〜　暫くすると……　〜

-　ガチャ……ｷｲｨｰ　-
「おっ？来たか……って、木崎と寺島は予想通りだが、…………お前まで来るとは予想外だったぜ？……風間」

❲ん？風間さんっ？！……確か防衛任務中じゃ…❳

「太刀川隊はまだ任務時間だが、ウチは交代した。……明日も平日だ、中学生の二人には遠征に行くまではなるべく普段通りの生活を送らせるべきだと、言実さんに言われてな。俺もそれに賛同して色々便宜をして貰っている」

「確かに大変だが、……訓練を受けたのなら大丈夫だろう。あれは言実さん特製…だからな。……(…コトン)無菌室が無くなったか、物のやり取りに便利な勝手口が健在なのは助かるな。一人前で………平気みたいだな」

❲ん？……あ〜、シロが寝ている件か？コイツ、前に虐めが理由で不登校になった事があってさ、復帰してからは体を壊さない様にしてて学校休んだ事が無かった。が、例のトリオン汚染に関しては"復帰のタイミングがユズと一緒だったから"まだ良かったが、今回は、さ……教室にコイツ行けねぇせいか、やっぱり"一人で"ってのが無理みたいで、"行かなきゃ行かなきゃ…"って自らを追い込んじまって軽い不眠症発生しちまったみたい。………ま、これで解決か？よく寝てるし、"トリオンで栄養補給"出来るだろ？❳

「えっ？！………トリオンでお腹満たされるとか、そんなの……可能、なの？」

「…………柚紀ちゃんと同調している今なら、多分な。トリオン汚染で高熱が続いた際に水分補給は何とか出来たが、食べる余裕はあの子には無かった。で、それが数日続けば流石にマズいと思って言実ちゃんに相談したら、出水が派遣されて例の冷却効果のあるトリオン弾を与えた。お陰で幾分かマシになったから軽いモノから食わせたら"まだ食べたい"と強請ってきた。その後、流石に気になって再度言実ちゃんに聞いたら【健康体の出水による上質なトリオンを取り込んだから、栄養補給もだが消化器官系も活性化されたのだろう】だとさ。つまり【柚紀ちゃんにとってはトリオンが点滴代わり】な訳だ。ただ、今回みたいな場合は"トリオン元"を厳選する必要がある。単純に不足しているなら"基地に蓄積された奴"で事足りるが、今回のケースはそうは行かねぇ。………お前達は知ってるだろ？この基地は"敵の残骸から抽出されたトリオンを使って作られており、原動力としている"のをな」

❲なっ！！？敵のって………そんなのユズやシロの中に入れて平気なのかよっ！！？❳

「問題はないよ、特に変な症状や後遺症は出ていなかったからね。でも、……今の鶴ヶ峰は、そうとは言い切れないか？………もしかして、市河を経由する理由がそれ？」

「成る程な、……取り込んだトリオンを体内で自分のトリオンに還元させ、純度百％のを鶴ヶ峰に送っている訳か。だが、寝ている市河にそんなの可能なのか？」

❲寝ているからこそ、かな？……我が愛弟子ながら"無意識に能力を抑制しちゃっている"からね〜。ま、歌姫ちゃんと同調しているって事は【同じ能力を使える】って事。つまりは【イメージさえ出来れば寝ている間でも発動が持続される、……手を離さなければ、ね】………そんな訳だから、フブキも寝ている二人にはお触り厳禁だよ〜！！…アンタが触れば三人とも危険な状況になる、それを肝に銘じな。………ってな訳で解説と諸注意終わったからお姉さんはドロンします！バイビー！！❳

「「「「……………………」」」」

❲あ〜、……"ユズ居る所につる姐あり"と同じで"シロの説明が為に陽菜さんからドッキリ通信あり"か？……やっぱり、類は友を呼ぶなのか？ま、いっか！とりあえず俺は腹ごしらえっと！！ってか、………スゲぇ豪勢なのが来たが、……本当に食っていいのか？❳

「あぁ。意外と今日は暇みたいで"女子用の夜食"とお願いしたら……何故かこれが出てきた。持っていかない俺を見て【食べるのは鶴ヶ峰か？】と訊ねられたが、【その友人の一人で戦闘員としてボーダーに所属している】って話たら【じゃあ問題なしだね！】と言われて更に小鉢が追加された。………お前も有名みたいだな」

❲………あ〜、たまぁ〜に使っているのもあるが、多分ユズが俺の事を話したんだろうな。あそこのおばちゃんと仲良し的なのを聞いた覚えあるし、結構オマケ貰ったりした記憶もある。ま、ご厚意は有り難く頂くとしますか！！(パン)…頂きます(……ﾓｸﾞﾓｸﾞ)❳

「さてと、……おっちゃんは作戦会議に参加してくっか！！寺島、此処は任せたぞ」

-　ｷｲｨｰ……バタン　-

「了解です。……所で作戦会議って何をする気の？後………君って性格は男勝りだけど、マナーや作法的なのはちゃんとしているよね。これも剣術をしているから？」

❲ん？(ﾓｸﾞﾓｸﾞﾓｸ……ゴックン)……作戦会議の方は"ユズの問題解決の為に"か？後、食事作法に関しては…当たらずしも遠からず、だな。親からもだが、長期休みがあると餓鬼の頃は親戚が営む道場に合宿に参加して、そこで世間に出ても大丈夫な初歩的な作法含めて、……まぁ色々学んだな。因みにサバイバル特訓は実力があっても"年が二桁"なのが最低条件だったが……兄貴に唆されて八歳位から普通に野山駆け回った記憶が…❳

「………それなら男並みの体力が付くのも頷けるな。今度生身で隊員の色んな部門の測定するか、意外な奴の一面が見れそうだ」

「あ〜、女子って体力は無くても持久力はあったり……それこそ鶴ヶ峰みたいに瞬発力や動体視力良い子とか分かりそうだし、長所・短所が分かればそれに見合った戦い方を指導出来そうだね。………木崎はどう思う？」

「………悪くはない。ただ"忍耐力"は計測対象外にしろ」

「忍耐力、……何故そう思う」

「……鶴ヶ峰もだが、そっちの陽菜さんの弟子と言われている少女もサイドエフェクト持ちだろ？………多分だが"決着が付かない気がする"。迅を見ていると、どうも能力保有者は"我慢強い奴が多い"気がしてな。……違うか？」

❲(ﾓｸﾞﾓｸﾞﾓｸ…ゴックン)あ！それは俺も賛成！！忍耐力測定って事は何かしら負荷かけるだろ？……測定終了と共に二人が倒れる未来が迅さんじゃなくても分かるのは、……俺だけか？？❳

「…………(ハァ〜)やるとしても、忍耐力測定は除外だな。さて、……俺も会議に顔出しに行くが木崎はどうする？」

「……………………俺は残る、少し野々村と話がしたい気持ちがある。それと……"俺の出番があるとすれば終盤"と、迅から通達を受けている。ならば現段階は知らなくても問題ないだろう。それに、……守り手は多いに越した事はない。ボスも口にはしないが彼女を気にしているからな」

「………分かった、此処は任せたぞ寺島、木崎……野々村」

-　ガチャ、……ｷｲｨｰ………バタン　-