47.荒魂の曲〜少女の感情が解き放たれる〜(112.
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「……鶴ヶ峰お前、………堤をベイルアウトさせたのか?見た所敵の姿はねぇし、日浦はお前が張ったシールド内だ。……何でそんな事をした?!」
『(…グイッ…クルッ)……堤さんが"亜種の術中に嵌ってしまったから"です。あのままでは茜ちゃんが落とされていただろうし、…優しい堤さんが心に傷を負ってしまう可能性だってあった。それを放置していたら、下手をすれば"ボーダー隊員で居られなくなる可能性"もあった。………無かったかも知れないけど、……"この手の事"は私が一番分かっている、だから勝手ながら判断させて頂きました。少なくとも堤さんは納得してくれましたが、(スウゥ)……まだ何が文句ありますか?』
「っ!!?(ゾクッ)……いや、同士討ちは避けるべきだと俺も考えていたから文句は言わねぇ。だが、………別にお前が手を下す理由はない気がするが?(今、鶴ヶ峰が一瞬つる姐に見えやがった。違うのは分かっているが纏う雰囲気が……姐さんが"怒っている時の奴"だ。つまり、コイツも相当今回の亜種に対しては腹を立てている訳か)」
合流して一番初めに柚紀にそう問い掛けてくる諏訪に、涙を拭って振り返る柚紀は淡々と理由を語る。……あまり感情的になると、自分が過去の記憶に引っ張られると自覚があるからだ。コレに対してこのメンバーの中でも一番付き合いが長い諏訪ですら、"普段は見ない少女の一面"を見て軽く恐怖を抱いてしまうのだった
さて、諏訪以外のメンバーも戸惑いを隠せないでいるのを見て察している柚紀だが、それを敢えて無視して固定シールドを解き、座り込んでいる日浦に手を差し伸べる。が…
- ………パシィーン -
『……えっ?!!あ、あか、ね、ちゃん?』
「あっ!?……ご、ごめんなさい先輩っ!!その、…………私、聞こえてしまってっ!……堤さんが、ベイルアウトさせたのは確かに先輩ですが、……アレって【胸元に刺さった銀の小さなナイフが堤さんのトリオンを、…"吸い取ったから"】………ですよね?だから、…無意識に先輩に触れるのが、怖くなってっ!!それでっ!!!」
「……えっ?!…鶴ヶ峰、お前、……そんな事も出来るのか?でも今まで俺達に触れて与えこそしたが、吸い取るなんて一度も………」
- ズキッ、……ズキズキッ!! -
『(………あ、そっか。…何時も体質を話す時に"放出は言っているけど、吸収は言っていなかった"っけ?………でも)(…スッ)……言わなきゃ、分からない?何事も【ギブアンドテイク】、【供給と消費】……必ず物事は二つセットで一つであり、【本来片方だけで物事は成立しない】。皆、それが当たり前すぎて忘れているよね。【多少の上下関係はあるけど、今の世の中は昔みたいに"絶対的な支配したりされたり…逆に強力なチカラによる屈服する・される"なんて経験】しないもんね』
差し伸べた手を日浦が払い、自力で立ち上がると無意識に柚紀から距離を取ろうとする。そして彼女が発言した内容に驚きを露にする笹森を一瞥し、その反応理由を察しながら"堤のトリオンを吸って短刀程の大きさになった銀の剣"を持ち上げながら淡々と語る柚紀。……胸の奥で感じる痛みを無視して
そんな冷静さに違和感を覚えた熊谷が柚紀に近づこうとするが、小さく首を振り内部通話で"来てはいけない"理由を伝える。それは………
‐ ズガン!!……ガラガラガラ! ‐
「っ!!?土竜が建物突き破ってきやがったのかよっ!!?おいっ、鶴ヶ峰早くコッチに来いっ!!?」
『(チラッ……フルフル、フワッ)…大丈夫だよ諏訪さん、今の私には攻撃手段があるもん。……アレは私が倒すから避難して下さい。大丈夫、……グラスホッパー持ちの私なら足場が崩れていても問題ないから。(クルッ)くま先輩は茜ちゃんをお願いします、……皆さんも退避して下さい、この建物は崩壊しますので(ダッ!!)』
「「「鶴ヶ峰っ!??/柚紀(ちゃんっ/っ)!?!」」」
「せ、せんぱ、いっ(私、……"先輩を傷つけた"。だって、笑っていたけど………何処か、泣きそうな顔にも見えた、から)」
土竜が建物を突き破って現れた事により今居る建物が崩壊し始めてしまう。……経験的にそれを知っていた柚紀は冷静に退避を促し自分は現れた敵に向かって走り出す。勿論笹森達三人…四人は心配しているが、諏訪は柚紀の言い分は最もだと結論付ければ「一先ずこの建物から離れるぞ!!?」と退避を指示するのであった
さて、土竜に接近する柚紀は右手に銀の剣を、左手には鈴の種を数個"指に挟む形で"持っていた。そして射程が長い触手が伸びてくると既に鈴に成長していたモノを投げつけ、攻撃を相殺。修復させて再度伸びてくれば同じ事、若しくは剣で薙ぎ払い懐目掛けて足を止めずに進んでいく。そしてブレード攻撃射程内に入るが、図体が大きいので通常より大振りとなりスピードも遅い。………これを四方八方からの攻撃にも慣れてきた柚紀が躱せない訳かなく
- ザクッ!! -
『………悪いけど、今の私はとても機嫌が悪いの。だから、……容赦しない(…スッ)"跡形も無く…吹き飛べ"(パチン)』
‐ ドッ! ドーーーン!!? ‐
懐に入り込んだ柚紀は剣を弱点に突き刺す。勿論これで倒せるとは思っておらず、凶刃が迫る中、指を鳴らせば剣を起点とした爆破を起こすのであった