48.鎮護の曲〜荒ぶる気よ、鎮まり給え〜(113.
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〜 検査室 〜
誰かが常時居る訳で無いがシステム悪用を恐れて、ドアの施錠を解除しなければ電気も付かない室内へ風間を先頭に中に入り、機械には一切触れずにそのまま隔離室に足を進める。現場の状況が分からず何時柚紀が来るか分からないので、言実に状況を確認しようとしたその時
- キイィーン……ポフンッ -
『(……パチ、…パチ、……パチパチ)……あ、あれ?此処は?……私、は……「…ちゃんと帰ってきたな、気分はどうだ?(ナデナデ)」……か、風間、さん?……!!…(パシンッ!)駄目っ!?私から、…私に近づかないでっ!!?(ゴロン……ガクッ!)……あっ!』
- ダキッ!………スッ -
「落ち着け鶴ヶ峰、此処はボーダー基地内でもう敵は……あの洗脳型も居ない。お前を傷つけるモノは居ない。だから安心しろ」
『っ!?ち、違う。違うのっ!?風間さんが怖いわけじゃない!?私が……私が貴方を、…貴方に危害を加えるかもしれない!?今の私は"感情やトリオン制御が上手く出来ないっ!?"さっきだって、…米屋、先輩を……攻撃してしまったっ!!?だからっ!?……お願いだから、離れてください。もう、誰かを傷つけたく、ないよっ!!(……ヒック、ヒック…ガクガクブルブル)』
- ズシリッ! -
「「「っ!?」」」
ちゃんとベイルアウト機能が正常に作動して簡易ベッドに柚紀に落ちてくる。初体験でイマイチ状況が飲み込めない少女の顔を風間に覗き込まれて"あ、基地内か"と納得するが、やはり洗脳の影響を受けていたらしく軽い錯乱状態に陥り、狭いベッドから転がり落ちかけるがトリオン体の風間が楽々とキャッチして床に座らせる。そして膝をついて【此処は安全な場所であり、柚紀に危害を加えるモノは居ない】と言い聞かせる
が、柚紀が危惧しているのは【自分が傷つく事でなく、相手を傷つける事】なのだ。実際、原理は不明だが米屋に危害を加えてしまった。そしてその攻撃にはトリオンを使ったのは感覚的に理解しており、トリオンが操作出来るのはトリオン体でも生身でも柚紀には関係ないのだ。その証拠に"制御が上手く出来ない"のを主張するかの様に、三人は"重たいモノを背負ったか"の様な感覚に見舞われる。……軽度ではあるがコレに似た事を遠征特別訓練で受けた経験はあるのと、柚紀がトリオン暴発させた時の感覚に似ているのだ。が、それの比では無い程の負担を現在強いられている。それを何とか柚紀にバレない様に耐えている所に寺島達が到着し((少しだけ我慢して、直ぐにソレ何とかするから!))と、慌てて機械操作をし始める。小荒井達は状況が掴めずただ呆然としている中
- ……ウィーン、……ウィーン -
「「なっ?!!」」
「あ、東さんっ?!何故、貴方がっ、そ、それも……"生身で"っ?!?(内部通話は使えないし、生身でこの空間に居るのは)……い、今の鶴ヶ峰は正気じゃない、下手に"成人男性"の貴方が接触するのは、危険だ!」
- ズシリッ! -
「っ!?分かっている、だが…(コツ、…コツ)……コチラが、…大人が保身に走ったら、【この子は何時までたっても心を開かない!ずっと傷を抱えたままだ!】(コツ、……コツ、…コツ)多少のリスクを覚悟の上で、コチラから動かなければ……【彼女はずっと、大人を、異性を拒絶し続ける】互いに歩みよらなければ、ずっと分かり会えないままだ!(コツ、コツ、コツ……スッ)」
「「「!!?」」」
東が生身の状態でもコチラに入って来たのだった。トリオン体でこれだけ異常を感じるのだから、生身には相当の負荷になっているのは相手の足取りがゆっくりなのと表情から読み取れる。それでも東は歩みを止めないのだ、……柚紀が不安定な今だからこそ【トラウマ克服のチャンス】だと考えたからだ。確かに少しずつだが症状は改善されてはいる、だが……【このペースでは"間に合わない"。下手をすると悪化する】そう思ったのだ
何故東がそう判断したのかは一度置いて置くとして、近くに東が来たのでさり気無くその場を明け渡した風間は((辛いなら外に出ろ、居るなら絶対に"膝を付くな"。視線が低くなれば恐らく鶴ヶ峰に気づかれるぞ))と、部下に指示を出し二人は……その場に留まりのを選択したのであった。さて、東は逆に柚紀の側で膝を付き頭を撫でてやる。すると両手で顔を覆い泣いている少女が反応したのに気づき、"自分の世界に閉じ籠もっていない"のを確認すると
- ………ソッ、…ポンポン -
『!!!…い、嫌っ!?離してっ!離してっ!?私は、…私はもう、誰かを傷つけるのも傷つけられるのもイヤッ!!!?嫌なのっ!!だからっ!離してっ!!!?(ジタバタジタバタ、ポカポカポカポカ)』
- ズシリッ! -
「くっ!?……(ポンポン)……大丈夫、大丈夫だよ。…君程度の、女の子の、子どもの打撃は、俺には痛くも痒くもない。(ポンポン)……あの二人が錯乱状態の時に、殴られた経験がある、からね。(ポンポン)……この位、俺は大丈夫だよ?だから……暴れたいなら暴れて良いよ?俺が受け止めて上げるから(ポンポン)」
『(………ピタッ!…ポロポロ)……ほ、本当に、良いの?我が侭言っても、やりたい事、言いたい事、しても。(ポロポロ)だって、……前に、同じ事言ってくれた人は(ポロポロ)途中で、私を拒絶したっ!!……確かに理解しづらかったかも知れないけど、…相手を困らせるつもりは無かった!?【共感して欲しい】なんて言わない!でも"こんな考え方や方法もある"と認めてほしかった!!ただ、それだけ、なのにっ!!』
「………(ポンポン)大丈夫。"十人十色"…色んな人が居れば考え方が違うのだって当たり前だし、歩みの速度も違う。二人三脚みたいに足並みを揃えるべきな時もあれば"パートナーを変える"選択肢だってある。(ポンポン)……鶴ヶ峰も"自分はこうしたい、こう思っている"ってちゃんと話せば、全員は無理でもちゃんと分かる人には伝わる。(ポンポン)だから、大丈夫だよ」