり消したベッドが再構築され、そこに寝かしつける。……着替える前に三輪達が来てしまい検査着のままな柚紀を一撫でした後に言実もベッドに腰を降ろし、全員を見渡して…口を開く
『………東、何故あの様な事態になった。……ナニをこの子に訊ねたのだ?』
「……秀次が"サイドエフェクトに何故歌を用いるのか"…それを訊ねた最初は普通に受け答えが出来ていたのですが、途中で【根本的な理由が思い出せない事】に気づいて、それて……」
『………(ハァ〜)理解した。こんな事態に陥るのも当たり前だ、……この子にとって歌とは確かに大切なモノだ。何せ、【両親との大切な思い出を構築させる共通の話題】故な。が、……【最大の地雷】とも言えるのだよ。思い出してしまうからな二人を』
「っ?!!……ねぇ、おつるちゃん。それどう言う事なの?故人となった、…正確には音信不通な状態のお父さんは兎も角、……お母さんは生きてるよね?なのに思い出すのが柚紀に負担となるって、どうしてなの?」
「それに彼女……柚紀は"基礎を大切にする子"です。なら"何故ソレを好むようになったのか"………それを気にするのは当たり前であり、叔母である貴女だって知っている筈だ。なのに何故、それを思い出すなとおっしゃるのですか?」
加重被害を一番に受けた三輪に手を貸しながら言実の問に答える東。表情は変わっていないがうっすら冷や汗をトリオン体で掻いていた。……目を見ていないが雰囲気で分かるのだ、…言実がかなりご立腹であると。なので正直に答えた、……そうでないと相手が鎮まらないのを知っているから。その勇気ある発言が効いたのか、張り詰めた空気がため息と共に拡散する。その際に口にした内容を聞いて、ずっと気になっていた事・今の言葉を聞いて引っかかる事を佐鳥・時枝が其々口にする。これに対して眠っている姪を一瞥し、そして【この子を支え救う存在である二人】を見据えて……重たい口を開く
『……兄さんの事は一度割愛させてもらうとして、…義姉さんは身体が弱く儚い人でな、入退院を繰り返しておる。理由は【重度軽度含めて食物アレルギーを複数所持しておる事による栄養失調や消化不全と、過度なストレスによる拒食症を時折発生させてしまうから】だ。前者は幼い頃からで後者は……兄さんが消えてからの症状だな。柚紀が人一倍食に対してこだわりがあったり、食べた事があるモノや無いモノに偏りがあるのはコレが原因だ。特に"小麦"は重度の反応を引き起こす故に、それが使われる料理はほぼ口にする機会が幼い時は無かった。……洋食や菓子類をあまり食した経験や知識に乏しい要因はコレだ。そして兄さんが居なくなってから義姉さんは一人で娘を育てなくてはならなくなった。………色々普通では無いこの子を健やかに育てるのは至難の業、更に容姿が親子共に目立つせいで周囲の目が人一倍注がれる環境、…………見られる事により"立派な母親であり娘を守らなくては"……そんな衝動に駆られて無茶をしたせいで後者の症状を発生させてしまった。そして…聡いこの子もまた"病弱な母親を助けたい、安心させたい"と願い周囲から後ろ指を指されない様に努力をした。…………その結果【優れた頭脳と綺麗な所作や気配り上手、そして……重度の対人問題を抱えてしまう】、この様な事になってしまった訳だ。此処までは理解できるな?』
「………まぁ、柚紀ちゃんの性格や今まで接して来た際にそれは垣間見えました。ですが言実さん、……"その時ではない"とは、どう言う意味ですか?賢と充と彼女の仲を修繕させる際に迅はかなり慎重に事を運んでいた。理由は【一歩間違えれば二人がこの街を出て行き、更なる困難を不仲となった二人で乗り越えなければならない】未来を回避する為だと、最近になってやっと教えてくれました。……貴女が言う"その時"とは、何時を指すのですか?答えて下さい、……柚紀ちゃんを、大切な姪を力づくで抑え込むなんて、俺は納得出来ませんし、貴女らしくない。ソレをしなくてはならない程、………!…"喉元に残る錠前の痣を解除に必要な鍵"、だったりするのですか?」
(全)「!!」
長々と話す言実の話を誰もが真剣に耳を傾けていた。今まで語られる事の無かった【柚紀の家族や、生い立ちの一部】がついに語られたのだから。あまり柚紀を知らない三輪は思った以上に加重現象のダメージが響いているらしく、椅子に腰掛けて話を聞ける状態ではなく、東は介護しつつきっちり話を聞いてはいるが話し掛けれる状態では無かった。それを察した嵐山が更に追求していき……ある可能性に辿り着く。未だに喉元にある柚紀の髪色と同じ天鵞絨色の錠前の痣。………コレを解く方法が確立していないのだ。シロは【柚紀が"自ら望む未来を掴み取るには未知の領域に足を踏み込む必要があり、その覚悟が出来ずに安寧と言うなの籠…檻に閉じ籠もってしまった"】と語っていた。自分達もコレの解除に関係しているらしいが、……恐らく二人の鶴ヶ峰がボーダーに関わるきっかけとなった鶴ヶ峰静樹氏。彼に関する謎を解く必要があり、その鍵を握っているのが
「(ドンドン!)ちょっと准っ!!居るんでしょ?!此処を開けなさい!!いい加減あの子、……静樹さんの娘さんに会わせなさいよ!!(ドンドン、ドンドン!!)聞いてるのっ??!此処を開けなさいコラァー!!!?(ドンドン、ドンドン、ドンドンドン!)」