7.呼び名の曲(72.
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柚紀の言い分を聞き、数人は謝罪の言葉を残して去っていった集団を見送った後、市河女子が「柚紀ちゃ~ん。ふ、二人を止めて~!!」と泣きそうな声で要請が来たので、慌てて菊地原と野々村女子の間に入り込み仲裁する。……どうやら似た者同士だった影響で互いに言い合いとなり、性格的な理由も含めて引くに引けなくなった様だ。一先ず落ち着いて距離も置いた二人は改めて口を開いた
「………で、君は一体誰?此処の生徒で鶴ヶ峰を名で呼んだから友達っぽいけどさ。……あ、僕は菊地原士郎で、君がガン飛ばしたコッチは歌川遼。何か聞いた話によると僕達と同級生で、今度ボーダーに入隊する女子の中でアタッカーとしては有望だって噂されている後輩って君でしょ?…男ならセーラー服着ないだろうからね」
「……野々村風音だ、つまりアンタ達もアタッカーな訳か。ま、………メインが違いそうだが一応先輩になるだろうけど。…アンタ達の第一印象がイマイチだから、悪いが"違う学校の同級生"として接しさせて貰う。それと歌川、だったな。……いきなり睨み付けて悪かった」
「いや、今さっき鶴ヶ峰から理由を聞いた。事情も知らずに答えを口走ってしまったのは俺だ、……友達選びは重要だからな、試すような事はあまり賛同出来ないが市河や…鶴ヶ峰の事情を考えれば、その位の事はすべきなのかもな」
「で、でも柚紀ちゃんだって、ちゃんと"線引き"出来たね。"貴方とは仲良くならない"って!……クラスでは誰に対してもその、……優しいから、あんな風に口が上手い人に騙されないかし、心配していたけど……大丈夫そう、だね」
風間隊の二人と女子二人と和やか(?)に会話をしている最中、同じ学校組が固まって情報共有する事に。……一部はその場凌ぎの"ハッタリ"や"知られたくない事"があるからだ
「一先ず言実さんへの報告はおれがするよ、多分一番適任だからね。それで笹森、……カメレオン発動時に撮った写真のデータをおれにも送ってくれないかな?」
「あ~それなんだけどさ、……(ポリポリ)あれ咄嗟についた嘘なんだよね~。…鶴ヶ峰ってさ、写真嫌いって言うか苦手だろ?だから撮れなくて。…あれは以前おサノ先輩が脅しでやって見せたテクニックなんだよ。【下手な事をしたら即諏訪さんに報告する】的な奴。でさ、……男子は俺覚えているから問題ないよ、同じクラスの奴も居たし。で、女子は佐鳥に任せて大丈夫か?…全員分かるだろ?」
「あ~、成る程ね。了解了解っと!!……ま、今回関わったら子達"そこそこ色んな理由で"有名と言うか目立つ子ばっかりだし、一人は同じクラスの子。……最悪風音ちゃんに助力を頼むよ。女子には女子のルール的なのがあるって佐鳥は知ってますからね~。…あ、とりまるのバイト先は誰にも言わないから安心してよ?…中学生を雇ってくれる所って意外とないからね」
「……そうしてくれ。あのお店だって迅さんのツテで働かせて貰っているし、マスターは俺がボーダー隊員である事や家庭事情を知って色々融通を聞かせて下さる御仁だ。……売り上げより店の雰囲気を大切にされているし、お前達や…(チラッ)鶴ヶ峰みたいな訳ありな常連客も居るからな」
そんな感じで話を済ませた辺りで風間隊の二人も四人に合流する。理由を請うと「女子だけで話がしたいらしい」と歌川が答え、菊地原は「変な策に僕を巻き込まないでよね」と笹森に苦情を申し立てていた。そして柚紀を含めた女子三人はと言うと
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃぃ~!!(ペコペコペコ)勝手に下の名前で呼んでしまって!?後、ノンちゃんにもちゃんと話せば良かったよ~。"あの課題はもうクリア済み"だってさ~」
「(ハァ~)いや、良いよシロ。俺が素直に友達になっていれば良かっただけなんだからさ。後、……流石に名で呼ばないと不自然かと思って咄嗟に俺も下の名前で呼んで悪かったな。あ~(ガシガシ)………名字だとその、ボーダーのお偉いさんに同じ名字の叔母が居るんだろ?それを知ったらどうにも呼べなくてさ」
『あ、そのっ……わ、私は平気だよ!!ボーダー内だけど仲の良い女子の皆さんは全員下の名前で私を呼んでますから。それに、…(フワッ)元から言うつもりだったから"下の名前で呼んで欲しい"ってね。私も出来ればそうしたいよ?でもさ……二人とも、…"抵抗あるんじゃない?名前呼ばれる事に"……別に似合っていない訳じゃないと私は思うけど』
市河女子と野々村女子が"勝手に下の名前呼び"した件を謝罪。それを聞いて最初は慌てるが後に嬉しそうな笑みを浮かべた柚紀だが、名で気になる事を口にすれば二人が困った表情を浮かべてしまい、連動するかの様に此方も困った表情をしてしまう。それに目敏く気づいた佐鳥が三人に近づき、更に時枝と他四人も女子の側に近づいていく。最初に三人の側まで辿り着いた佐鳥が、市河女子を見つめながらこう切り出した
「それにしても市河ちゃんの下の名前、あれで"スピカ"って読むんだね~。因みに柚紀ちゃんは何で分かったの?ちゃんとした理由や由来あるよね?」
『あ~、うんあるよ。…名前の漢字が"白に輝く"でしょ?それで私が一番に連想したのが、(スッ)夜空に輝く星だったの。で、確信を得るために本人に"春生まれか"を訊ねたらその通りだったから、読みはスピカじゃないかって思ったの』
「……理屈は分からなくもないが鶴ヶ峰、そのスピカって星の名前か?星座ではないよな?俺には聞き覚えがないけど……」
『スピカは春の南の夜空に輝く一等星の名前だよ。星は季節や方角によって様々なのが見れて面白いからね。…春だとスピカが有名だけど他だとオレンジ色のアークトゥルースや白いレグルス何かもあるけど、…後者は光もスピカより弱いし何より"女の子には似合わない名前"だから、これらを含めて考えた結果スピカに辿り着いたって訳です!!』
佐鳥・笹森の問いに対して迷いなく流暢に話す柚紀を見て感心する風間隊の二人と【得意な分野や興味がある事柄には特に詳しくなりやすい事】を烏丸に説明する時枝。見事で完璧な答えに満足そうな野々村女子とは対照的に、市河女子はかなり恥ずかしそうにしていたのであった