とりあえず順調に敵を倒している所に両オペレーターから隊長宛に通信が入る。その内容は

〔警戒してください嵐山さん！妨害型及び隠密型が複数周辺に潜伏してます！！〕
「！？……(ｷｮﾛｷｮﾛ)(ｺｿｯ)…確か妨害型をレーダーで補足可能にしたらバックワームの効果が無くなるのを危惧して、部隊のオペレーターが使用する機械にはそのデータは共有されていないんじゃ？」
〔その妨害型の解析が進んでバックワームの性能に干渉しない様になったらしいですよ～。まぁ、あれだけ"大量に試験体が捕獲"できれば研究も進みますよね～。……あ、柚紀ちゃんにはコレ聴こえてませんよ？風間隊との任務を思い出しちゃったら、ね〕
「(……ま、あの姫様だって無敵じゃない。動揺すれば現場が混乱するのは分かりきっているしな。さてさて)……なんかチマチマ倒すのが面倒だなコレ。………！…お～い、一時的に俺と出水、それと嵐山の性能を格段に上げれたりするか～？？」

新たなゲートが開く気配はないが、敵が減る気配も無く、更には面倒な亜種まで出てきたのをどうするか思案する太刀川。そして何かを閃いたらしく空中に待避している柚紀に向かって話し掛ける。……誰に対して声を掛けたのか最初は不明だったが、"性能"のワードから自分だと解釈すればグラスホッパーを使って太刀川の側に降り立つ

『(スタン)……出来なくは無いですが、それをしないといけない理由は？(ｷｮﾛｷｮﾛ)数は大分減りまし…
‐　………ｼｭﾝ！…ガキーン！！　‐
……たかに思いましたが、まだまだ居るみたいですね。(ｸﾙｯ)ただ格段にだと"きちんと地面に立ってかなり集中する"必要があります。それだと………多分、土竜が出ますよ？』
「あ！！あ～～、ソッチの心配があるのか。ま、そこはどうにかなるだろ、さ！！(…ダン！！)
‐　……ﾌﾞｫﾝ…ダン！！　‐
‐　ズドン！！　‐
(…スタン！…ｽｯ)……つる姐、"これ倒して次の土竜が出るまでの猶予"って(‐　ザンッ！　‐)どん位ある？」

苦戦もせずにこのままで問題ないと思っていた柚紀だが、背後から隠密型の攻撃をされてコレを"オート機能のシールド"で防ぐ。再びを懸念して太刀川と背中合わせの状態で会話を続けの必要性を理解した後に、次に懸念している問題を口にする。……土竜の存在だ。それを口にして間もなく土竜の奇襲。これをアナウンスを聞いた後に各自別方向で回避すれば、"亜種の専門家"に詳細を訊ねる。すると

《……そこまで明確な数値は出ていないが"最短で約三分"だ。アレは必ず柚紀の視界外にて変貌し地中に潜り襲撃をしてくる。ま、あの子ならそれだけの時間があれば十分にトリオンを練れるだろう。………急激な性能強化は後に負担が生じる可能性がある、あまり許可したくはないが隠密型を一気に叩くべきだろうな。……苦手意識を持っておる可能性がある以上は》
「任せて下さいよ姐さん！！"互いに信じ合いさえするば"少しの力でも十二分に効果を発揮する。……そう言う能力ですよね？コレ。だから諏訪さんが"性能強化数値を常に高いのを叩き出していた"。あの人はこの子もだけど姐さんを疑っていませんからね。……ちょっと羨ましいです」
「ん？？？……話が読めないが、彼女を信じるって意味なら俺も負けないぞ？！…一番は彼奴等なのが望ましいが、……些か過保護な一面が浮き彫りになってきている。(見謝るなよ二人とも、彼女は"護られてばかりのお姫様じゃない"事を)(ｽﾁｬｯ)で、何をするつもりですか？俺も混ぜてくださいよ」

言実の許可が降りたのでヤル気を出す出水はゲート騒動での性能強化を一度だが体験しているので、柚紀を疑ったりはしていないが【信用信頼度や接触回数や付き合いの長さ】から、"自分より上に居る"諏訪には"今は"勝てないと愚痴を溢す。これに対して比較的側に居た嵐山が話に参戦し持論を述べる。今日の暴走から前から少し気になっていた事が"明確に"なったのを憂いに思うが、直ぐに何時もの感じに戻ったのであった
そして太刀川に声を掛けられて三人に取り囲まれる形となる柚紀は、目を閉じて意識を集中させ可視出来る程のトリオンを放出させ、それが近くに居る三人を包み込んでいき…

～　I'm a dreamer 　～
‐　カサカサカサカサカサカサ　‐
‐　カサカサカサカサカサカサ　‐
‐　……………ブォン！　‐

約一小節分、歌を紡ぐとそれに呼応して周囲の敵が一気に柚紀目掛けて動き始める。それを見た中学生組が名を呼んだり危ないと危険を促す。が、誰も動こうとはせず、……次の瞬間

～　……ひそむパワー　～
「(ｷｲｨﾝ)旋空弧月！！」
「……(キイィィン！)全攻撃追尾弾（フルアタックハウンド）！！？」
‐　ドォーーン！！ドドドドドドーン！！！　‐
《土竜が出る！散れっ！！？》
‐　バッ！ダン！！！…ダンダン！！　‐
‐　ズドン！！　‐

更に紡がれた歌……言霊に呼応するかの様に、太刀川が放った旋空はほぼ半円を描くようにいつも以上の距離や威力を持ち、出水が放った弾は数も威力も増大し射程範囲に居た"目視出来ない敵含めて"全部を沈黙させたのであった。そして言実の言葉にいち早く反応した嵐山が柚紀をお姫様抱っこして跳躍し、残り二人も跳躍して土竜の奇襲を回避する(因みに出てきた土竜はちゃっかり出水が残していた弾によって直ぐ様沈められたのであった)
そんな年上三人の動きをただ見つめていた木虎と、……歌姫と密着している自隊の隊長を複雑な気持ちで見つめている佐鳥と時枝。……足元にあの"独特な浮遊感"を感じです目を開く柚紀は、そんな三人……二人を見て嵐山に何かを語りかける。すると

‐　……キイィィン！…ｽﾄﾝ　‐
～　まだ見ぬ世界
　そこで何が待っていても
　もしも理想とちがっても 恐れはしない　～
「三人共ボォーッとするなっ！！(スチャッ)オペレーターから"敵殲滅完了"の通信が入るまで油断は禁物だ！？(‐　タタタタタタタタ　‐)常に周囲に敵が居ると警戒しろ！！？」
「「「っ！？り、了解！！？」」」

"シールドによる空中の足場"を作り出し、そこに降り立ち歌い続ける柚紀と、そこから敵を撃ちながら部下に渇を飛ばす嵐山。それに触発されて"各自背中を仲間に預ける様なフォーメーション"で三人も敵の殲滅に取り掛かるのであった