「佐鳥っ！鶴ヶ峰さんっ？！」
「！？古寺！何が遇ったんだ！！？」
〔おぅ、凄い事になったなコレっ！？女王の洗脳を打ち破った妨害型が歌姫ちゃんに猛アタックしに突撃してキターー！！…………(ｺﾎﾝ)で、コイツを倒せなくもないけど確実に戦況が動く。今の現状を動かすのは危険すぎるし、ってかこうやって掻い潜ってくる奴が居るから歌姫ちゃんを前線に配置しているんだよね～。結局はこっちの方が戦況変化も少ないし対処しやすいもん！〕
「！！？(……佐鳥が側に居れば少なくとも精神的な不安は無くなる。けど、それは"日常生活での事"であり"非日常である戦場では"当て嵌まらない、か。でも)……だからってコッチに生身の彼女を連れてくるのは…」

スナイパーは大体あまりヘイトを稼がない様にしていた。……あの東が油断してベイルアウトしているから、他のスナイパー隊員もかなり慎重になっていた。だから実際に接近されても中々行動に移せない。佐鳥は……一種の慣れであり性格的な理由もあって動けたが普通なら古寺みたいに動けないものだ
状況が掴めない前衛に最初は実況のノリでアナウンスしていた巽だが、気持ちを切り換えて冷静に状況や"何故危険を承知で柚紀が前線に立ち続けているか"を説く。それを聞いてかなり複雑な表情をする時枝だが、今はと気持ちを切り換える。どうするかと言実に窺おうとしたその時

‐　バサバサバサ　‐
「だ、誰か後ろの妨害型倒してくださぁ～い！！？」
「「！！？」」
「オイコラ、佐鳥っ！？こんな所に柚紀ちゃん連れてくるんじゃねぇー！？それも余計なオマケ付で！！？」
「(スタン！)し、仕方ないじゃないですか～。亜種倒せば狙われますし、指揮取るおつるちゃんが飛んだら一大事だし、ってかコレだってあの人の指示で佐鳥は従っただけですよ～！？((因みに腹部の怪我は"いつの間にか塞がっていた"から汚染にヤラれる心配ないから安心してよ、とっきー))」
「……は？姐さんが？？「ってか後ろのアレどうにかしてください！？このままじゃ柚紀ちゃんが安心できないから！！？」チッ！(ｷｲｨﾝ)ウジャウジャくるなコイツ等はっ！！？」
『待て出水っ！？当てるとしても触手やブレード部分にしろ！そいつ等は……お前が倒せ！………烏丸っ！！？』
「「「！！/えっ！？？/はあぁっ！！？」」」
「(…スチャッ)了解しました」

バックワームを靡かせて柚紀と一緒に佐鳥が降ってきたのだった。一応鈴は継続的に鳴らしているが心なしか弱々しい音を響かせていた。そして地上は未だに兵隊蟻共が蠢いており、女王を倒したと連絡もないので毒性のトリオンが漂っている可能性……と言うより"何となく肌で感じている"出水は怒鳴り付ける。勿論佐鳥も重々承知しているが言実の言葉と自分達に危害が出るのを少女が良しとせず、下手をすれば生身だろうと無理をする。佐鳥もその可能性を知っており、それは嫌だと思ったのもこちらに柚紀を連れてきた理由の一つであった
そして屋上に来たのは一体の筈がいつの間にか複数になっており、兵隊蟻も殲滅しきれず少し苛ついていた出水は反射的に倒そうと構えたが、次の動きを考えていた言実に止められ、それも倒すように指示されたのが三人に比べてあまり柚紀と親しくない烏丸であった。それに三者三様の反応を見せ、柚紀は不思議そうにしながら鈴を鳴らし続け、烏丸は指示通り妨害型を倒したのは良いが動かなくなった敵に大小様々な兵隊蟻達が近寄ってきたのを見て一心不乱に鈴を鳴らしている柚紀と、武器無しでも倒せる奴を潰している佐鳥達を尻目に、出水は言実に指定した理由を問い掛ける。すると

《理由か？…………なぁ烏丸、迅は此処に…"私達の元"に来るように指示を出した際に、ナニか言っておらぬか？あの子はお前の実力やどう動くかを知らぬ。それでは連携に支障が出る。だが、"必要になる"と視たからお前を呼び寄せた。ならば、その理由は十中八九……》
「………柚紀ちゃんの為、ですか？だが京介でないと駄目な理由なんて……」
「………………」

言実と出水の話を聞きながら佐鳥や時枝、そして柚紀を見つめていた。ある程度大きい奴は踏み潰せず銃を鈍器扱いして倒しており、二人から付かず離れずな距離を保ちながら動きつつ鈴を鳴らし続けていた柚紀だったが、地上に降り立つ頃には通常の視力に戻っており"毒性のトリオンの流れ"……風上がどちらか気づいておらずソチラの方に足を進めた瞬間

‐　…シュン！　‐
「…！……エスクード！！」
‐　ド！ド！ド！　‐
『！？……か、烏丸、くん？？(ｼｬﾝｼｬﾝ)』
「(ｺﾂ、ｺﾂ)…………なぁ鶴ヶ峰、あの歌は後何分位あるんだ？」
『えっ？！(ｼｬﾝｼｬﾝ)……普通に歌えば二分もないかな？だけど、今みたいに止まったりすると変わっちゃう(ｼｬﾝｼｬﾝ)……だけど(…ｿｯ)私のトリオン残量からして、ある程度の歌姫効果を…質を保つ必要な点を考慮しても(ｽｰﾊｰ…‐　シャラ～ン　‐)…多分三分ちょっとかな？あ、(ｷｮﾛｷｮﾛ、ｺｿｯ)コレ、秘密にしてね？特に二人が知ったら……強引に現場から退かされちゃいそうだから(ｼｰ)………そんなの私は嫌です、きっちりやり遂げてから(ﾌﾜｯ)皆の元に帰りたいから』
「………………」

隠密型が柚紀の背後に現れたのを見た瞬間に"視界を遮る様に"エスクードを展開し三人に((壁の裏に隠密型が居ます、彼女にバレる前に始末を。先輩はメテオラの爆発音でサポートをお願いします))と言いながら、自分は柚紀の側に近寄りながら一つ烏丸にとって重要な確認事項を確認していた。それを佐鳥達含む"他の人には内緒"で、そして例え知られても"自分の役目を終えるまでは離れるつもりはない、だが無茶もしたくない"と言いたげな柚紀の表情や言葉を聞いて、……烏丸もナニかを決意する。そしてエスクードを破壊して現れた敵を……銃撃で瞬殺すると、柚紀を守るかの様に庇う烏丸は迅の言葉を思い出しながらこう宣言する

‐　ゴ オ オ オ オ オ　‐
「なら、……歌い切るまでの約三分…俺が全力で君を護る。だから鶴ヶ峰……君も、自分が出来ることを手を抜かずに、やり遂げてくれ」

‐　言実さんが現場に出てくる。これは"今回の亜種はかなり面倒な奴"であるのと"柚紀ちゃんがかなり危ない状況にある"のを意味する。合流したら一切気を抜くなよ？もし一瞬でも気を抜けば、危なくなるだろう。但し、危うくなるのはお前でなく……柚紀ちゃんだと、肝に銘じろ。それを自覚してからじゃ、下手すると取り返しのつかない事になる。……あの子はトリオン体だろうと、生身だろうとやる事・やりたい事に代わりないからね　‐


「……ガイスト起動（オン）、銃撃戦特化（ガンナーシフト）」