39.寒露の曲~甘い中には冷たさも潜む~(104.
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……あの、本当に歌を聞くだけで戦いやすくなるんですか?一応"歌姫の噂や存在"は私も知っては居ますが…」
「ん~……ま、百聞一見…かな?もしかしたら木虎には効果はあんまり無いかもだけど、必要と判断したからおつるちゃんは彼女を戦場に出すのを選択し、本人も納得している訳だしね。……とりあえずさ、嵐山さんやとっきーの動きを見てれば分かるんじゃないか?(…スチャッ)オレが戦いやすくなっているかとか、分かりづらいでしょ?」
「…………分かりました、とりあえず今は敵を倒すことのみに集中します」
"歌姫未経験"な木虎がその効果を疑う事を口にしているのに対して、佐鳥は助言する。……言うのは簡単だがそれでは駄目なのだ。"互いに相手を信じていないと"柚紀の能力は最大限に発揮されないのだから。一先ず近場の敵は前衛メンバーに任せて、射程範囲外な敵に狙いを定め始めた佐鳥を見て此方も銃を構える木虎。……それを遠目に見ていた柚紀に言実が名を呼べば気持ちを切り替えて歌い始める
~ 私の世界
夢と恋と不安で出来てる
でも想像もしないもの 隠れてるはず ~
‐ ………ダン!! ‐
‐ ズドン!! ‐
「(‐ スパッ!! ‐)お~、歌詞通りな感じで土竜が出てきたな~。ん?……違うか?"土竜が来るのが分かっててあの歌詞に歌い直した"のか?ま、どっちでも良いか??」
「ちょっ?!!太刀川さんっ!変な事言わないで下さいよ~!!彼女に限ってそれは無いでしょ?!……(キイィン)変な疑いを持つなら姐さんに言い付けますよ?」
「げっ!!?マジでそれは止めろっ!!!ただのジョーク…冗談だから!!(……最近のあの人の悩みの種は【柚紀と亜種関連】だ。そんなの一番側に居るアイツだって知っている筈だ。……だから歌うのを我慢してたんだ、更に面倒事を自ら発生させる訳がねぇんたよ!)」
嵐山隊とは離れた位置で相変わらず余裕綽々な太刀川がそんな軽口を叩いていると、すかさず出水から鋭い指摘が入る。……それも言実の名が出てきたので焦りを見せるが、敵を倒すこと支障が出ていないのは流石とも言えるのだ。そんな二人を横目に着地した柚紀は引き続き歌い続ける
~ 空に向かう木々のようにあなたを
まっすぐ見つめてる ~
‐ ………キイィーン!…ガキーン!!…バチーン ‐
「……………えっ?!」
「(‐ ドーン!…ガキーン! ‐)うげっ!!弾の通りが悪いって事はコイツ金剛型?!で、触手に変化するけど大きさは変わらないから……こっちは妨害型!!亜種のタックかよ!!(‐ …スッ、ドドーン!! ‐)で、コイツらが一体でも出たら"他にも同個体が居る可能性"があるから………嵐山さんかとっきーヘルプミー!!!」
‐ ……ビュウン!!タタタタタタタタ ‐
「……佐鳥お前、前に鶴ヶ峰さんが独り言の様に漏らした推測を覚えていたの?その記憶力を少しでも勉強に役立ててよ?……この前のテスト、かなりギリギリだったろ?」
"ヘイトは太刀川隊が稼いでいるから自分は狙われない"……そう安直に考えていた木虎の隙を見て敵が攻撃を仕掛けてくる。それを遠目から目敏く気づいた柚紀がシールドを展開して防ぎ、すかさず側に居た佐鳥が反撃する。が、攻撃の通りが悪いのとブレードが変化している相手を見て亜種と判断。そして"通常と見分けがつかない敵に対しての注意点"を勉強の一貫で柚紀は何気なく話していたのを思い出してすかさず助力を請う。それに直ぐ様反応した時枝が驚きを含んだ声音で苦言を漏らしつつ対応する。……そんな先輩二人のやり取り見聞きし、思わず呆然としている木虎が口を開く
~ みつけたいなあ かなえたいなあ
信じるそれだけで
越えられないものはない ~
「あ、あのっ!?何故この亜種は私を狙ったのでしょうか??た、確かに土竜を仕留めたのは私ですが、……数なら太刀川隊の二人の方が上ですよ???」
「……(チラリ)……これも鶴ヶ峰さんの推測だけど【複数存在する亜種にも序列があるんじゃないか】って言っていた。今までにも【戦場に複数の亜種が存在し、それを別々の隊員が倒したら】……的な事案は発生していた。その場合は倒した数が多い方が狙われる。そして少なくとも(‐ タタタタタタタタ ‐)【金剛や妨害より土竜が格上】的な結論が出ている。………実際、土竜が掘った穴から追随してくる中にはコイツ等が混ざっているからね」
「ま、土竜がレア亜種っぽいからね~。……【歌姫ちゃんが居ないと遭遇する可能性が低いし、居れば決まって彼女を狙う】。そしてその性能から、少しでも土竜が出る可能性がある以上彼女は現場に出なきゃ行けない。……本部襲撃を防ぐ為にもね、彼処に居るのはトリオン体で活動する人だけじゃないもん!!あ、因みにさっきのシールドは歌姫ちゃんのだよ?後でお礼言いなよ??向こうは"コレが役目"って思っていそうだけど、助けてもらったのは事実でしょ?」
「……………」
~ 歌うように寄蹟のように
「思い」が全てを変えてゆくよ
きっと きっと 驚くくらい ~
投げ掛けた疑問に対して返された回答に対して、【柚紀の推測力の凄さと歌姫に対する認識】を少し考えさせられる木虎。今も戦場を動き回りながら歌い続けているが、ただ逃げている訳ではない。嵐山や太刀川、出水が戦いやすい様にと"囮役"を請け負っているのだ。そして、死角からの攻撃をされそうになればシールドでカバーもしており、された方は何かしらの反応を見せれば"歌姫"も反応を返す
……ただの足手まといでも"礼儀知らずのお姫様"じゃないのだと思う木虎に「お~い、仕事してよ木虎~」と佐鳥に囃し立てられてやっと動き出すのであった