72.親交の曲〜赤き小さな星編〜(137.
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それからタブレット操作を一通り教えた寺島は仕事に戻り、諏訪は今回の騒動の被害者とも加害者とも言えるB級・C級隊員達の様子見に行くと言って作戦室を後にする。その後更に、迅から連絡が入った嵐山が「暫く戻れないかも知れない、その間彼女を頼むぞ」と言い残し部屋を後にしたのを見送れば、最年長である綾辻がこの後について話し出す
「……言実さんの事だから仕事さえ終われば柚紀ちゃんを迎えに来るとは思うけど、今の状況からして下手したら今日中は無理かも知れない。嵐山さんが迅さんに呼ばれて出て行く際にあの言葉を残して行かれた事からしても、そう受け取れなくもないし………"今夜は片時も離れずに見守る必要があるかも"と寺島さんに言われたから、私は残って彼女を見てるつもりだけど、三人はどうする?」
「佐鳥も残ります!!明日は土曜日だし、何より……柚紀が心配で寝れる気がしないので」
「それに回復状況によってはトリオン体が使えない可能性がある以上、綾辻先輩お一人で看病は難しいですよ。……なのでおれも残ります。交代要員は必要です、もし徹夜したのが柚紀さんにバレたら……多分回復にも影響が出ます」
「……分かったわ。でもちゃんと家の人には連絡入れてね?後、…………申し訳ないけど藍ちゃんも付き合ってくれないかな?一応体温もタブレットを通じて計測出来るけど、吸収する速度次第じゃ熱量オーバーで汗を掻いて着替えが必要になるかも知れない。そうなったら、…(チラッ)ね?」
「………(コクン)わ、分かりました。私も帰宅しないと行けない用事等は、ありませんので」
男子二人が残ると宣言し綾辻がそれを認知。が、先程の加重現象や"体温調節が難しくなり、不足しているトリオン補給している柚紀が体調を崩さない為にも色々お世話が必要"なのを考慮して木虎にも要請し、これを本人も快諾。………自分だって異性に裸でないにしろカラダを見られるのは些か抵抗があるし、柚紀は異性に対してトラウマ持ちだ。それを抜かしても…………見せるべきではないと思ったのだ、二人に。柚紀の背中にあるあの傷痕を。……尤も既にソレを二人が知っているのを知らない木虎であったが、…問題ないであろう
それから家族に連絡を入れて夕飯をどうするか迷っていると【タブレットから食堂に注文可能にした。試してみろ】と言実からメッセージが届く。物は試しに注文すれば諏訪隊メンバー四人が届けにやって来た。そして軽く情報共有して食事を済ませればお皿を回収し、更には"柚紀用の食事等"を置いて諏訪達は部屋を後にする。(笹森は本音を言えば残りたかったが流石に部外者一人が居るのは気が引けたらしい)そしてどの組み合わせで起きているか相談しようとする時枝に綾辻が
「それなら私と藍ちゃんが一緒でかなって考えていたんだけど、駄目だったかな?」
「エッ??!??で、でも先輩っ!それで大丈夫、ですか?ほら!とっきーだって状況によってはトリオン体が使えないから男手が必要になるかもって!!」
「ん〜〜……一理あるけど、私一人じゃないから何とかなるよ。柚紀ちゃんの看護経験は私だってあるし、コレはリクライニング機能付きだから無理して体を起こしたり支える必要ないし。それに………」
「それに……何ですか?」
「……多分だけど、【目覚めたら君達が自分じゃない異性と二人っきりだった】ら、………彼女は悲しむと私は思うよ?二人はどう????……嫌じゃない?」
「「…………………」」
綾辻の言葉に二人は何も言えなかった。確かにソレは嫌だと思ったのは事実であり何より……確実にバレているのだ。自分達が彼女にどんな感情を抱いているかが。そしてそれは木虎も薄々気づいてはいた。……だから、少し…柚紀が気に入らなかったりする
- 何故二人に想われているのに気づいて居ないのか。もし気づいていたとしたら、何故烏丸と………あんなに親しげにしているのか -
そんな感情を抱く木虎とほんのり顔を赤らめる男子二人をただ見守るだけの綾辻。……ちゃんと話しさえすれば誤解は必ず解ける。それが分かっているから
そしてある程度時間が経過した際に先ずは女子二人が仮眠を取ることとなった。が、その間に柚紀は目覚める事はなく、夜中となり二人が睡魔を感じ始めた頃に交代する事となった。……差はあるが二人とも「まだ起きてられる」と主張するが「駄目です、ちゃんと休まないと柚紀ちゃんや言実さんに言いつけますよ?」と綾辻に笑顔で拒否。……色々効果があったらしく大人しく従う二人がちゃんとマットに横となったのを確認して戻って来た綾辻はタブレットを持っている木虎に状況を訊ねる
「体温や呼吸、及び心拍数は正常。……トリオン量も危険域を抜けてはいますが、まだまだ足りない状況です。と言いますか………これが普通なのか知りませんが回復速度、かなりゆっくりな気がするのは私だけですか?」
「夏の検査で"柚紀ちゃんはトリオン回復速度は他人よりかなり遅い"のは判明しているのと、生命維持や対人関係のトラウマ……心の病持ちのこの子はその治療にもトリオンを使っている。だからそうなるのは仕方ないけど…………早く起こす方法なら実はあるの、藍ちゃん試してみる?」
柚紀と同じ体質や病持ちが居ないので比較が難しいが、木虎の感覚からしてもやはり遅いと感じてしまうらしい。……【事情を知らない木虎の感覚は一般人のソレと同じ】と解釈している綾辻はきちんと説明した上である提案をする。それを実行するかは木虎次第だが……伊達に一緒のチーム、オペレーターを務める綾辻は木虎がどうするか予想は容易であった。故にそうなる様に仕向けたのだが、………それを木虎が気づくのは恐らくかなり先の話であろう