64.再認識の曲〜君の好きな人は誰?〜(129.
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『柚紀は、……眠っておるのか?ま、あれだけ窓ガラスを破壊する程のトリオンを放出すれば至極当然な状況ではあるか。だから諏訪にも生身で迎えに連れて来た訳だからな。……佐鳥、時枝。悪いがその子を回収させてもらう、念の為検査を受ける必要がある故にな』
「ってか嵐山隊はそろそろ防衛任務だろ?どっちにしろ、その眠り姫の側に居られねぇ。……名残惜しくなる前に離れるべきじゃねぇか?気持ちを切り替えろ、でねぇとミスをするのはお前達で巡り巡ってそれが鶴ヶ峰への負担となる。それでも良いのか?」
「「……………………」」
そんな大人二人の正論を聞いて二人は互いに顔を見合わせる。…確かに間違えではない、だが……そう考えた二人は無意識に繋いでいた手を離そうとする。が
- ギュッ!………ギュッ! -
「「!!(…コクリ)……お断りします、あなた達に彼女は渡さない」」
「はあぁっ?!?!」
『……ほぅ、保護者であり大人であり、…組織としても地位も実力も上の私の要求を拒むか。(スウゥー)ならば問う、何故その判断に至ったのかを。中途半端な解では私は納得せぬぞ?』
「ん?ん〜……じゃあ、諏訪さんが駄目な理由から!!先ずは防衛任務は別の人に代わってもらうので大丈夫です!で、それとは別に………何で"咥え煙草"じゃなくて飴なんですか?流石に柚紀ちゃんの為に禁煙、じゃないですよね?少なくともタバコの臭いは彼女は嫌ってない、その独特な香りで諏訪さんだって認知している可能性がある。……銘柄で違いがあるとか聞きますが、佐鳥にはサッパリ!!でも、彼女は気づきますよ?【今日の諏訪さんは煙草を吸ってない】って。些細な違いであろうと、気がつく……そう言う子、ですから」
二人揃って要求を拒否したのだ。まさかの反応に諏訪は驚き言実も目を細め纏う雰囲気が変わるのを感じた佐鳥は先ずは攻略が簡単そうな諏訪からダメ出しをする。……少しでも"らしくなければ"柚紀は気にしてしまう。面倒とも言えるが、今まで諏訪は柚紀に対しての言動を一度も変えたことがない。少なくとも佐鳥はそう感じており、変化の理由は柚紀関連ではと自論する。それを聞いて諏訪が動揺したのを見て、さり気なく佐鳥は時枝に視線を向け、小さくため息を漏らした後に次の標的である言実に視線を向ける
「言実さん、貴女が鶴ヶ峰を大切に思う気持ちは分かります。ですが、【仕事とプライベートは分けるべき】では?……確かにサイドエフェクトはボーダー関係者しか知らない事ですし、その能力の源であるトリオンも一般人には知られていない秘密事項。……何か問題があれば対処する為に迅さんを始めとした人達が協力してくれます。が、………【それは貴女に命じられたからではない】。少なくともおれは貴女に"ずっと彼女と仲良くてくれ"と言われた事はないし、今後も側に居ると決めたのは自分自身です。……傷つくのが見たくない、悲しませたくない。そんなの、大切な人に対して誰にでも抱く感情です。………能力を抜かせば彼女は普通の女の子に変わりない。そう思っていないのは他でもない、…貴女じゃないのですか言実さん」
『………………簡単に言ってくれるな、お前達は柚紀が今までどんな人生を送ってきたかを知らぬからそう言える。その子は…「【神の子とか生贄とか】……本当にそれが柚紀の宿命なの?」っ!?……………………聞いたのか?本人から』
「(フルフル)……本人と言えるかは分からない、でも彼女がそう言ったのをおれは確かに聞いたよ。ねぇ、おつるちゃんはさ、……ナニを望んでいるの?自分に対してもだけど、柚紀に対しても。どうありたいの?」
「因みに彼女……柚紀は"自分らしくある事"、そして【父親である鶴ヶ峰静樹氏の死の真相を知る事】、それが今の目的らしいです。それを知るにはこの街から離れる訳には行かない。それを知った上でも貴女は…………逃げる事を選びますか?」
『…………………………』
二人の言い分に流石の言実も口を閉ざしてしまう。長年の付き合いで分かっているのだ。柚紀は、……この姪は一度決めたらどんなに辛くても最後までその意思を貫き通す子だと。沈黙が続く空間の中、諏訪の大きなため息が響き渡る。そして言実の肩に手を置き、何処か全てを諦めたとも開き直ったとも取れる表情を浮かべて、こう告げた
「だから言っただろ?この二人を試すような事をしたって意味ねぇってな。佐鳥がつる姐に駆け寄らない、時枝が鶴ヶ峰の側から離れない。……その時点でもう心は決まっていたんだよ【誰が相手でも鶴ヶ峰が納得しない限り勝手な事をしない】ってな。ま、……俺が普通に煙草を咥えていれば、素直に引き下がっただろうけどな」
『…………ならば何故今日に限って飴にした?理由を話せ』
「半分気分、半分は……症状改善策の一環だ。つる姐は知ってるだろ?"俺も洗脳型の影響下にある"って事を。…………俺はそこまで自分に嘘をついて生きてきてねぇから症状は軽度…ではあるが、煙草や酒はまだ身に沁みてねぇ。嫌いじゃねぇ、寧ろ好きだぜ?が、両方どっか中毒性があるだろ?……切れた際に、変に理性が効かなくなる。それで周囲に迷惑を掛けるのは御免だ。……だから、"一時的に断つ事にした"。それだけだ」
「洗脳………あれって治療方法あるんですか?小荒井達も今じゃ普通に任務出来るまでに改善されてますが、一部の隊員は……未だに後遺症に苦しんでいると聞きます。そこの所はどうなんですか?おつるちゃん」
諏訪がらしくない事をしていた理由を聞いて眠っている柚紀を一瞥する二人。……彼女が不安定な理由の一つが"洗脳被害を受けた"からである。それが無くなれば幾分かは自他共に楽になる、そう思った佐鳥が思わず訊ねる。これに対して答えずに二人…三人の側に近付き、おもむろに携帯を取り出して一枚写真を取る。これに驚く三人を尻目に撮った画像を先ずは学生二人に見せながら、治療状況を説明する
『洗脳のアレは"きっかけ"に過ぎない、……学生も大人も多少なりとも不満や疑問を抱えて生きておる。それを全て曝け出しても【傲慢や協調性のない】と批判される。…が、一度ソレを味わえばあの時の開放的快感は忘れられず、再び望むのもまたヒトだ。故に"基本放置だ"。コチラからは特に指示を出してはいない。……若いうちはまだ"やり直しが利く"、ならば好きにさせて"どうするかを己で決めさせる"。が、迷うモノには手を差し出す事も、それ故に他者に迷惑や危害を加えるモノには制裁を下すのも忘れてはいない。…………そう、考えていた筈なのに、……柚紀に対して一部過保護になってしまったな(…ナデナデ)許せ柚紀、だが私は……私とてもう、喪いたくはないのだ。だから……』