「「「鶴ヶ峰っ！！？/柚紀(っ！！/ちゃんっ！！？)」」」
「……あっ！(ペタン)わ、わた、私がっ、…私が柚紀先輩を怖いと、思ったから？だって私、…足手まといになってた。結局助けを求めるだけで……堤さんを打つ勇気が無かった。ランク戦なら、普通に出来たのにっ！？なのにっ！！」
「(…ダキ、…ポンポン)……次、その瞬間が来たら迷うなよ日浦。その時、自分は何を優先すべきかをな。間違えても良いが、ナニもしないは駄目だ。………それをすれば最悪…鶴ヶ峰が危うくなる、肉体的な事もあれば精神もな。(…ポンポン)……アレは何でも抱え込みやがる、内に秘めた気持ちを吐き出せば感情が乗り内容次第では周囲を危険に晒す。適度に解消、息抜きさせる必要がある。そんな時に、お前が元気で笑って……側に居るだけで、アイツは楽になる。一人じゃないと分かれば、時間は掛かるが自然と話すようになる。(ポンポン)……そん時が来るまでに、…強くなれ日浦。鶴ヶ峰と今後もずっと仲良くしたいのならな(ポンポン)」

派手な爆発やら爆風や瓦礫が飛び交うせいで、小柄な柚紀の姿を見失い焦りを見せる三人。そして退避した地面に座り込んでいるショックを受けて涙を流している日浦を抱き上げてあやす諏訪。……帽子を被っているので頭を撫でずに背中を叩きながらである。そしてそんな中❲ちょっ！？諏訪さん！柚紀ちゃんが心配じゃないんですか？ってか……まさかロリコンとか言いませんよね？❳と小佐野から若干意味不明な通信が入り、その後ろでは部下の諌める声がしたのだ。……無意識に溜め息を漏らして落ち着いた日浦を熊谷に預けると、若干不機嫌そうな口調でこう返した

「心配しねぇ訳がねぇたろが馬鹿！！だがなっ！……アイツがつる姐を悲しませる事をする筈がねぇんだ！！？なら、あの爆発の中でも無事で居られる算段があっての行動……なのは分かるが、何処に行きやがったんだよあの姫様はっ！！？(ｷｮﾛｷｮﾛ)」
「(な、泣くな私っ！！先輩を助ける為にも、もっと強くなるんだ！！？と、とりあえず今は先輩を探さないと)(ｸﾞｼｸﾞｼ…ｷｮﾛｷｮﾛ)……！居たっ！？でも、………えっ？く、"空中に浮いている"？？！」
「違うわ茜、あれは………シールドを足場にしているのかしら？"丸い円盤みたいなのに乗っている"わね、あの子」
「鶴ヶ峰のシールドは昔からずっと円形ですね、グラスホッパーは……四角でしたが(あんな風に使えるのか？だけど何であんな事を…)何しているんだよっ！？危ないから降りて来いよっ！！……鶴ヶ峰っ！！？」

落下してくる瓦礫を注意深く見ているが柚紀を見つけられない諏訪、何時も守られてばかりでは駄目だと考えつつも"今の最優先事項"を行う日浦は見事に柚紀を探し当てるが………空中に留まる行為なんて、普段誰も出来ないししない為、仕掛けは見破りるが意図が掴めない熊谷と笹森はとりあえず呼びかけてみるのだった。その間、那須は念の為周囲を警戒していた
下から呼ばれているのには気づいている柚紀だが、頭の中は【新種の亜種の居場所特定と……どう倒すか】を考えるので頭が一杯であった。それを数値モニタリングしている言実にも知られており《柚紀、考えるなとは言わぬが……己を見失うなよ？》と、声を掛けられてひと呼吸置くと………叔母に対してこう問い掛ける

『………言実さんは今回のカラクリ、どう見ますか？少なくとも"今回の亜種の原型はモールモッドではない"…これは分かるのですが、ならどうやって堤さんに干渉したかが………私には分からない』
《……敵の攻撃を受けた隊員が仲間に危害を与える、………此処までは共通事項の筈だが、【一部の人間にしかその症状が現れぬ】のが今回悩ませるポイントだ。洗脳された同士の同士討ちもあるが、同じ条件にも関わらず片方にしか発生しないも、報告されている。更に言うと…………【敵の残骸を検査してもそれがどの個体によるモノかが分からぬのだよ】、恐らく【現行犯】を見つけ出す必要がある(だが、どうやってだ？妨害型は"自ら電撃を食らわせる"手順を踏んだ上で、トリオン体に干渉を及ぼす。が、今回は損傷さえすればであり、……更に隊員が条件に当て嵌まらない理由が解らぬ)》
『……見つけ出すのは私の役目ですので、そこは気にしないで下さい。ですが、…明らかに情報がたりないです。ねぇ言実さん、……どんな人が干渉されますか？私の知り合いだと、堤さん以外に影響を受けた人居ますか？』
《………………菊池原歌川と奥寺小荒井コンビそして、半崎だ。これにより"前衛・後衛のポジション"は関係ないのは判断出来る。因みに三輪隊と太刀川隊は女王の影響でか最近は無傷でなお且つ、速攻で敵を潰すようにしておる故に参考にはならぬ。ただ……迅の予知によれば【新種の亜種と"嵐山隊"は相性がサイアク】らしくてな、…それとなく手心を加えておる。………あの地域以外を担当する様にさせておるが、………そろそろそれも難しくなろう。何せ"どの担当地域でもこの事案は発生しておる"故にな》

高い所に留まりながら"不審な敵が居ないか"を探す柚紀は、被害に遭った者達の"共通点はないか"？と考えるのであった。最初はピーンと来なかったが、嵐山隊全員が対象だと聞いて……"一つの仮説"を立てる。そして…………見つけたのだった"新種の亜種の可能性がある"敵を
が、あくまでも仮説であり"仮説は立証すべき事"なのだ。……この考え方は身近な存在が研究者だからこその思考、であろう。その為に……

-　………ザクッ！…ﾌﾟｼｭｩｰ　-
《！！？トリオン減少量が、増えただとっ？……ナニをした？答えろ柚紀っ！？》
『………脇に、鈴をナイフに形作った奴を、刺しました。少しの怪我では私は簡単に塞がってしまう、でも切断したら(ﾁﾗｯ)諏訪さん達に気づかれる。………トリオン切れになる前に、敵を見つけ出します！…大丈夫、条件的に敵の干渉を私にもしてくるとは思いますが……"同じ能力を使うモノとして、新参者には"負けません。それと、……私が出すオトなら散布してある鈴は、何でも反応します、よね？なら……【鈴がある危険及び放置区域全体を警戒してください】………敵は恐らく"複数居ます"』