40.兆しの曲~何かが変わろうとしている~(105.
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「(くっ!?……トリオン兵如きに遅れを取るとはっ!!一体何なんだコイツはっ?!それに……"動きがどんどん鈍くなるのも"この亜種のせいなのか??!)……忌々しいっ!!?」
潜伏していた隠密型に腕を斬られた三輪だが、その場から退くこと無く目の前にいる"新種の亜種らしき"敵と対峙していた。……自分が退けば次に狙われるのはスナイパーの二人、狙撃すら効かない状況で居場所がバレれば成す術はないが、任務を放棄して後退する訳にも行かないのだ。打つ手の無く膠着状態と言っても過言ではないこの場に……"頭上に影が通り、ナニかが落ちてくる"のを察知した三輪はそちらを見て、目を見開く
‐ ……フワッ、ストン……キイィーン ‐
「!?これは、…固定シールドっ!!それに貴様が、……噂の歌姫か?何しに来たっ!?確かお前は"攻撃する術を持たない"と聞いた、………そんな奴が現場に出て何になる?!足手まといだ!!!下がれっ!!」
『……落ち着いて下さい三輪隊長、確かに私は攻撃系のトリガー所持を上層部から認められておりません。ですが、……この敵に対してでしたら攻撃が可能・不可能でも変わりありません。それに"新種の亜種の解析"は私の役目です。後はこちらで引き受けますので、一度お下がりを。……今の貴方は冷静な判断が下せるとは私にはお見受け出来ません。後、文句がありましたら全て言実さんにお願いします。あの方の指示でもありますが、それに同意した上で私は此処に来ていますので』
「っ!!?……だが、俺は見ての通り負傷している。アレは"漏出したトリオンに引き寄せられる"風に見受けられる。下がるにしてもこれでは…『((なら、何故今相手が襲ってこないのでしょうか?恐らくそこに攻略の鍵があります。それをこちらで探ります))(…コツ、コツ、…コツ、コツ、コツ)』!?((…探るとお前……貴女は言うがどうするつもりですか?))(そう言えば【増援で太刀川隊が向かっている】と連絡が入っていたが、……あの二人頼りか?)」
前方に何者かが降り立ち"足止め用"で三輪に固定シールドが展開される。その後ろ姿からしても"見知らぬ女子"と分かり、この状況でこの場に来るとなると柚紀……歌姫と結論付ける三輪。ほぼ初対面にも関わらず、憎っくき敵相手に苦戦を強いられている事に苛立ちを隠せず、かなり厳しい物言いをする。これに対して、柚紀は取り乱す事無く冷静さを失わない状態で受け答えをする。……先程、二宮と対峙した際は【相手がどんな人なのかや、ナニを思っているかが分からなく困惑した】のだが、三輪に関しては【敵に身内を殺され、それ故に全てのトリオン兵を憎んでいる】と米屋から以前聞いていたので余裕があり、心構えが出来ていたのだ
此処には居ない言実の名が出てきたのも要因の一つだが、……この絶望的とも言える状態の中でも、攻略の鍵を既に見出だしている柚紀に…僅かながらの希望を抱く三輪無意識に敬語になっており、だが内心では"姫と呼ばれているなら大変な事は他人任せ"と、個人的なイメージに影響された予測をする。そしてゆっくりと三輪から離れ【モールモッド(亜種)の弱点にして目らしい物体】がコチラを追ってきているのを確認した上で片手を上げて太刀川の名を呼ぶ。"やはり"と落胆を感じた三輪が一度視線を外して再び柚紀を見た、次の瞬間
‐ ……ザシュッ!!………ポトン ‐
「なっ!!?(上げた腕が斬り落とされた、だとっ!たが俺と違う、敵の姿は一切見えなかった。つまり犯人は……)何を考えている!?彼女の、…"仲間"の腕を旋空で斬り落とす必要があると言うのか?!答えろっ!……太刀川っ!!さもなくば……あの人を敵に回すぞ!??」
「(…スッ)俺だってヤりたくてやった訳じゃねぇ!?"お前を安全に退避させるにはコレしかねぇ"ってその姫様が言ったから仕方なくやっただけだ!!?後、【確かめたい事がある】んだとよ。……おい柚紀っ!?俺はそこまで回避力が高くねぇからソッチに行けねぇが………危ないと"俺達が"判断したら、今度は首を飛ばすやら頭撃ち抜いて強制退場させる。…約束忘れるなよ?!」
『分かっています太刀川さん。(スッ、…ギュッ!)……三秒後にアレに突撃します。皆さん念のためそこから逃げる準備を。((それと同時に固定も解きますから直ぐにバックワーム着用して先輩は物陰に隠れて下さい。……アレは"視覚はあってもそこまで良くはないし、恐らく聴覚はない"と思われます。何を基準に動いているかを、確かめないといけませんから))』
‐ ……3。…2 ‐
「…………((……了解した。だが、…気をつけろよ?アレの性質かは定かじゃないが、【時間が経過するに連れて体の動きが鈍くなってくる】……今では俺はまるで
‐ …………1、…任務開始!! ‐
なんとアレは【太刀川に旋空にて腕を斬り落とさせる】合図だったのだ。奈良坂達と合流した建物より低く旋空の射程が柚紀に届く範囲の建物に乗った状態で三輪と対話する太刀川。……これに対しても新種の亜種は動じないのを確認しながら、斬り落とされた自分の腕を拾い上げた柚紀は、呼吸を整えながらカウントダウンを開始する。…渋々ながら了承し、自分が体験した事を共有する三輪。……聞き覚えのない単語を訊ねようとしたが、もうカウントもないので気持ちを切り替える柚紀。そして……カウントがゼロになると同時に各自行動を開始するのだった
男子四人は今居る場所からの退避、柚紀は敵に向かって突進する。……"万が一対策"はしているが今回の敵はどうやら【触られたら一貫の終わり】……そう、認識しているので集中力を継続する必要があるのだ。気を抜いたらそこでアウトなのが十分に予測出来てしまうのだった