43.労り労いの曲(108.
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スピード強化でかなりの速さで移動している烏丸(と柚紀)。そして一分も経過しない内に最寄りの秘密経路入り口に到着すればギュッと頑なに目を閉じている少女に"着いた事"を報せるために地面に下ろし、片手で支えながらパネルに触れてロックを解除するとナニやら柚紀がふらついているのに気づき、再び抱き抱えるとそのまま中に入っていく。そして廊下を歩いていると
「ご無事ですかっ?!センパ………貴方は、どちら様ですか?」
「(ポン!)安心しろ木虎、彼は烏丸京介。玉狛のA級隊員で賢達の同級生であり、充や彼女と同じクラスだ。……彼女に危害を加える存在じゃない、そんな危険がある奴を迅や言実さんが護衛に据える筈がないからな!」
「ま、見ての通りイケメンでボーダー内でも人気があるし実力も申し分ないぜ?何せ元はあの太刀川隊に居たからな~。……よっ!久し振りだな京介。歌姫ちゃんの護送オツカレサン」
『んっ?……木虎ちゃんに、嵐山さん?それに…!!……よ、米屋先輩っ!?(バッ!!)大丈夫です…(ジャラ、…ピーン!)ぎゃっ!!?……あ、これどうやって外すんだろう』
生身だが赤いジャケットを着ている木虎と嵐山、私服姿の米屋に出迎えられる二人。烏丸は特に何も言わず会釈程度のみし、三人の声……米屋の声に反応した柚紀は烏丸の腕の中から飛び出して近寄ろうとするが、繋がれている鎖が意外と短くて動きが制限されてしまう。烏丸も引っ張られたがトリオン体なのでさほど問題なさそうな表情をしていた
そんな二人に三人から近寄り、烏丸の首輪と柚紀の腕輪を見て"まるで犬にリードしているみたいだな"と嵐山が発言すると米屋が【何故こうなったのかと、解決策】を申し訳なさそうな表情で告げる。それを聞いて先ずは互いを縛るモノを解くことにする柚紀。方法は
『……ガイスト
「(シュウゥゥ)あぁ、問題ない。それにしてもガイストをベイルアウト以外の方法で解除出来るなんて、普通じゃ考えられない事だ。……これは鶴ヶ峰が日頃トリオンコントロールを磨いている賜物か?」
『ん~、無いって訳じゃないけどそれだけじゃないかな?理由は…(スチャッ)………シロちゃんや、次からはトリオン体の時は良いけど【私が生身の時にリンクする】のは止めてね?風間隊の時や今回はまぁ、仕方ないけど……危ないからね?ガイスト解除のお手伝いしてくれたのは感謝するけど、…こうなったのは【繋がったまま米屋先輩と動物の話をしていた】のが原因だからね?』
〔………うん、しない様にするよ。まさか丁度【烏丸くんを動物に例えたら】って話の時にユズちゃんが変形部分に触っちゃってあ~なるとは思わなかったから。…あ、因みにあれも臨時接続扱いかな?だから特殊なトリガーであるガイスト解除出来た訳だけどね。……さてさて"
柚紀がガイストを解除して普通のトリオン体になるイメージを浮かべると、それが上手くサイドエフェクトに作用して首輪類が消えたのを確認する。そして烏丸もトリオン体を保てるだけのトリオンが残っておらず、自然と換装が解除される。何故正当法でない事をしても平気か不思議そうにしているのを見て、種明かし……シロの存在を柚紀は示す。差はあるが彼女の実力やら能力やら師匠の事があり"あー、成る程"と居合わせた全員が納得したのであった
さて、自由になった烏丸に対して米屋がちょっかいを出し、嵐山達に佐鳥達の所在を聞かれて言実の要請で居残りをしていると語る。柚紀と一緒に戻ってこなかった部下や先輩について二人で話しており、その間に……柚紀は然り気無く距離を取ろうとする、が
‐ ………ポフッ!…クイッ ‐
「ったく、何こっそり離れようとしてるんだよお前。きちんとやることやって帰ってきたんだ堂々としていろ。後、……"やせ我慢するな"。かなり辛いだろ?違うか?……柚紀?」
『!!?(クルッ)と、当真、先輩っ?!……!?…だ、駄目っ!離してっ!触らないでっ!?(ジタバタジタバタ)』
「!?先輩っ!!……貴方は確かスナイパーの………(ギロッ)鶴ヶ峰先輩が嫌がっているじゃないですかっ!?離して下さいっ!!」
「お~!お前が嵐山隊に入った新人で確か木虎だっけか?……悪いがそれは聞けねぇ相談だ。この姫様は簡単に無茶するわ我慢するわ、…"辛くてもそれを偽り他人の前では平然としていやがる"。それを見破って対処しなきゃ結局はコイツがぶっ倒れる。で、そのお世話に知り合い全員が駆り出されるし、一番負担になるのは身内のつる姐を除けばウチの隊長な訳。……重症になる前に手を打てばまだ負担が減るんだ(ナデナデ)"お互いに"な?」
いつの間にか現れた当真が"柚紀の逃走"を阻止したのだった。その相手が【トリオン体で手首を掴んでいる】のに気づけば顔色が変わり離れようと抵抗する。その声で異変に気づいた四人、中でも【柚紀と当真の関係性】を知らない木虎が警戒心と怒りを抱き相手が明らかに年上でもお構い無く強く睨み付ける。そんな年下新人の威嚇などあっさり受け流しながら……流石に残り男子三人からも差はあれど"怒っている雰囲気"を感じ取れば、焦ること無く自分のペースで行動理由を語る。手首を掴んでいた手で頭を撫でる頃には、柚紀の抵抗が止んでいた。が
『………でも、…先輩……トリオン体。……触っちゃ…駄目……だって、私は……あのトリオン漂う、現場に居た。だから……駄目』
「……(ナデナデ)あー、やっぱりソレ気にしていたか。平気平気!?分析結果【あの毒性のトリオンを直接取り込まなければ問題なし、感染者と接触した相手に移る危険性はほぼなし】だとさ。でもまぁ、…(ナデナデ)絶対ではないらしいな。敵さんの解析や米屋以上の症状が出た奴のトリオン体を詳しく解析する必要がある。ってか逆に【生身の相手にコレが感染したら大変】だと思ったからお前は四人から離れたんだろ?……(ナデナデ)トリオン体はあくまでも"義体"。接触するなら此方の方がリスクが少ないし……(…スッ)"ちゃんと予防済み"だ。で、………まだ意地を張る気か?」
『………………(クラッ…‐ ガシッ! ‐)……ハァッ、ハァッ、ハァッ』
「「「!!?」」」
柚紀が当真を嫌がる理由をポツリポツリと語るが、それも"予測済み"だったらしく簡単に論破されてしまう。そして腕につけている【当真に似合いそうな銀のブレスレット】を見て……やっと観念したらしく【自己暗示】を解けば、そこには頬が赤くなり荒い呼吸をする明らかに調子が悪いであろう少女の姿が露になる。その豹変っぷりに驚き、一番最初に動いた嵐山が柚紀の名を呼びながら駆け寄って来るのを、当真が"近寄るな"と視線で脅し横抱きにしながら自隊隊長に通信を繋げる