「ん？えっとだな～(ｶﾞｻｺﾞｿ、…ｽｯ)陽菜ちゃんから今日の催し物を聞いてたからよ、……柚紀ちゃんに似合いそうなのを持ってきた。ホレ、色も緑だしデザインとかも大人っぽいだろ？……"ドレス"と言えば一度は着てみたいと女の子は憧れるだろうしさ。(ﾆﾔｯ)どうよ？試しに着てみないか？」
『……冬島さんって私を"大人っぽくさせるのが好き"ですよね？時々子ども扱いしますが、服装とかエスコートの仕方は女性扱いですし。それとドレス、ですか？……まぁ、興味はあるような、ないような………(…ﾋﾟﾀｯ)…えっと、……すみません冬島さん、その服はちょっと無理です』
「ん？？気に入らなかったか？ラボ内なら"薄着"でも問題ねぇだろ？それとも"スカートが短いドレス"の方が好みだったか？あ～……なら当真が今ソッチ系の服選んで持ってくるから少し待っててくれ」
『えぇえええっ！！？と、当真先輩も来るんですかっ？！(わぁ～、何だろう？……もの凄ーく嫌な予感しかしないんだけど。…此処はとりあえず)……言実さんっ！ジャッチお願いします！！それを通過しましたら着ますので！！ではっ！！！(ダッ！)』
‐　ｳｨｰﾝ、…ｳｨｰﾝ　‐
「「あっ？！逃げたっ！！？」」

一応興味があるのか冬島が取り出した服を一瞥する柚紀。……確かに変にスパンコールとかないシンプルな"サマードレス"で色も淡い緑と言った柚紀に似合いそうなモノだが、……"一部のデザインがアウト"であり着るのを渋る。そして熱を出した際に冬島隊室でお世話になった時に、当真(＋α)に"面白半分"で着せ替え人形的な扱いを受けた影響で"コスプレ姿"を見られるのに抵抗があり、此処に居たら鉢合わせになるのは確実な状態で柚紀は思わず………言実に判断を押し付けてラボを飛び出してしまうのだった
そんな姪を呆れた表情で見送った言実は慌てていなかった。……コスプレ姿でエンブレム付きの服を着てはいないが、……携帯と"アレ"を所持しているのを知っているからだ。とりあえず冬島が着させようとしたドレスを拝借して、合否を付ける事に。結果は

『……これはあの子は着たがらぬな。シンプルで柚紀が好みそうではあるが、………"致命的な弱点"がある故にな』
「ん？どれどれ～(ジー)……あ、駄目だよ冬島さん。歌姫ちゃんは"背中の開いた服はNG"なんだから！！」
「…………そうなのか？コレあの時着てた"白のワンピース"並の露出だぞ？…何で駄目なんだ？」

言実から返してもらった服を不思議そうに見つめていると、……当然の如く当真がロックを解除して入室してきた。冬島隊室で預かった柚紀をラボまで護送するのは専ら当真が担当しており、パスもその時にちゃっかり拝見していたのだった。そして柚紀が居ないのと、冬島が自信満々に選んだドレスを持っているのを見て……事情を察するのだった

「あー、柚紀の奴逃げたか？ま、隊長が自分の為にわざわざ選んでくれたけど、"背中の傷痕を見られたくない"から着るのを拒否したって感じか？ってかアイツ"どっちかちゃんと所持しているのか？"……なぁ、つる姐」
『…………………何時だ当真。……何時知ったんだ？………あの子の"背中の秘密"を』
「ん？………歓迎会の時に、くまが"妙に柚紀の左側を陣取っている"のが気になったんで、看病時に汗掻いて着替えさせた時に、ちょっと、な。……"護衛するなら利き手側に対象者は置かねぇだろ？普通はさ"。…………あっ！？言っておくが見たのはあくまでも"後ろ姿"であって、胸とかは拝んでねぇからな？！？(まぁ、ちょっと興味はあるが流石にそれしたら嫌われるの確定だしな)」
『………………(ﾊｧ~)知ってしまったのなら仕方ないが、他者に他言するなよ？アレを知るのはごく一部の人間だけだ。……寒くなれば薄着もしなくなるが、時折気にしてやってくれ。ふとした時に見られる可能性がある故にな。……因みにあの子は和装したまま出ていったが問題ない、きちんと私との約束を守っている故にな』

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所変わって廊下を歩いている柚紀は、人が居ないか注意深く警戒しながら歩いていたが……個人ラボエリアを出ると、やはりまばらだが人が行き来しておりこの姿を誰にも見られずに、は無理になってくる。が、当真にや冬島に会うのは気まずいのでラボには戻れない。……そして柚紀が出した結論は

『と、トリガーオン！(シュン！…ｸﾞｰﾊﾟｰ、ｸﾞｰﾊﾟｰ)……うん、違和感なしっと！やっぱり言実さんは凄いな～。って感心している場合じゃないか(実力テストでご一緒した人とかにも、……ちょっと会いたくないし、あれだけ"沢山見た"からイメージはバッチリだし、知識も多分問題なし！！と、とりあえず物は試しに)……か、"カメレオン起動"！！』
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先ずはトリオン体に換装する事により、コスプレ姿を見られる心配は無くなる。次に困ったのは東の解説効果により【自分のトリオン体姿が大半の隊員に見られており、自分が言実の姪だと知れ渡っている事】であった。勉強会効果で交流を深めたのをきっかけに、同級生・下級生の一般隊員達とは大分打ち解けてきた柚紀(事情を知る者達が時には助け、時には"ガード"をしてたお陰でかなり友好な関係を築きつつある)だが、学年が上の隊員の方が割合的には多いので、まだまだ"警戒心"が取れない柚紀は、【言実に調律してもらった"正隊員用トリガー"に"補助系トリガーをセット"して貰ったので】、早速実践してみるのだ。……コッソリ動くのに適した隠密用トリガーであるカメレオンを