68.原始の曲〜ほぼ形成りて〜(133.
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
少し時間が遡り、嵐山と時枝が言実のラボに辿り着いた頃には色々情報が出揃っている状態であり、柚紀の居場所すら予想が出来ていた。しかし、言実は動こうとはしていなかった。その理由は………
「えっ?!?あの土田って言うエンジニアが行方を晦ませた?!確か記憶処置をしてボーダーを辞めてもらったと聞きましたが、……ナニを危惧されていらっしゃるのですか?」
『…………その記憶処置すらちきんと施されたかが怪しくてな、…今、アレに手を貸した馬鹿が本当に居ないか燻り出している最中故に、下手に私が動けば逆にあの子が危うくなる可能性がある。……疑いたくはないが、調べたらやはり裏で色々していたらしくて、それに関与した者がまだボーダー内に居るかも知れぬ。万が一、今度こそ柚紀にアレの魔の手が伸びれば………対処が出来るか怪しい。表面上は出てきてないが確実にアレの存在がトラウマ対象となりつつある故にな。それとは別に、未だにボーダー所属してる者の中に、……確実にあの子に対して敵意を示している"隊員"が何やら不穏な動きをしておるらしい』
「隊員で、ですか?……………!!?……まさか、…誤射事件に関係していて更に歌に関する噂を彼女が知ったキッカケとなった……あのスコーピオン使いの先輩、ですか?」
『あぁ。……同級生の嵐山や迅は学校が違うからあまり接点はないだろうが、………藤丸経由で弓場にそれとなく探りを入れてもらった。二学期が始まるまでは、たまに防衛任務を理由にズル休みをしていた位であまり目立った行為はしていなく、表向きは素行も悪くなかったが、……徐々にメッキが剥がれていき今では"六頴館創設以来の最大の汚点にして最悪の不良生徒"とまで影で言われているらしい。……それを知ってからは時折だが、主に風間だが卒業生隊員に協力してもらい、行動を監視していた。影にて行っていたボーダー本部内での事を学校でやらかさないか、心配してな。…………その風間が不在となった今、やはりまたナニかを企んでいるみたいだ。ただ今回の標的はどうやら柚紀でなく、………木虎みたいだな。フブキも標的にされかけたが忍田さんとの繋がりが判明した以上、無闇に手出しが出来なくなって標的を変更した。"ガードや後ろ盾、…実力等の総合的に弱い"木虎の方がまだ狙いやすい故にな』
東に頼まれた荒船が例の青年から持たされた情報と、迅の警告等を理由に以前から警戒していたあのスコーピオン使いの隊員がナニかを仕掛けようとしており、その標的が木虎と聞いて……反射的に飛び出しそうになった二人をドアロックして閉じ込める言実。反論する二人に『落ち着け、……直ぐに危険な状況に陥る心配はない。それに佐鳥やフブキ……他にも先行して動いておる、故に情報を聞いてから動いても問題ない。と言うより、知らずに動く方が危なくなる』と意味深な発言をする。………一先ず深呼吸して話を窺う姿勢を見せた二人を見て話を再開する
『先ず二人が一番気にしているであろう【柚紀と木虎の居場所だが、恐らく二人は一緒におる。そして二人だけでなく、他にも数名同伴者も居るな。それもC級が含まれておる】……何故、私がそう判断したか…理由を述べよ』
「……例の柚紀ちゃんが残したであろうメッセージ、ですね。恐らく【雛が柚紀ちゃん、で子ども達がC級隊員。…赤き星が、……木虎】ですかね?菊地原が賢達を親鳥と呼んでいたし、迅曰く【彼女は俺達を"親鳥又は輝く星の様な存在"とも認識していた】と聞きました。ならB級を子ども扱いはしない。ただ、そうなると新米狩人のワードが出てきた意味が分からない。アレは…ナニを意味するんだ?」
「その答えたが"始まりの地"だと思います。それが示す場所……夏休みのゲート騒動にて鶴ヶ峰さんが歌姫を披露したあの広場、………佐鳥に聞きましたがアソコは確かに射線は通りますが【移動時間や反撃されないだけの距離を確保可能な狙撃ポイントが少ないらしい】です。……ある程度の腕がなければ安定した射撃を見込めない。"命中率か標的との距離が近くなるか"…そのどちらかを犠牲にする必要があるみたいです。スナイパー用以外のトリガーが使えて迎撃出来るなら話は変わりますが、………一度それは置いておきましょう。それより問題なのは"捕食者がナニを指す言葉か"です。……彼女を狙う存在で捕食のイメージがあるモノと言ったら…やはりトリオン兵ですよね?つまり………」
『理由はなんであれ【柚紀と木虎、あと数名が例の広場におる】のは確定だ。が、……何故外に出る必要がある?それが私にも解らぬ。…………!…待てよ、烏丸から持たされた内容のと小佐野から送ってきた内容が"少し違う"?確か………マイクと、……鈴??』
と言った感じで集まった情報から三人は答え合わせをしていた。……柚紀一人でなく複数の"救出者"が居る以上、状況次第では"優先順位が変わってしまう"からだ。そして、そもそも何故音信不通になったのか…………それを解く鍵を言実が口にした。詩のような文章でないので小佐野が省略した部分、…感覚派な柚紀が伝えたかった事、それは…………
「マイクに、……鈴!!?(ポン!)そうです!鈴!!あの"万が一亜種に隊員が苦戦した場合にのみ"鳴らす、例の!!……言実さん!迅が【この件には鈴が関わっている】と言ってました!?今、あの鈴が何処にあるか分かりますか?!」
『???……鈴なら作戦室に、…担当の本部オペレーター達の指紋認証にて取り出し可能にして………まさかっ!(カタカタカタカタ…)……!!?誰だっ?!"鈴を持ち出した"馬鹿はっ!?柚紀以外が現場で鳴らせば、確実に妨害型…ひいては敵に狙われると言うのに!?……(ゴソゴソ、…ポイポイ!)嵐山っ!時枝!!コレ等を持って柚紀の元に急行しろ!!(カタカタ……)最寄りの秘密経路入り口までスイッチボックスにて飛ばす!……頼むぞ(カタカタカタカタ…ダン!!)』
「「(パシッ!!)了解!!(- シュン -)」」
事情や状況を全て把握した瞬間、【早急に騒動を鎮めなければ柚紀や自分、サイアクの場合"ボーダー組織に多大な被害が出る"】と察した言実は必要アイテムを二人に託して、早急に行動を開始する。そして巽に通信及び"状況によってはシロを召集させろ"と告げた後に重たい溜め息を吐いた後に、自らも行動を開始する。……どんな結末になったとしても事態は動くのは確実だからだ