65.見送りの曲〜安全祈願〜(130.
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次の日、学校が臨時休校となったので柚紀はフブキと一緒に朝食を済ませると朝早くからボーダー本部に顔出ししていた。とは言っても、フブキは秘密経路への入り口を開いた時点でその場で別行動となった。(毎日素振りやら鍛錬をしているが、休みの日は更に念入りに鍛えるご様子)そして慣れた道のりを一人で歩いていると……何故か嵐山(私服姿)と迅(トリオン体)が待ち構えていた
『(ピタッ)おはよう御座います嵐山さん、迅さん。でも何でお二人が此処に?学校は??』
「おはよう柚紀ちゃん!ん?……今日は土曜日だから学校休みだよ?何でそんな質問が出るの?」
『えっ?だって明日臨時休校って……(ゴソゴソ……トントン)……ふにゃっ?!月曜日が臨時休校っ?!!………ちゃんと見てなかったし、曜日感覚なくなってたや。テレビ、見てなかったからな〜。ま、まぁ、それは良いとして…、でもこんな時間にどうして?それに、迅さんも』
「ん?……(ナデナデ)俺の予知占いって訳でもないけど、遠征メンバーを視ておこうと思ってさ。で、かなり早い時間に来たのは【君の護衛役】かな?言実さんが遠征艇の最終調節を明け方までやってて、今は仮眠中。………そんな休んでいる最中に君にナニかあれば一大事だからね。まだ早い時間だけど、一部のエンジニアは相変わらず仕事熱心で本部に居る以上……用心に越した事はないよ」
「因みに俺は迅に誘われたんだが、嫌々どころか喜んで来た訳だし、早起きは得意で無理して起きた、とかじゃないから気にしないでくれ!朝は犬の散歩に可能な限り出ていて、学校に遅刻しない為にもこの時間帯には既に活動している。あ!?良ければ柚紀ちゃんも朝の散歩とか一緒にどうかな?もし行く気あるなら、今度迎えに行くよ??あの家には犬沢山だから、誰がついてきそうだし」
どうやら久し振りに天然成分が発動していたらしく曜日の勘違いをして恥ずかしげにする柚紀は、何とか落ち込むことなく話を進める。これに対して"よくできました"の意味を込めて頭を撫でながら迅が早く来ていた理由を話し、嵐山はそれに便乗する形だと語る傍ら、柚紀と基地以外で会っても不審じゃない理由が思いつき提案する。それを聞いて『嵐山さんの負担にならないなら…』と了承の意を示してから止めていた歩みを再開する。勿論二人も一緒で、……何故か無意識に柚紀の両手を繋ぎ、彼女の荷物は迅がいつの間にか持っていた
『あ、あのぅ〜。何で両手繋ぐ必要が?それにいつの間にか迅さんに鞄盗られてる!?あ、いや、別に駄目じゃないですが……手が塞がっていると何か、落ち着かなくて』
「大丈夫大丈夫!!……たまには妹扱いさせて欲しいな、あの二人が吹っ切れたみたいであんまり柚紀ちゃんにベタベタすると(クスッ)多分ヤキモチ焼くだろうから、今のうちに、ね(パチン)」
『!?(ポン!)……やっぱり隊長さんだけあって嵐山さんはその辺りはお見通し、なんですね。じ、じゃあ迅さんはっ?!?』
「え〜、俺だって柚紀ちゃんと仲良くしたいよ?!……そろそろ"特別枠"扱いされなくなりそうだし、嵐山みたいに妹扱いしたとしても何かソッチ系の疑いが掛かりそうで、君を傷つけたくないからね。後……そう簡単に運動神経や感覚は戻らないでしょ?コレ、あの屋上時に持ってた鞄でかなり大切なモノ……壊れないとは思うけど念の為に、ね。それにしても、……"面白い事を考えるね"柚紀ちゃんは」
『うっ、……ひ、否定出来ないや。でもって、…私が密かに用意していた事も迅さんには分かっちゃうのは仕方ないかけど、………誰にも言わないでね?あ、嵐山さんは秘密にしてくれるなら、迅さんに聞いても良いですからね!?』
中々仲良く和やかな雰囲気で、話しながら歩いていると前方から誰かがコチラに向かってくる。それに差はほぼないタイミングで三人共気づくが、三者三様な反応を示す。迅は柚紀を一瞥した後に手を離し、嵐山は些か真剣な表情をして無意識に柚紀を自分の後ろに隠す。そして柚紀はと言うと
『(ヒョコリ)犬飼先輩に、……辻先輩??えっと、夜勤明け…ですか?お疲れ様です!後……お、おはよう御座います(ペコリ)』
「ん?……姪っ子ちゃん??こんな朝早くから本部に来てどうしたの?それに………セコム勢の中でも防衛力が高い双璧な二人と一緒に居るし。後おはよ~(フリフリ)………ほら、辻ちゃんも挨拶挨拶!!」
「ぉ、……お、…おはょぅ、鶴ヶ峰。…嵐山さん、迅さんおはよう御座います。(ペコッ)」
「………………柚紀ちゃん、犬飼は荒船と一緒に居たのを見た事があるから分かるけど、………辻とは何時会ったの?」
『えっと、……じ、女王討伐の日に、ラウンジで、ちょっと騒動がありましてそれで、その……「(ポン、ナデナデ)俺から説明するから無理して話さなくていいよ。……はい、水分補給水分補給〜」……ぁ、は、はぃ(……ゴクゴク)』
「………少なくとも辻ちゃんがその子に危害を加えない、…加えれませんから、そんなに警戒しないで下さいよ。後、夜勤明けってのは当たりだよ。仮眠室で寝てから帰ろうかなって思ったけど、ほぼ満室で無理っぽいから今から帰る感じ。……(ポン!、ナデナデ)…あの人もまだ基地内に居るから一人にならないようにね?って、迅さんが居るからそんな心配は無用ですかね。……ではお先に失礼します」
大分話せる様になった柚紀だが、言いづらい事になると、やはりまだ駄目らしく、苦しむ前に迅が話すのを中断させる。このまま長居をしても少女の負担になると察した犬飼が、言いたい事だけを話して辻を連れて早々に離れて行く。その背中を見送った後に三人も歩みを再開し、「辻"とは"挨拶しただけだから」と迅が手短に話せば……綾辻が参加していた勉強会の時と察し、………犬飼が残したあの人が誰なのかも同時に理解をするのであった