1.始業の曲~新たな生活の幕開け~(66.
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『えっと、…服装よし!髪型よし!鞄の中身は~(ゴソゴソ)……よし、携帯も入ってるし上履きもあるっと!!……じゃあ言実さん、行ってきま~す!学校が終わったらボーダーに顔出しに行きますね。あ、大丈夫だとは思いますがちゃんと仕事していて下さいよ?』
『心配するな、休みたくても向こうから仕事を持ち込みよる輩が相変わらず居る故にな。ったく、研究が進まぬのは勘弁願いたいものだ。それと柚紀、……昨日話したが、本部に来るために通る秘密経路はトリガー若しくはトリオン体でパネルを触れる必要がある。…必ず隊員の"誰かと"一緒に来ること、…良いな?それがなくても……』
『【秘密経路の入り口が何処に有るか分からぬだろ?】でしょ?…仕方ないでしょ?引っ越し作業終わった後は、準備やら周辺探索に時間が取られて本部に行けなかったんだもん!?……ちゃんと誰かと一緒に行くから心配しないで下さ~い。…じゃあ行くね~(ヒラヒラ)』
『あぁ、…気を付けて行け(ヒラヒラ)』
9月1日の朝、鶴ヶ峰家でそんなやり取りをして柚紀はマンションから学校に向けて出発していた。…初日だから保護者である言実が学校まで行くのもアリではあったが、同じクラスになった生徒に一般的に美人に該当する叔母を見られた質問攻めに合うのは目に見えて明らか。……対人関係に問題がある柚紀としても可能な限り面倒ごとは避けたいのだ。それを言実も承知しているので"学校が終わったら寄り道せずボーダーに来い"と約束させたのであった。………相変わらず姪には甘く心配性な叔母であった
『……そう言えば、この制服姿は誰にも見せてないっけ?…うん、自撮りもまだ無理だもんね。(チラッ)……変じゃなければ、良いけど…』
信号で止まっている間に改めて自分の姿を見て少し不安げな表情をする柚紀。…髪や瞳の色が一般人と異なる分、全生徒共通な制服が浮かないかと考えてしまうのだった
因みに柚紀が通う中学の制服は濃紺の学ラン・襟が濃紺で白のラインが入ったセーラー服で、上は春秋(白に長袖)・夏(白の半袖若しくは長袖で襟は青)・冬用(濃紺の長袖)と上は三パターンあり、スカートは生地の厚みと色で夏(青)・それ以外の季節用(濃紺)とあり丈は膝より少し上。タイは学年に寄って赤・黒・青で色訳されており、柚紀の学年は青の様だ。靴はローファーでもスニーカーでも可で靴下も派手な柄や色合いで無ければ問題なく、更にストッキングやカーディガンも大丈夫なのは寒がりな柚紀には地味に嬉しかったりするのだった
そんなこんな色々考えている内に"本来の"中学区画範囲内に入り、学校を目指す柚紀だが、まだ時間が早いのか同じ制服を着た子が見当たらなく少し不安になり、思わず鞄から携帯を取り出して歩きながら地図アプリを起動させる
『(えっと、道のりは間違えてない、よね?何度も往復したし、同じ道しか通ってないし、目印だって見逃してない、でも……誰も居ない。…どうし)(ドンッ!!)ひゃっ?!!(ドテンッ)』
「!!悪い気づけなかった、……(スッ)大丈夫か?」
『痛てて。あ、こちらこそ前をちゃんと見ていなかったので気がつけずぶつかってしまって、すみませ…んで、した(えっと、ズボンの色からして多分同じ学校の人…かな?黒は何か高校生の人っぽいし、……背は佐鳥くん位だけど、黒髪……三門市で会った黒髪の人って大体こう、頼りになる人のイメージが強いな~そして多分だけど)……貴方みたいな人をクールガイと言うのかな?冷静で落ち着いているし、…イケメン???』
「……………………とりあえず、誉め言葉として受け取っておくよ。…立てるか?」
前方不注意で誰かとぶつかってしまった柚紀はそのまま尻餅をついてしまう。そしてぶっかった相手が声を掛けてきたので、謝りながら反射的にその人の顔を見て固まってしまう。…黒髪に茶色の瞳と言ったごく普通の色合いだが、顔立ちは同じ黒髪の嵐山の分類になると無意識に考え最近覚えたカタカナ用語を使ってみる。そんな柚紀の言葉に?マークが付いているのを感じるが、一先ず返事を返して再度手を差し出しているのをアピールする。それにやっと気づいた柚紀は少年の手を借りて立ち上がり『有難う、御座います』と頑張って目を見て礼を言うが、相手は「いや、…別に」と何やら歯切れが悪い。どうしてそんな反応をするか分からず不思議そうにしていると少年が柚紀に向かって手を伸ばし
「(…スッ)涙、目尻に溜まっているが……そんなに痛かったか?俺は平気だが、かなり思いっきりぶつかったからな。……何時もと違う道を通ったせいで無意識に携帯で確認していたから君の存在に気づけなかった。…ごめん」
『あ、い、いえっ!!わ、私も携帯を見てましたし、この時間帯に学校へ行くのは今日が初めてで、道のりは間違えてない筈なんですが、ひ、人が、同じ服の人が居なくて不安で、た、ただ、早かっただけ……かな?遅刻や、人混みが苦手だから避けようとして、あの、その、えっと……(ガツン!)…あっ!!(フラッ)』
自分を心配し更には謝ってくれる少年が"嫌な人や怖い人"と感じない柚紀は、何とか事情を話そうと頑張る。……頑張るが、やはり相手は名前も知らない今日が初対面の少年。"何を何処まで話せば良いか?"や"自分の言い分を信じてもらえるか?"等も考えてしまい、落ち着くために距離を置こうと後ろに下がると、車道と歩道の境界線であるコンクリートブロックの凹凸部分に足を引っかけ、後ろ……車道側に柚紀は倒れかける。…通勤通学の時間なので、車の交通量はそれなりに多い状況でこれは……"その可能性"に気づいた少年が驚き慌てて柚紀に手を伸ばそうとした瞬間
‐ ………………ポフンッ!! ‐