45.親交の曲~那須隊編~(110.
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熊谷と日浦に連れてこられたのは那須隊作戦室……ではなく言実のラボであった。そしてパスワードを打ち込む訳でもなく「戻りましたー!開けてください"先輩"!?」と、室内に向かって声を掛ける日浦。すると…
‐ ウィーン ‐
「お帰りなさ…………柚紀ちゃん?…茜、くま先輩。どうして彼女が一緒に??」
『…!……小夜、ちゃん?……あれ?此処って言実さんの………(ズキッ)…っ!!?』
「(頭を押さえているって事は、頭痛?……今までそんな事あったかしら?とりあえず…)落ち着きな柚紀、大分顔色は良くなったがまだまだ気分とか優れないでしょ?無理に頭を働かせるんじゃない、アンタは無駄に色々考えちゃうから体は休めても脳が疲れちゃ意味がないよ。……詳しい事は中で話すわ、今は柚紀を休ませるのが先。で、二人には悪いけど"アレ"お願い出来る?」
「「はーい!?/了解です」」
現れたのは那須隊オペレーターの志岐であった。そして熊谷に抱えられている柚紀を見て驚いている声が聞こえてそちらを見るが、ナニかが不足していて今回は頭痛が生じてしまったらしい柚紀が痛む箇所に手を添える。……今までにない症状に怪訝そうな表情を浮かべる熊谷だが、このままでは良くならないのは一目瞭然なので先ずは室内に入り、二人に指示を出す。そして待っていたのは志岐だけでなく
「お帰りなさい、それにしてもまさか柚紀ちゃんまでお土産で連れてきてくれるとは流石ねくまちゃん。……と、本来なら言いたかったけど、………具合悪そうなこの子を見たらそんな風には思えないわね。どうしてこんな事に?」
「ただいま玲。……最初はロビーに陳列されていた食べ物をタッパに入れていたのだけど、その時にラボで待っていた筈の先生が追い掛けて来て【今日は食堂にあの子の料理が並ぶ筈だから、そこに本人も居る。……様子を見てきてくれ、当真と共に居るが……胸騒ぎがしてな】と言われて、向かっている最中に【そこに居るであろう隊員達をロビーに呼べ】と追加で連絡が入って、いざ食堂に着くと……」
「顔色が優れない先輩が椅子に座り込んでおられた訳で、当真先輩からお預かりしてきました!!……くま先輩、用意出来ました~!」
室内には那須もソファーに座って待っていたのだった。最初は朗らか笑みを浮かべていたが、体調が良くなさそうな柚紀を見て表情を曇らせ、熊谷に説明を要求。簡潔に説明をし終えた所に二人に頼んで設置してもらった"折り畳み式ベッド"が完成したので、とりあえず寝かしつける。が未だに頭痛を訴えている柚紀の頭を換装を解いた熊谷が撫でてやる
「(ナデナデ)……頭痛薬、ある?辛いなら飲んだ方が良いわよ?それと、あたしにナニかして欲しい事、あれば言って頂戴(ナデナデ)」
『れ、冷蔵庫に、……冷却シート。後、……仮眠室にある、のが………欲しい、です』
「(ナデナデ)分かった、ちょっと待ってて」
「あっ!!仮眠室には私が行きますから、くま先輩はそのままで居てください!(ダッ!)」
「(スクッ)冷蔵庫にあるならついでに何か飲み物を持ってくるわね、私もだけど体調が優れない時程、水分補給は大切だし、……柚紀ちゃんは特に、ね」
この様に適材適所な動きを見せる那須隊メンバー。因みに志岐は腕時計の数値計測をしていた。結果が出たのを見て志岐の表情が険しい事からやはりあまり良くないと察する熊谷だが、自分は焦らず頭を撫で続ける。……柚紀の負担を減らす為に
とりあえずコップ一杯の水を飲ませて額に冷却シートを貼り、日浦が持ってきた"あの鯨のぬいぐるみ"を抱き締めると表情が和らぎ、いつの間にか眠ってしまう柚紀。それを見て安堵するメンバーは"この後どうするか"と思案していると
‐ ウィーン ‐
「ハロハロー!!皆の巽お姉さんだよーー!って、ありゃま?歌姫ちゃん寝てる感じかな?それはそれで良かったと言うべきかな~?……"日常生活に戻った際のギャップ差に肉体的にも精神的にも負担にならないか不安"だっけ?だから本格的に学業に復帰する前に、こうやって異変が出る可能性があった?違う……シロ」
「(ヒョコッ)お、お邪魔します。(テクテナキ…‐ ウィーン ‐)………私それヒナ先輩には話していない気がするけどな~。……隔離されていた時の、それも寝る前のちょっとした会話を盗み聞きしてた訳ですか?少しはそう言うの控えて下さいよ?……何時かボロが出ますよ?」
「陽菜さんに、市河?……どうして此処に?後、………柚紀が頭痛を訴えた理由は所謂無駄に考え過ぎているからなの?」
トリオン体・オペレーター制服姿の巽とシロがラボに訪れたのだった。(因みにシロはスタンダードな制服だが、巽はスカートでなく同色のスラックスを着用している)そして、その口振りから"今まで示した事のない柚紀が頭痛を訴えた理由"を知っていると察した熊谷が、真剣な表情で訊ねる。これに対して巽はマイペースに焦りを見せず「食べながら説明するよ、美味しい料理があるのに食べないのは勿体無いよ!」と、換装を解きながら空いている椅子に座る。そんな天真爛漫な師匠に溜め息を漏らしながら、一先ず人数分のお茶を用意しながらシロが先ず一言
「……それもありますね。そして熊谷先輩は【ユズちゃんが異性に対するトラウマが再発して、それが理由で頭痛を起こした】のでは?ともお考えかも知れませんが、…当たらずにしも遠からず、ですかね?きっかけは別役くんの言葉ですが【頭痛の原因は彼じゃない】。彼女……ユズちゃんが頭痛を起こすほど悩んでいるのは………【自分のほんの些細な言動が、何時かあの人…"達に"引かれないか、拒絶されないか、……"自分が嫌われ、側に居れなくなる"】のではないか?…そう不安に思ってしまい考えすぎて"片頭痛"を引き起こしてしまった。(ハァ~)……あの二人に限ってそんな訳ないのに、何で自信持てないのかな~?やっぱり【経験不足とか、良い見本が身近に居ない】から判断出来ない感じ、だよね。コレだけは言実さん、アテにならないから」
「まぁ~、………そうなるか?我が親友ながら異性にはモテるのに、丸っきり興味ないもんね~。いやはや、あそこまで行くと呆れも通り越して一種の尊敬に値する感じだよな~。こう、ストイックなスポーツマンとか雑念を捨てている御坊さん的な!その分、歌姫ちゃんは見てて飽きないわ~。……普通に"恋する乙女"な状態だもんね~」
と、シロの台詞からは【頭痛の原因は過去の経験によるトラウマから来たモノではない】のは理解できたが、イマイチ理由までは分からなかった那須隊メンバー。が、巽の最後の言葉を聞いて、全員が驚愕の声を発したのだった