『(ストン)……大体の敵に刺さったかな？なら…………"爆ぜろ"』
-…パチン！………ド！　ドドドドドドドド！！！-

「て、敵が爆発しただとっ？！！今度はナニをしやがったあの姫様はっ！？？(つる姐はメテオラを使わねぇ！完全に鶴ヶ峰独自の考えだなコレは)」
「爆発って事は……"メテオラ"をイメージしたのかしら？でも誰か柚紀ちゃんの前で使った人…居るの？」
「……………出水ね、恐らくだけど。例のかなり面倒な亜種が出た時に柚紀の側に居たのが太刀川隊だったから、見る機会はありそうよね。彼奴は色んなトリガーを駆使して戦うから」
「先輩以外で爆破する系のトリガー……"メテオラとアイビス"使う鶴ヶ峰の知り合いって言ったら………東さんに、歌川、後は嵐山さんと時枝位か？(でも爆発させる"媒体"が今まで無かったから見ていても出来なかった可能性もあるよな？流石に"見ただけとか手を翳した相手を"爆発させるなんて芸当……鶴ヶ峰でも出来る筈がない)」

刺さったナイフを起爆させて爆発を起こして敵を負傷させて動きを止める柚紀。その爆破の豪快っぷりに流石の諏訪も驚きを隠せない。……何処か"言実と同じ戦闘スタイル"と無意識に考えていた為、此処まで豪快な戦い方はしないと思い込んでいたのだ。これに対して"トリオン量も多い出水の戦闘スタイルを模した"と那須隊二人は分析し、爆破系トリガーのイメージ参照出来そうな人をピックアップする笹森は"今まで実行しなかった理由"を独自に解析するのであった
爆破で目視出来る敵に差はあれどダメージを与えれたと確認する柚紀は、安堵こそするが"ダメージが均一でない"点を【トリオンの込め方にムラが会った点や刺さった箇所や刺さり具合が違うから】と独断で解析する

『(ま、不発がないだけ良いかな？それに"ちゃんとトリガーをセットしていれば"この悩みは解消されるだろうし……)(-　バババババ　-)…！！堤さんの銃声？かなり近くまで来ている…「柚紀先輩っ！？堤さんを……"止めて下さいっ！！？"」！(ｸﾙｯ)茜ちゃん！一体どうした……………えっ？？！』

高い場所から敵全体を見たくて屋根上に着地していた柚紀は、こちらに向かっているであろう応戦中の堤が放つ銃声の方を振り向く前に、日浦の切羽詰まった声を聞いて振り返り、その光景を見て……驚愕してしまう

-　バババババ……ガガガガガ　-

「くっ！？？……鶴ヶ峰頼むっ、日浦を守ってくれっ！？俺は……俺には"止められないっ！？"」
『な、何で！？と、兎に角茜ちゃんは私の後ろにっ！！？「は、はいっ！？」…シールド！？(ｷｲｨｰﾝ……ガガガ)………これで暫くは大丈夫だと思うけど、(ｸﾙｯ…ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)…説明、出来る？【どうして堤さんがいきなり自分に攻撃してきたかを】分かる範囲で構わないから(堤さんがとても辛そうにしているし、……あれは"無理矢理"させられている感じだろうけど、何が原因なの？)』
「(ギュッ！)……せ、先輩達に、合流しようとして、わ、私が先を走っていたら…め、目の前にいきなり隠密型がっ！…ソイツから私を堤さんが庇って負傷されて、……あ！奇襲をしてきた奴は堤さんが倒してくれたのですが……お礼を言おうと近づいたら…【俺から離れてくれ、君を…仲間を傷つけたくない】と苦しそうな声でおっしゃられた、次には………もうっ！？」
『(……ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)大丈夫、……私が何とかするから。(恐らくトリガーは"負傷した事"、原理は分からないけど……敵の干渉を受けているのは確かだろうけど、これを止める術を私は…)((………堤さん、どの敵から干渉を受けているか…分かりますか？もしくは操られる瞬間に感じた異変や違和感はありますか？))』

堤が逃げる日浦目掛けて発砲していたのだった。一先ず自分の側に来るように指示すれば"奇襲に備えて"固定シールドを張り、堤の銃弾を防ぐ。そして明らかに顔色が良くない日浦を落ち着かせようとする傍ら、状況把握する為に説明を要求。対する日浦も柚紀のお陰で幾分かマシにはなって、何とか説明をするが"任務中に仲間から攻撃された"のがかなり堪えているらしく、怖くてしがみついてきたのだった。それを諌めつつ状況を整理する柚紀は内部通話で堤に呼び掛けみる。すると

((負傷、してから少し経過したら、いきなり頭の中に【メノマエノ"テキ"ヲコウゲキ、シロ】って、機械の様な声が、して……抵抗はしたが、更に強くなって、……何とか、"鶴ヶ峰の声は聞こえる"が、日浦や、おサノの声が……聞こえないっ！くっ！？止めてくれっ！！俺はっ、………仲間を手に掛けたくない！！！？))

内部通話で届いた堤の悲痛な叫びに、柚紀も一瞬辛そうな表情を浮かべる。が、未だに怯えている日浦に、攻撃を止めれない堤、そして……後方からコチラに向かっている諏訪達を見て…………柚紀は"ある決断をする"。何となく雰囲気が変わったのに気づいた日浦が声を掛けてくるが、それに無言で…微笑みを向けるだけで何も言わず頭を一撫ですると、固定シールド内に日浦だけ残して一歩だけ柚紀は前に出る。堤からの攻撃を通常のシールドで防ぎながら鈴の種を一粒手に持ち、ナイフ型に変形させる。そして………

-　ヒュッ………ｸﾞｻｯ　-
「(ピタッ)えっ？……鶴ヶ峰？…君は、一体」『((………御免、なさい。私には、コレしか方法が、思い浮かばなかった。……辛そうにしている堤さんを救う方法が、………きっと諏訪さんも同じ事、する気がするけど……仲間同士で、そんな事しちゃ、駄目ですよ。だから……))(……ﾂｩｰ)』
「((……大丈夫、俺は…君に感謝こそするけど恨んだりはしない。それより、………年下である君や日浦に辛い思いをさせてしまった事の方が、俺には辛いから。…！！……この状況も、長くは持たないっ！…今の内にっ！？))……"やるんだ鶴ヶ峰っ！！？"」

堤の胸元……トリオン器官にナイフを刺した瞬間に動きが止まって驚く堤。そんな堤を見ながら具体的にナニをするかを口にせず内部通話で堤にのみ伝える柚紀、だが表情はとても辛そうで一筋の涙を流していた。そんな少女が少しでも楽になるようにと言葉を選び"自分が望んだ事を柚紀が叶えた"……そう思い込ませれる様に工夫する。そして諏訪達の声が聞こえてきた柚紀は………ソレを実行する

-　ーーーーー。　……パチン！-
-　戦闘体活動限界　ベイルアウト　-

　　ドンｯ

-　………ｶｼｬｰﾝ　-