衝撃的な事実が判明して東ですら言葉を失ってしまう。……まさか柚紀がそれを知っているとは思いもしなかったのだ。そんな中❲オイコラ、シロー！？そんな悪い子に育てた覚えはないぞ〜？！師匠は悲しいぞ〜❳❲何時か誰かにヒナ先輩が放った警告、そのままお返しします。……私に知られたくないなら基地外でソレを行うべきでしたね❳と師弟喧嘩が放送内で勃発してしまう。それを聞いて"こう言うのがこの中で一番苦手な"フブキが「あ〜もう！？訳が分かんねぇから！！！」と逆ギレを起こす。それを諌める木虎と、そして力強く自らの掌を握り締めている柚紀の手にそっと自分の手を重ねる綾辻。……何とか全員が落ち着きを取り戻したのを見計らい、話し合いを再開させる為に嵐山が三輪に話を振る

「……事情は大体分かった。だが三輪、……具体的にどうするつもりだ？【更なる被害を防ぐ為に柚紀ちゃんから声を奪う】何て馬鹿げた事は言わないよな？確かに被害は減るだろうが、それでは彼女に重い負担がのしかかり巡り巡ってボーダー組織が危険な状況下に陥り隊員にも重い負担となる。………太刀川さん達が居ない今、それは愚策でしかないと俺は思う。だが何もしない訳には…『だから私に会いに来たんですよね？アレから言実さんと接触していないから、確実に私が持っているのと確信していらっしゃる訳ですね』……柚紀ちゃん、それは一体…」
「……………………陽介から聞いた、お前は【生身では最近歌わなくなった、歌えば少なからず敵を引き寄せてしまうのと、今は生身では無理に声を出せない状態で会話もタブレットを使っている】と。………ならば【トリガーホルダーを没収すれば】少なからず互いの負担は減る筈だ。更にウチの服も没収すれば"単独行動を鶴ヶ峰が取りづらくなる"。……基地へは同伴者が居なければ来れなくなり、騒動を未然に防ぐ為にも内部でも誰かと常に行動してもらう。それと………ある程度の自由を約束する代わりに"一日の大まかな予定を俺に送る"…のが抵抗あるなら、ウチのオペレーターでも構わないから必ず提出しろ。で、万が一それを破れば即身柄を拘束させてもらう。……これなら城戸司令も納得されるだろう」
「えっと、う〜んと………………つまりは"何時もの日常とあんまり変わらない"訳だよね？敵にさえ襲われなければトリガーホルダーが無くても平気だし、基地に来る時は大体誰かと一緒で……基地内では一人な時もあるけど、誰かと一緒が嫌って訳じゃない。後、予定を誰かに話すのだって佐鳥やとっきーにはほぼ毎日しているし、知る限りじゃその予定が狂う事はほぼなし！！……あるとすれば、それこそ予想外なアクシデントに見舞われた時だろうし、そうなったら三輪隊が"助けてくれる"！！なら何の問題もなしだね！！？」
「「「「「うんうん」」」」」
「な、なる程。……でも、それで上層部の方は納得しますでしょうか？」

一見柚紀が不利な条件かと思われるが、実際の所ナニも問題がないと佐鳥が事細かに説明し柚紀本人と木虎、そして三輪以外がすんなり言い分を認めたのだ。……ここまであっさりと言い分が通って呆然とする三輪に近づきながら柚紀は木虎の疑問に対してこう答える

『(ﾃｸﾃｸ)大丈夫だよ藍ちゃん。……多分、上層部が一番恐れているのは"優秀な人材である"言実さんがボーダー"本部"を離れる事だろうからね。………よく分からないけど玉狛支部にあの人が行くのも嫌がっている節があるって迅さんから聞いたし、…向こうは私がどんな生活を送っているかに興味はない。(ﾃｸﾃｸ)……忍田さんと、…鬼怒田さんは違うか？お二人はそれとなく私を気にしてくれてたけど、後の人達は多分そうだろうね。あっちの人が知りたいのはあくまでも私の所在地や行動目的、だろうから(ﾃｸﾃｸ…ピタッ、……スッ)……トリガーホルダー、預けるのは私も構いませんし服もお返し致します。が、……預けるのはあくまでも"三輪先輩だから"です。他の方に手が渡った場合、先程の取引違反と見做しますのでご注意下さい。……私がトリガーホルダー摩り替え事件に遭い、危ない目に遭ったのは貴方もご存知ですよね？なので見知らぬ人にソレが渡るのは頑固拒否させて頂きます。……恐らくそうなれば言実さんは先輩を信用しなくなりますのでご注意を。後、……お借りした服は洗ってからお返しします。若干とは言えど雨で濡れてしまったので。…………それで宜しい、ですか？(…コテン)』
「…………………………(…スッ)承知した、トリガーホルダーは責任持って俺が預かる。服に関しては陽介経由で先ずは連絡をしてくれ。予定に関しては最初は東さん経由で構わない、……こんな事をしているとバレたら煩そうだからな。"陽介が"というより"奈良坂が"、だがな。………時に鶴ヶ峰、…かなり話をしているが喉は平気なのか？それと、…………何故能力行使に歌を用いる？そうでなくても能力は使えるだろう？」
『………………(クスッ)奈良坂先輩ってあまり表情が変わりませんが、意外と心配性な方ですよね。すこぉ〜しばかり当真先輩の影響も有りますが私にも気を遣って下さります。それと、歌を用いるのは"好きで気持ちがこめやすいから"で………あれ？ワタシ、ナンデ…

-　ナンデ、ウタガスキナノ？　-
-　ガッキエンソウモスキ、ナノモワカル　-
-　デモ、イツカラ？ナニガキッカケ？？　-

(…ズキッ！)お、思い出せないっ！？？何でっ？！とてもっ、大事で大切な事なのにっ！！！！そんなの…イヤッ！！！！！』

-　ズシリッ！！　-
(全)「っ！！？(ガクン！)」
-　……………ﾊﾟｷｲｨｰﾝ　-

和やかな雰囲気が一変、柚紀が頭を抱え込み錯乱状態に陥ってしまう。そして室内にて重度の加重現象が発生し初見の三輪は勿論だが、経験者である他のメンバーすら膝を床に付いて、各自四隅を見る。……装置は作動しているがそれでもこの状態であるのを理解し、このままでは自他共危険と判断した佐鳥と時枝は柚紀の元に行こうとするか近付くに連れて加重が増大していき、思う様に前に進めない。……一向に収まる気配がなく、一番近くに居る三輪から砕け散る音を聞き、床に這いつくばる様な体制となったのを見た東が(気絶させてでも止めるしかない！)と決意して近づこうとする。……今はトリオン体であり、生身でこのクラスの加重現象経験があるので学生二人より何とか動ける状況であり、後少しで柚紀に触れられる距離まで来た…………その時

-　キイィーン、……バサッ！…クイッ、ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ　-