65.見送りの曲〜安全祈願〜(130.
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そしてお昼になると、何故か風間隊メンバー・冬島隊の二人がカレー料理を持ってラボに押し掛けてきた。勿論太刀川隊や鶴ヶ峰二人分のも"食べそうな物"を選んで。そして談笑しながら食べていると出発の時間が迫っており『片付けはコチラでする。遅れると室長が煩いぞ?』と言う言実のお言葉に甘えて退室するメンバーに『いってらっしゃ~い』と見送る柚紀に各自返事やら反応を示して部屋を後にする。そしてお皿類を運びやすい様に集め終えた辺りで、迅そして嵐山がラボに顔を出す
「柚紀ちゃん、迎えに来たよ。……"まだやりたい事あるんでしょ?"なのでもう少しだけ我儘を許して上げてよ言実さん」
『………(ハァ〜)ま、明日は日曜日だ。少し無茶をした所で月曜…火曜日までに体調が戻れば私は文句を言わぬ。時に柚紀、……"黒いズボン"は平気なのか?』
『えっ?あ〜………うん、大丈夫、かな?……黒い服が、…正確には"黒いアウター系"が駄目みたいだから、冬島さんのインナー姿を見ても平気だった。………多分、スーツが苦手な理由、……あの二人が黒いスーツで、お父さんの事を報せに来た、あの時の私は小さくて、見上げていたから視界には足元まで、見えなかった、から』
「(……だから迅が"ジャケット下のインナーを今だけ白に"って言ったのか)……(ナデナデ)…だとしたら暫くまた学校には行きづらくなりそうだね。確か柚紀ちゃん達の制服、男女共に黒ではないけど、紺色だ。………辛くならない?」
『……分からない、実際に、見てみないと。でも、黒に似ているだけで違うって分かっているから、冷静さを失わなければ、多分…平気です。………この話は、また後ほど。…行ってきますね、言実さん』
『………………夕方前には退勤する、それまでにラボに帰ってくる事。いいな?』
こんなやり取りをして三人もラボを後にする。それを見送った言実は『諏訪、暇なら少し手を貸せ。ラボで待つ』と手短に電話で諏訪を呼び寄せる。……彼なら文句を言いながらも必ず来ると分かっているので、それまでソファーに体を預けて一時の休息の為に瞳を閉じるのであった
〜 ボーダー本部基地・中庭 〜
遠征艇の周りには乗り込む隊員と、上層部(林藤さん抜き)が勢揃いしていた
「では行って参ります」
「あぁ、道中もだが星に着いても気をつける様にな」
「大丈夫ですよ、俺や冬島さん達は何度も遠征をこなしてますから。(ポン!)初めて組のサポートもバッチリこなしますよ?!」
「(フン)そこはあまり心配しておらぬわい!……もし、女王や兵隊蟻共が特殊変異した個体なら、着地した星でも被害を出しておる可能性もある。今回の任務目的は【亜種に関する調査】だ。いつも以上に真剣に慎重に取り組んでくれ」
「大丈夫ですよ室長、……念の為に言実ちゃんから"切り札を二つ"、借りてますからこれで万が一エンカウントしてもどうにかしますので」
主に隊長たちと上層部のメンバーが話をしていて部下は待機していた。……早く乗って出発してしまいたいと愚痴を漏らしていた菊地原が、ふと上空を見上げた。それを見た歌川が声を掛けるが、手を翳して制されてしまい同じく上空を見上げてみる。……一見すると、何も見えないが
- ♪♫〜♫♫♪〜〜 -
「……楽器の、演奏?これは、…ヴァイオリン??」
「おや、この曲………確か【ひまわり】と言うある男性音楽家が最近作った曲の筈だが、………譜面が既に出回っているのか?それに、原曲は……もう少し力強い音だった気がするが」
「弾き手若しくはそのヴァイオリンの性能の違い、だと思いますよ?………これ、録音された音じゃない。多分"今何処かで弾いている"のが、原理はどうであれ僕達に聴こえている(こんな芸当が出来るのは、それに何処か優しさが漂う音色……)……本当に、君らしいね」
歌川も、そして他のメンバーにもヴァイオリンの音色が聴こえてきたのだ。その中で根津が曲名を当ててみせるが、【かなり最近発表された曲で一般人が弾くのは不可能であり、音の違いからしてご本人が奏でていない、そもそも彼はこの街の人でない】的な疑問点を上げるが、………"音の専門家"である菊地原には分かっていた。コレが誰の仕業なのかが
そんな彼の表情を見て他の隊員達も察したらしく、同じく上空を見上げる
- ♬、♪〜〜♪♫♪♫♫〜 -
「全く、……アイツは何時も予想以上の事をしてくれる奴だよな〜。飽きなくてマジで楽しいぜ俺は!」
「…………本当は、歌って見送りたいが未だに痣が消えていない。が、せめて何かしたい。……その結果辿り着いた答えがコレか」
「あの子は"此処に来る前から"弾けたらしいぜ?で、声が出なくなってからは"歌の代わりに楽器演奏をして気をまぎらわせていた"んだとさ。主にピアノと、……ヴァイオリンをな。因みにヴァイオリンは誕生日プレゼントで貰ったらしいぜ?………いやはや、翡翠のペンダントもだが、ヴァイオリンだぞ?…………マジで姪に金を注ぎ込む事に関しては躊躇ねぇよな〜……言実ちゃんは」
「「うんうん」」
そんな話をしていたが、出発時刻となり名残惜しげにしながら隊員は登頂し、遠征艇は黒い穴……ゲートに飲み込まれ姿を消したのであった。それとほぼ同時にヴァイオリンの音色も、ピタッと止んでしまい辺りは静寂に包まれ
「………どうか、彼等を見守って下さい。…静樹さん」
- ピュウ〜 -
忍田が口にした誰かに伝える気のない無意識な願いが風に乗って空を舞い上がって消えていったのだった
「柚紀ちゃん、迎えに来たよ。……"まだやりたい事あるんでしょ?"なのでもう少しだけ我儘を許して上げてよ言実さん」
『………(ハァ〜)ま、明日は日曜日だ。少し無茶をした所で月曜…火曜日までに体調が戻れば私は文句を言わぬ。時に柚紀、……"黒いズボン"は平気なのか?』
『えっ?あ〜………うん、大丈夫、かな?……黒い服が、…正確には"黒いアウター系"が駄目みたいだから、冬島さんのインナー姿を見ても平気だった。………多分、スーツが苦手な理由、……あの二人が黒いスーツで、お父さんの事を報せに来た、あの時の私は小さくて、見上げていたから視界には足元まで、見えなかった、から』
「(……だから迅が"ジャケット下のインナーを今だけ白に"って言ったのか)……(ナデナデ)…だとしたら暫くまた学校には行きづらくなりそうだね。確か柚紀ちゃん達の制服、男女共に黒ではないけど、紺色だ。………辛くならない?」
『……分からない、実際に、見てみないと。でも、黒に似ているだけで違うって分かっているから、冷静さを失わなければ、多分…平気です。………この話は、また後ほど。…行ってきますね、言実さん』
『………………夕方前には退勤する、それまでにラボに帰ってくる事。いいな?』
こんなやり取りをして三人もラボを後にする。それを見送った言実は『諏訪、暇なら少し手を貸せ。ラボで待つ』と手短に電話で諏訪を呼び寄せる。……彼なら文句を言いながらも必ず来ると分かっているので、それまでソファーに体を預けて一時の休息の為に瞳を閉じるのであった
〜 ボーダー本部基地・中庭 〜
遠征艇の周りには乗り込む隊員と、上層部(林藤さん抜き)が勢揃いしていた
「では行って参ります」
「あぁ、道中もだが星に着いても気をつける様にな」
「大丈夫ですよ、俺や冬島さん達は何度も遠征をこなしてますから。(ポン!)初めて組のサポートもバッチリこなしますよ?!」
「(フン)そこはあまり心配しておらぬわい!……もし、女王や兵隊蟻共が特殊変異した個体なら、着地した星でも被害を出しておる可能性もある。今回の任務目的は【亜種に関する調査】だ。いつも以上に真剣に慎重に取り組んでくれ」
「大丈夫ですよ室長、……念の為に言実ちゃんから"切り札を二つ"、借りてますからこれで万が一エンカウントしてもどうにかしますので」
主に隊長たちと上層部のメンバーが話をしていて部下は待機していた。……早く乗って出発してしまいたいと愚痴を漏らしていた菊地原が、ふと上空を見上げた。それを見た歌川が声を掛けるが、手を翳して制されてしまい同じく上空を見上げてみる。……一見すると、何も見えないが
- ♪♫〜♫♫♪〜〜 -
「……楽器の、演奏?これは、…ヴァイオリン??」
「おや、この曲………確か【ひまわり】と言うある男性音楽家が最近作った曲の筈だが、………譜面が既に出回っているのか?それに、原曲は……もう少し力強い音だった気がするが」
「弾き手若しくはそのヴァイオリンの性能の違い、だと思いますよ?………これ、録音された音じゃない。多分"今何処かで弾いている"のが、原理はどうであれ僕達に聴こえている(こんな芸当が出来るのは、それに何処か優しさが漂う音色……)……本当に、君らしいね」
歌川も、そして他のメンバーにもヴァイオリンの音色が聴こえてきたのだ。その中で根津が曲名を当ててみせるが、【かなり最近発表された曲で一般人が弾くのは不可能であり、音の違いからしてご本人が奏でていない、そもそも彼はこの街の人でない】的な疑問点を上げるが、………"音の専門家"である菊地原には分かっていた。コレが誰の仕業なのかが
そんな彼の表情を見て他の隊員達も察したらしく、同じく上空を見上げる
- ♬、♪〜〜♪♫♪♫♫〜 -
「全く、……アイツは何時も予想以上の事をしてくれる奴だよな〜。飽きなくてマジで楽しいぜ俺は!」
「…………本当は、歌って見送りたいが未だに痣が消えていない。が、せめて何かしたい。……その結果辿り着いた答えがコレか」
「あの子は"此処に来る前から"弾けたらしいぜ?で、声が出なくなってからは"歌の代わりに楽器演奏をして気をまぎらわせていた"んだとさ。主にピアノと、……ヴァイオリンをな。因みにヴァイオリンは誕生日プレゼントで貰ったらしいぜ?………いやはや、翡翠のペンダントもだが、ヴァイオリンだぞ?…………マジで姪に金を注ぎ込む事に関しては躊躇ねぇよな〜……言実ちゃんは」
「「うんうん」」
そんな話をしていたが、出発時刻となり名残惜しげにしながら隊員は登頂し、遠征艇は黒い穴……ゲートに飲み込まれ姿を消したのであった。それとほぼ同時にヴァイオリンの音色も、ピタッと止んでしまい辺りは静寂に包まれ
「………どうか、彼等を見守って下さい。…静樹さん」
- ピュウ〜 -
忍田が口にした誰かに伝える気のない無意識な願いが風に乗って空を舞い上がって消えていったのだった