66.塵星の曲〜先ずは知る事から〜(131.
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五人が到着した先には寺島とシロが既にスタンバイしており、テキパキと指示出しをして迅と柚紀の検査を開始する。迅に関しては原因がハッキリしているので検査は断ったが、トリオン体にも関わらず歩くのが困難な為、休む様にと言われて換装を解いて簡易ベッドに横となっている。一方、柚紀はトリオン供給以外にも数値読み取り効果のある、リストバンド式の機械を装着して計測しているが、寺島の表情が優れない。そんな彼と二・三言葉を交わしたシロが隔離室に入ってくると、直接柚紀の手を握り状況を読み取り始める。暫くして手を離し重たい溜め息を吐くと、独り言の様に呟いたのだ
- 私と同じ状況になるなんて -
「!?私と、同じ??……市河ちゃんどう言う意味なのそれって」
「………少し前、私が数日休んだのは佐鳥くんも知ってるよね?アレってさ、(…スッ)"昔の古傷が痛んだから"だったんだ。……もう完治、とは言い難いけど傷んだりする事は此処数年無かったのに。痛みがぶり返した理由は【フラッシュバックが起こりやすくなっていたユズちゃんとの同調を繰り返していたから】、……丁度あの時…"目の秘密"を彼女に話した直後だったから」
「目の、……秘密?…………市河さん、君は……何を隠しているの?それは、……おれ達にも言えない程、重要な事なの?」
「………………それを知っても君達には何も出来ないし、……見ていい気分にはならないよ。………………それでも、……知りたい?」
そう話すシロの表情は泣きそうであり何処か辛そうなモノをしていた。それを見て互いに一瞥した二人は頷いて"是"と示す。……シロが話そうとしているなら聞くべきであり、柚紀が抱える秘密が少しでも少なくなるなら…そんな考えを抱いたからだ。それを黙って見守る年上二人にも見える様に位置取りをすれば、換装を解き眼鏡を外し更には【左目に入れていたカラーコンタクトも外してみせる】……そこに隠されていたのは
「っ!?……白濁化した、眼。い、市河ちゃん、その状態で……見えるの?」
「……(スッ)………片目だけだと、ハッキリとは見えないかな?顔の輪郭とかかなりぼやけてる、辛うじて色判別は出来てるよ。だから……ユズちゃんや言実さんみたいな"珍しい色合いの人"や、フウちゃんみたいに"ナニか特徴がある子"はわかりやすい。でもそのせいでヒナ先輩には簡単にバレちゃった!………それからかな?"眼鏡を着ける様になったのと前髪を長めにする様になったのは"」
「眼鏡と、……前髪?眼鏡は視力が悪くなれば着けるのは…………コンタクトが使えるなら、"通常のを使って視力補正が掛ければ良い"のにそれをしないのはどうして?…多分だけど、右と左では視力の差が激しい筈。眼鏡だとそこまで極端な調節は難しい気がする。前髪に関しては………その赤い目を隠す為じゃ、ないの?」
「……トリオン体ってさ、全然疲れを感じないでしょ?痛覚を切るのと同じで、疲労もほぼ感じない。………ヒナ先輩の弟子になった頃、早く上達したくて無我夢中でオペレーターの仕事に専念、練習をしていたんだ。だけどそのせいでサイドエフェクトを使い続けてさ、……ウィルスに侵食されそうになって大変だったんだ。さいわいにも先輩や言実さんに助けられて大事には至らなかったけど………換装を解いた瞬間に疲労感やら目の痛みが凄かったよ全く。…………だから、私のトリオン体は【生身と同じ様に痛覚や疲労を感じる設定になってるし、生身でも頑張り過ぎて右目の視力もがた落ちして補正が必要になった】。前髪に関しては、……やっぱりさ、【同じ事を繰り返したくなくて】かな?風間さんに【堂々としていれば良い、悪い事をしていないし、その目や髪が嫌いなら話は変わるが】って言われたけど、難しいよ。"遺伝だって分かっていても、それの元であるお婆ちゃんが私が産まれる前に亡くなっちゃっているから、家族は抵抗なく受け入れてくれても、写真で私も拝見したから理屈は分かるけど"………やっぱり、辛いよ。同じ様な人が、側に、居てくれないと…っ!(……ヒック、ヒック)」
白濁とした左目からも赤い右目からも涙を流すシロを見て、"確かに色が異なるし珍しいが自分達の目と何も変わりない"、そして"能力持ちや珍しい容姿を持つ者似た悩みや苦悩を抱えている"と、理解は出来た。が、泣いているシロを諌める事は四人には出来なかった。……シロの能力もだが、泣いている時は能力コントロールが疎かになる、少なくとも柚紀がそうなら彼女もそうなる可能性が高く、下手に触れれば逆に負担になる…だが泣かせたままには………そんな葛藤と戦っていると
- ウィーン、……ズカズカズカ -
「ったく、スイッチボックスじゃ"通常の物質はワープ出来ねぇ"の位分かるだろうが!……鶴ヶ峰は例外だけどな。使いパシりも大概にして欲しいぜ全く!!(トン、……ブォン!…パサッ……クイッ、ポンポン)……泣くなよ市河、もう昔とは違うだろ?……鶴ヶ峰が居るだろ?同じサイドエフェクトや悩みや経験をしている女子がな(ポンポン)……寂しがらなくて良い、一人じゃないだろ?な??」
「………(コクリ、……グシグシ)すみま、せん。諏訪さん、……貴方も色々、大変、なのに」
トリオン体の諏訪が何時もの咥え煙草と、屋上に放置されていたヴァイオリンケースを片手にやってくると、柚紀が眠るベッドの足元にケースを置き、バックワームを作動させるとそれをシロに被せた後に引き寄せ優しく抱き締めれば背中を叩いてあやし始める。それにより落ち着きを取り戻したシロが泣き止んだのを見て「気にスンナ、この姫様のお守りをしてればこの位嫌でも慣れるさ」と、直ぐに開放すれば、部屋の隅っこに置いてあった"兎のぬいぐるみ"を渡した後に四人の視線に気づき「ジロジロ見るな!!」と怒鳴る姿は何時もの諏訪である