62.硝子の曲(127.
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佐鳥との仲が修繕された次の日、首の鎖も半分となり大分声も出るようになったので柚紀は久し振りに学校に制服を着て、それも教室に行ったのだった。首はガーゼと包帯を巻いて痣と妙な赤い斑点を隠している状態であるが。聞かれた際には「薬が合わなくて全身が痒くなって、首元を掻きむしってミミズ腫れに。サビオだと跡が隠せないのとテープに肌が負けて赤くなる」的な理由をシロが説明。……全部嘘はないが一部は最近起きた事ではない、だが"薬でもアレルギー反応は出る事"や"肌が弱い人"等の症状を柚紀が抱えている事は例の討論会で話されているので、誰も疑いはしなかった
そして更に驚かせたのは柚紀が教室復帰と同時に佐鳥もクラスに顔出すお馴染みの光景が戻ってきていたのだ。それも人目も気にせず抱き着いたりと、以前よりパワーアップさせて。多少は甘んじて受け入れる(柚紀本人も嬉しそうにしている)が、それをずっと容認はされずフブキやシロの判断で引き離し、佐鳥が反論すれば親友二人も負けずに対抗。……収束がつかなそうになれば烏丸、…最後には時枝が手を貸す的な流れが"一日"で出来てしまったのだった。困ったりもしたが始終楽しそうな柚紀は早退せずに学校を終えれば、当たり前の様に佐鳥がお店まで徒歩送迎に参加するのであった。その夜に時枝が【やり過ぎ、変な噂になっても知らないよ?】と苦言を告げるが【オレがあの子と仲良くしたいのも側に居たいのも事実。その噂が彼女を傷つけるなら対処するけど、流れるとは限らないし、オレが女子にもフレンドリーなのは皆が知っているから大丈夫!!……ちゃんと加減は心得ているから心配しないで】と返信が来たのでそれ以上追求は出来ずに居た時枝は、今後の事で柚紀の事を含めて頭を悩ませる事となるのであった
それから数日後の授業と授業の合間にある短な空き時間にて
「………ハァ〜。(……駄目だ、無理してないし食事も睡眠も取っている筈なのに、調子が良くない。………確か明日には太刀川さん達が遠征任務に出発してしまう。なら例のタイムリミットは今日まで……でも結局答えが、……ぼんやりとは考えたけど、これで大丈夫かが、分からない。後、今日放課後に防衛任務がある。………換装すれば、何とかなる…かな?)(- ………トン、トン -)……んっ?……誰?………えっ?」
『だ、大丈夫時枝くん。机にうつ伏せになっているし、その……授業中も、船を漕いでいたのかな?体が揺れていた気がするけど……ち、…調子悪いなら、保健室、行った方が良い、よ?』
「(……ムクリ)……平気、だよ。明日から太刀川さん達がって考えたせいか、……少し寝不足なだけ。………えっと、わざわざ声を掛けてくれて有難う鶴ヶ峰さん」
『(フルフル)き、気にしないで!その……席の位置的に黒板を見ていたら自然と時枝くんが見えるから、…気になった、だけ。…………あ、あのさ、時枝くん。流石に"英語の辞典二つはない"よね?やっぱり』
「?????」
色々考え過ぎて体調不良を起こしてしまっている時枝に、柚紀が心配げに話し掛ける。今の四人の席だが、柚紀は窓側で比較的後ろ側であり、時枝は窓から二列横で前側、その廊下側斜め後ろにシロがおり、柚紀が座っている席の"本来の主"である烏丸が廊下から二列目で真ん中辺りに座っており、視線上確かに時枝が目に入るのだが、勉強に集中している柚紀が時枝の様子に気づく可能性は低い筈だが……頭が回らない時枝はそれすら考えに至らず、素直に礼を告げる。……さて、どうやら柚紀はその様子見以外にも別件があるらしく訊ねてくるが、理解出来ずに不思議そうにする。……どう説明すべきかと悩んでいると、シロが助け船を出す
「なんかね、あの英語の先生のやり方が"ユズちゃんが以前通っていた学校の先生に似ている"らしくてさ、受験対策と銘打って"明らかにレベルの違う問題を出題してくるのでは"って心配しているの。……実際にフウちゃんのクラスは教科書では取り扱っていない英文を用いたプリントを配られて、予習の意味がなくなって色々大変だったって昨日放課後に勉強しながら話しててさ。……この後英語でしょ?辞典で調べながらプリント解くのは大丈夫そうなんだけど、ユズちゃん持ってないし佐鳥くんやフウちゃんもなし、私や烏丸くんは自分の分しかないから………玉砕覚悟で君に聞いた感じかな?……はい、水分水分!」
『あ、アリガ、トウ。………(ゴクゴクゴク)』
「……確かに、あの先生の"生徒の学力を考慮しないで勉強を進める感"は否めないかな?それに、……どう言う訳か鶴ヶ峰さんを気に入っている…贔屓とは違うか?……兎に角、他の生徒よりも明らかに当ててくる頻度が高いのも事実。だから辞典かー、………ごめん、おれも電子辞書一つしか持ってないから貸すのは難しい。けど、……………笹森は?彼奴なら持っている可能性あるよね?」
『(プハァー)……あ、成る程!!笹森くんなら持っているかも!?って携帯に連絡するのも時間的にアレだし……直接出向くか。ってな訳で(……クイッ)シロ、付き合ってよ。一人じゃ行きづらいからさ、……時枝くんもアドバイス有難うね!!』
未だに話し過ぎるて喉に負担が掛かるので、乾燥防止も兼ねて適度に水分補給を柚紀にさせており、シロは勿論だが佐鳥やフブキも飲み物を常備してたりするのだ。……やっとある程度話せる様になって嬉しい柚紀は直ぐに補給を怠ったり、話し過ぎるので止める手段として理由に用いっている訳である。そして話が纏まると一言時枝にお礼を言ってからシロと教室を出る柚紀。……それを見送った時枝が無意識にため息を漏らしていると、烏丸が近寄って来る。……二人が出て行った入り口を見つめながら