52.決断の曲(117.
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更に遅れてシロが機械室に到着すると❲風間隊の皆さん、言実さんからの緊急要請です!現場に飛ばしますので一箇所に固まって頂けませんか?❳とアナウンスが入る。これに対して風間が即答が許可を出す。それを見て「……何も言わなくて良いんですか?」と訊ねる嵐山に「言いたい事は大体あの二人が言ったから問題ない」と返答の後、歌川が合流して部下二人が換装したのを確認の上で三人も姿が消えるのであった。それから暫く沈黙が続く中、打ち破ったのは
❲………あまり威張るつもりもありませんが、敢えて言わせて貰うとしたら……………お二人……三人はユズちゃんと"どんな関係で居たいのかをはっきりさせるべきです"。傍目から見ればまぁ、……特別視しているのは一目瞭然ですが、彼女の過去を少なからず知っているから優しくしているとか、言実さんの存在がありますから邪険に出来ないとか、本人が何処か庇護欲を掻き立てられる存在だから理由は色々ありますが……………違いますよね?彼女が大切な人だから護りたい、そうじゃないのですか?私はこちらから他人に…特に異性には殆ど触れた事がないから、貴方達の考えは分からない。別にそれで私は構いません、でも……ユズちゃんに対してはそれは悪手でしかない。きちんと気持ちを伝えないと彼女には届きません。"言った言葉がユズちゃんを傷つけないか"とか"嫌われないか"なんて馬鹿げた事は考えないで下さいよ?ま、それを危惧するのは分かりますが…………あの子は"一度信じると決めた人を本気で疑ったりや嫌いになったりしない"。そして【知らなければ何も出来ない、どう対処すべきかが分からない。だから知りたいと願い、例えそのせいで辛い経験や状況になってもそれを乗り越えて前に進む】……それが鶴ヶ峰柚紀と言う少女です。私が話した事を全て鵜呑みにするかは個人の判断にお任せします、私も"ユズちゃんの全てを知っている"訳じゃないので❳
「……………私は、まだサイドエフェクトに関して詳しくはないのですが、やはり"弱点"や"格付け"は存在するのですか?対人関係の問題とか先輩でも読み取れない事も存在しているみたいですし。更にこう、便利そうだなと…(コホン)……恥ずかしながら思ったりしました(その能力があればあの人の考えが分かる、そうなれば良いなと私は……)」
❲………私の一例を上げると、【"知りたい事のみ"をピンポイントで読み取るのは難しくて、知りたくもない事も受信してしまう点】更には【ある条件を満たすと"その人が経験した過去の記憶"も読み取れてしまう】。因みにユズちゃんはコレに該当しているかな?でもさっき言った通りに、全ては無理。そして【良い意味でも悪い意味でも"印象深いもの・強い思い入れがある出来事や心情"はより明細にしてリアル……疑似体験しているかの様に感じるし、聞こえる声も大きく感情が籠もったモノ】となる。……その流れ込んでくる膨大な情報を処理できなければ、私自身が危険な状態に陥る可能性だってある。さっき木虎ちゃんが"格付け"って言ったけど、確かにサイドエフェクトにもその能力の凄さを表すランク付けは存在するよ?私は確か"Aランク"に相当すると以前言実さんから言われたけど、……ユズちゃんのアレは更に上の"Sランク"であり、能力コントロールだってかなりのモノだよ?私も前よりはコントロール上手くなってきたけど、ユズちゃん以外の人相手だと、…まだまだ駄目。この能力を理解している家族相手にすら、関係の無い内容も受信してしまう。なんでかって思ったけど、………"私が余計な内容を読み取らない様に彼女が無意識に能力を制御…抑制してくれている"。だって【リスクはあるけど本気で望めばユズちゃんに出来ないことはない】、特にこのボーダー基地内ならね❳
「…………鶴ヶ峰や市河の能力を疑う気はないよ?でも実際にどれだけ凄い事が出来るの?特に市河の能力、……あんまり凄い能力ってピンとこないんだよな〜。その能力を上手く活用している姿、俺は見たことないから」
能力込みでならこの中で柚紀を一番理解しているシロが辛口な指摘を男子三人にしたのであった。そしてやはり"何事も経験が少ない"木虎が素朴な疑問を口にする。これに対して軽いサイドエフェクト講座が開かれるが、やはり"自分が経験した事のない事柄"を理解するのは厳しいと笹森が音を上げる。これに対して❲ん〜、……じゃあ実際にやってみせようか?……ちょっとだけ待ってね?❳とナニが下準備を始めるシロ。何をするか分からない六人はとりあえず待機していると、奥寺と小荒井、更には堤と小佐野が合流する。そして東が「向こうはどうなった?」と訊ねたのに対して
「❲"一応、騒動は収まりました。ただ、
「ってか小荒井とほぼ同じ事を言ったのも驚きだが、……何で"結末を知っているんだ?"だって確か…………鶴ヶ峰が消えて間もなく市河は"巽の姐さんから招集が掛かった"とか言って、ラウンジを出ていったよな?えっ??誰か市河に教えたのか?」
と、その場に居合わせた者しか知らない事を口にした小荒井とほぼ同じ内容をシロも口にし、奥寺の問いかけにラウンジに居た者全員が首を降ってNOと反応する。更に
❲【それにしても鶴ヶ峰は大丈夫かな?まだ"洗脳型による影響下"から抜け出せていないから、ちょっとした事でもトラウマを誘発しないかが心配】……ですか?堤さんらしい考え…心配事ですね。ですが、ユズちゃんは元から"心の病と言う持病持ち"なので他の人より長引くのは仕方ない事、………それこそ風間さんが言いました"特効薬"を見つけないと、何度も繰り返します。ゆっくりとなら改善されては行きますが【トラウマの原因が"自分以外の人々"】である以上、完治はほぼ不可能です❳
「「「「「「「「えっ?!」」」」」」」」
「ちょっ?!ちょい待ち市河ちゃん!!アンタ………なんで【生身のつつみんの考えらしい事が分かるのさ?!!】それも触れてもいないのに!?まだつつみんや小荒井がトリオン体なら"内部通話"って抜け道があるけど、……どんなトリックを使ったの!?」