62.硝子の曲(127.
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それから迅が教員から携帯を借りてシロに手渡し、渋々包帯を解いた首元を撮影。……何もないまっさらな画像を見て「じゃああの画像とメッセージは……」と何やら意味深な発言をする。それとは別に丁度別の階の硝子も此処同様に見事に大破しているらしく、全生徒が下校を余儀なくされた。………寒くなってきたこの時期に外気が容赦なく入り込む状態で授業をすれば、風邪を引く未来は誰にだって分かるのだから。が、この騒動を引き起こした当事者にして関係者は居残りし、硝子の片付けや事情聴取を受ける事となった。場所は保健室。………散乱した破片を片付けようとした柚紀が怪我をして、……貧血を起こしてしまったからである
処置をしたが、やはり気分が優れないらしくベッドに横になった状態で話をする事となり、立ち会い人はボーダー側が迅と時枝、学校側が女性担任と保険医の先生、そして………月に数回カウンセリング目的で訪れている、現在柚紀が世話になっているあのお婆ちゃん先生である
「さてと、……硝子に関してはボーダーが弁償しますのでそこは安心して下さい。それと暫くすれば彼女の保護者と、…………俺の保護者にあたる玉狛支部長が説明やらで来ます。俺、あの災害で母親を亡くして上司が保護者代わりで、……今回学校に来たのは俺の独断です。ちゃんとした指示があった訳じゃないので、一応処罰を学校側と一緒に検討すべきかなと。任務を理由にズル休みはするべきじゃありませんから」
『(ガバッ!!)迅さんは何も悪くは……(…クラッ、……ポフッ)……にゅぅ〜〜、ぎも"ぢわ"る"い"』
「あらあら、この子ったら本当に何時も無理をするんだから。(ナデナデ)……大丈夫よ、迅くんにお咎めがあったとしても重たいものにはならないわ。そんなの、…………言実ちゃんが許す訳ないもの。でも、やはり一種のケジメは付けないと。……大人も色々大変だから」
「"どちらの権力が上か下か"……組織的にはそんなのはありません。が、互いに協力関係を築く良い切っ掛けにはなります。学生……子どもが大半を占めるボーダー隊員と学校は切っても切り離せない関係、でも一部の教員や生徒はやはり良い感情を抱いていないのも事実。………実際の所、【教員は基本"委員会が決めた赴任先を拒否は出来ませんが、この三門市だけは例外で"ある程度この地にゆかりのある者を中心に選別されます】から」
「………そちらのお二人は"先生が今も三門市にご在宅であり、住んでいた経験があるから"なのは分かりますが……先生も、ですか?」
迅の発言を聞いて反射的に起き上がって反論しようとする柚紀だが、いきなり動いた影響で気分を悪くしてベッドに逆戻り。それを、お婆ちゃん先生が諌めながら"彼は悪い事していないから大丈夫"と落ち着かせ、女性担任からは迅が何故あんな発言をしたかを推測で話す。……この街の住民はボーダーの重要性を知っているから無下には出来ないし、信頼しているから他の街にさほど人が流出していない。が、完全にではなく、更に外部から危険が他の場所より伴う地に自ら赴くのは相当な理由やら勇気がいるのだ。【……なら、柚紀もそうなのか?】と頭の片隅でほんやりと考えながら話を聞いていた時枝は、男性教員に話を振る。………機会があれば聞こうと決意しながら
そして明らかに意気消沈……とまでは行かないが、何時も何処か気持ちが張り詰めていた妙な空気感がなくなりしおらしくなった男性教員は自分の事を語る
「……僕の祖母がこの街に住んでいたんだ。だが、例のネイバー侵略時に倒壊した建物の下敷きとなり帰らぬ人に。………仕方ない、あれは災害だ。そう言い聞かせては居たが、心の奥底ではボーダーを恨んでいた。…【何故、祖母を助けてくれなかったのか】とね。馬鹿だよな、僕だけが被害者じゃないし、父母や兄弟は健在であり、ずっと一緒に暮らしていた訳じゃない。………あの野々村なんかその日まで共に暮らしていた家族全員を亡くしたと言うのに…『大切なのは数や時間ではなく、如何にその人が大切だったか……だと、私は思いますよ?………私も、ですから』…君も、誰かを亡くしているのかい?」
『(コクン)……私は現在、訳あってボーダー関係者である叔母と暮らしているのは先生もご存知ですよね?……叔母の兄であり、私の父親は叔母がボーダーが公になる前から非戦闘員として所属をしており、………あの災害時に亡くなりました。話を聞いた限りでは【逃げるのに遅れた幼い子どもやお年寄りを助けている際に敵に遭遇して、時間を稼ぐ為に囮となり……一瞬の隙を狙われて凶刃により命を落とした】らしいです。亡骸は帰ってきませんでした。……先生のお祖母様と同じ末路を辿り、五体満足な状態で無かったのが災いし、個人判別鑑定が不可能な状況でしたので。叔母はそんな父親の後釜として現在ボーダーに勤めて居ますが、……実際の所は【あんな結末になった真相を探りたくて】働いている、そんな気がします。父親は表向きは精神関係の病のエキスパート…医師で、その界隈では有名だったらしく色んな地域に赴いて、指導やら講演会を開いていて家を留守にするのはしょっちゅうありました。ので、私はそこまで長く父と一緒に過ごした訳ではありませんが、………やはり居なくなった時は、……悲しかったです。だから、先生の気持ちが分かります。………子どもが何を言うと、反論しますか?』
「……(フルフルフル)いや、少なくとも僕はしない。…………【君が以前住んでいた地にも僕は住んでいたし、今も身内が住んでいる。だから、子どもでもそんな考え方をしても納得してしまう】自分が居る、……アソコが異質だと今ならはっきり理解出来る。だが、こうやって"別の角度から見直さなければ"分からない事だ。……その身内も教育に携わっていてね、彼のやり方を模範にして授業を僕もしていたが、……駄目だね。【そこに通う学生の学力や理解力に合わせて、教師は教えるべきなのに、逆に考えてしまっていた】。……此処はあの地ではないし、僕はあの先生ではない。だが、成果は上げていたし何より……鶴ヶ峰くんの学力がそれを証明している。あの地では【例えその地域内で平均な学力でも他の地域ではトップクラスな程の頭脳を有していても、相対的評価体制を用いるせいで】自己評価を軽んじてしまい、誤解する。………僕は"自分が如何に優秀な教員が"を無意識に主張しようとしていた。…それが当たり前、そんな環境だったからねアソコは」
処置をしたが、やはり気分が優れないらしくベッドに横になった状態で話をする事となり、立ち会い人はボーダー側が迅と時枝、学校側が女性担任と保険医の先生、そして………月に数回カウンセリング目的で訪れている、現在柚紀が世話になっているあのお婆ちゃん先生である
「さてと、……硝子に関してはボーダーが弁償しますのでそこは安心して下さい。それと暫くすれば彼女の保護者と、…………俺の保護者にあたる玉狛支部長が説明やらで来ます。俺、あの災害で母親を亡くして上司が保護者代わりで、……今回学校に来たのは俺の独断です。ちゃんとした指示があった訳じゃないので、一応処罰を学校側と一緒に検討すべきかなと。任務を理由にズル休みはするべきじゃありませんから」
『(ガバッ!!)迅さんは何も悪くは……(…クラッ、……ポフッ)……にゅぅ〜〜、ぎも"ぢわ"る"い"』
「あらあら、この子ったら本当に何時も無理をするんだから。(ナデナデ)……大丈夫よ、迅くんにお咎めがあったとしても重たいものにはならないわ。そんなの、…………言実ちゃんが許す訳ないもの。でも、やはり一種のケジメは付けないと。……大人も色々大変だから」
「"どちらの権力が上か下か"……組織的にはそんなのはありません。が、互いに協力関係を築く良い切っ掛けにはなります。学生……子どもが大半を占めるボーダー隊員と学校は切っても切り離せない関係、でも一部の教員や生徒はやはり良い感情を抱いていないのも事実。………実際の所、【教員は基本"委員会が決めた赴任先を拒否は出来ませんが、この三門市だけは例外で"ある程度この地にゆかりのある者を中心に選別されます】から」
「………そちらのお二人は"先生が今も三門市にご在宅であり、住んでいた経験があるから"なのは分かりますが……先生も、ですか?」
迅の発言を聞いて反射的に起き上がって反論しようとする柚紀だが、いきなり動いた影響で気分を悪くしてベッドに逆戻り。それを、お婆ちゃん先生が諌めながら"彼は悪い事していないから大丈夫"と落ち着かせ、女性担任からは迅が何故あんな発言をしたかを推測で話す。……この街の住民はボーダーの重要性を知っているから無下には出来ないし、信頼しているから他の街にさほど人が流出していない。が、完全にではなく、更に外部から危険が他の場所より伴う地に自ら赴くのは相当な理由やら勇気がいるのだ。【……なら、柚紀もそうなのか?】と頭の片隅でほんやりと考えながら話を聞いていた時枝は、男性教員に話を振る。………機会があれば聞こうと決意しながら
そして明らかに意気消沈……とまでは行かないが、何時も何処か気持ちが張り詰めていた妙な空気感がなくなりしおらしくなった男性教員は自分の事を語る
「……僕の祖母がこの街に住んでいたんだ。だが、例のネイバー侵略時に倒壊した建物の下敷きとなり帰らぬ人に。………仕方ない、あれは災害だ。そう言い聞かせては居たが、心の奥底ではボーダーを恨んでいた。…【何故、祖母を助けてくれなかったのか】とね。馬鹿だよな、僕だけが被害者じゃないし、父母や兄弟は健在であり、ずっと一緒に暮らしていた訳じゃない。………あの野々村なんかその日まで共に暮らしていた家族全員を亡くしたと言うのに…『大切なのは数や時間ではなく、如何にその人が大切だったか……だと、私は思いますよ?………私も、ですから』…君も、誰かを亡くしているのかい?」
『(コクン)……私は現在、訳あってボーダー関係者である叔母と暮らしているのは先生もご存知ですよね?……叔母の兄であり、私の父親は叔母がボーダーが公になる前から非戦闘員として所属をしており、………あの災害時に亡くなりました。話を聞いた限りでは【逃げるのに遅れた幼い子どもやお年寄りを助けている際に敵に遭遇して、時間を稼ぐ為に囮となり……一瞬の隙を狙われて凶刃により命を落とした】らしいです。亡骸は帰ってきませんでした。……先生のお祖母様と同じ末路を辿り、五体満足な状態で無かったのが災いし、個人判別鑑定が不可能な状況でしたので。叔母はそんな父親の後釜として現在ボーダーに勤めて居ますが、……実際の所は【あんな結末になった真相を探りたくて】働いている、そんな気がします。父親は表向きは精神関係の病のエキスパート…医師で、その界隈では有名だったらしく色んな地域に赴いて、指導やら講演会を開いていて家を留守にするのはしょっちゅうありました。ので、私はそこまで長く父と一緒に過ごした訳ではありませんが、………やはり居なくなった時は、……悲しかったです。だから、先生の気持ちが分かります。………子どもが何を言うと、反論しますか?』
「……(フルフルフル)いや、少なくとも僕はしない。…………【君が以前住んでいた地にも僕は住んでいたし、今も身内が住んでいる。だから、子どもでもそんな考え方をしても納得してしまう】自分が居る、……アソコが異質だと今ならはっきり理解出来る。だが、こうやって"別の角度から見直さなければ"分からない事だ。……その身内も教育に携わっていてね、彼のやり方を模範にして授業を僕もしていたが、……駄目だね。【そこに通う学生の学力や理解力に合わせて、教師は教えるべきなのに、逆に考えてしまっていた】。……此処はあの地ではないし、僕はあの先生ではない。だが、成果は上げていたし何より……鶴ヶ峰くんの学力がそれを証明している。あの地では【例えその地域内で平均な学力でも他の地域ではトップクラスな程の頭脳を有していても、相対的評価体制を用いるせいで】自己評価を軽んじてしまい、誤解する。………僕は"自分が如何に優秀な教員が"を無意識に主張しようとしていた。…それが当たり前、そんな環境だったからねアソコは」