36.隠密の曲(101.
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それから程なくして冬島に風間、そして迅が連絡したらしい嵐山が部屋に訪れて中学生三人を強制退室させた言実。その後、冬島に監視役を任せれば柚紀の側に行き、簡易ベッドの下に収納していた折り畳み式の椅子を組み立ててそこに座り、ぬいぐるみを抱き締めている手に自らの手を重ねると……やはり疲れているのか、柚紀にトリオンを吸い取られているからかは不明だが、換装を解きそのまま自然の流れに逆らわず言実も眠ってしまうのだった。生身の私服はアウターもきっちり着用していて寒くはなさそうなので冬島は起こさずそのまま見守る事にしたのだった
そして、二人が目覚めたのは夕方に近い時間帯でありトリオンも正常値に戻った柚紀は『家事や買い物が出来なかった』と落ち込み、それに対して『たまには手抜きやサボりも覚えろ。お前はキッチリし過ぎだ』と指摘する言実であった。そして二人の様子を見に来た諏訪・風間・寺島に【同級生四人による風間の誕生日を祝う飲み会】に誘われて、コレを快諾。……着替えの予備なら二人とも言実のラボにあるし、浴室やシャワー室も本部内には完備しているので自宅に帰って身支度を整える必要がないのだ。その後は送迎役である木崎と合流して、楽しく飲み食いをしマンションに着いてからは今回お世話になった同級生六人に【ご迷惑やご心配をお掛けしましたが、お陰様で元気になりました!!】的なのを送り、シロの案で七人でのグループを作成して言実に寝るのを促されるまで楽しく会話をしていたのだった
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それから暫く柚紀は"学業優先"の生活を送ることとなった。……と言うより、受験生だとナニかと学力テストが多くなり、自然と勉学に力を入れる事となったのだった。(尤も柚紀の学力なら英語以外は問題なく、苦手な英語でも平均は取れるのであった)他のボーダー隊員も言実が口煩く"テスト勉強は怠るな"と言っていたので、大体の者はそれなりの成績をキープしているが、……一部の隊員は"平均以下"やら"赤点者"が出てしまい補習を余儀なくされた者がチラホラ。あまり成績が悪いとボーダーの評判を落としかねないので、"同学年の隊員同士で協力しあって勉学に励むように"と上層部からお達しが入る始末であった。中学三年組は優等生≠A級が殆どで、いろいろ多忙なのを考慮して"先生役"を柚紀が勤める事となった。対象者はC級の子も含まれており同学年の人数もかなり居るので【曜日で勉強する科目を設定したり】・【場所は誰でも使用できるラウンジ】・そして【時々手の空いている"先生役に向いている高校や大学生"も手伝う】的なルールを設けられたのであった。因みに毎日ではなく不定期で勉強会がなくなったり、【B級ランク戦に参加する隊員はそちらが優先・そして試合がある日は勉強会はナシ】的なルールも自然と作られていったのであった。そんな感じで十月となり、【戦闘員とエンジニアの面談】も一通り終わり課題を見つけたり互いの認識を確かめたりして各自色々励んでいる、そんなある日
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~ボーダー本部基地内・言実のラボ~
「……はぁあ~~!!カワユイぞ~歌姫ちゃん!!?くそぉ~、これを写メ出来ないとか苦行だ~!!!ねぇ言実、本っっっっっ当に駄目なの???誰にも見せないからさ~~、許可してよぉ~~!!」
『……………駄目だ、今日は"お試し"だろ?先ずはこの行為に慣れるのが先だ。……"写真は次に"しろ。柚紀が撮られる行為が苦手なのは知っておろう?無理強いすると、コレすら嫌がられるが、………ヒナはそれを是とするのか?』
「ぐ、ぐぬぬっ!!?……………わ、分かったよ。今日は引き下がるよ。……あ~もう、タイミング悪いな~!!今日に限ってシロがボーダーに来てないとか。ってか最悪フブキでも巻き込めるかなとも密かに思っていたのに………あっちは道場の手伝いで来てないしさ~~」
『えっとその、……と、友達だからって四六時中一緒に居るわけには行かないと言いますか、行動しないといけない訳じゃないですし……たまには"一人の時間"を楽しむべきですよ、うん。にしても……(チラリ)…和装なんて久しぶりだな~。昔はよくしてたのに、最近は滅多に着てなかったから新鮮です。………うん』
柚紀に言実そして巽の三人が居て、何やら大人二人が口論していた。と言うより巽の要求を言実が却下しているのを柚紀が見守っている形である。そしてその少女が口にした"和装"の言葉。……特にお祭りがある訳でもないのに何故その様な格好をしているかと言うと
‐ ………ウィーン、…ウィーン ‐
「おっ!?やってるな"コスプレ大会"!!で、今は"巫女さん"になっているって感じだな。にしても……"メイド服"に"警察官"に"ナース"、それと"ブレザー"とか、こりゃまたスタンダードな奴ばっかりだな~。デザインも変に露出が激しい奴じゃねぇし、……で、着てみた感想はどうよ柚紀ちゃん」
『………す、スカートがタイトのは動きにくいですが、えっと……た、楽しいです。普段は絶対に着ない服が着れて"違う自分になれる"のが、新鮮です!ただ、…(…スポッ、ナデナデ)……雰囲気を更に良くするために"黒髪のかつら"を被ったのですが、……コレはちょっと苦手です。こう、頭が締め付けられる感覚がするので。えっと、……何かご用ですか冬島さん』
……こう言う訳である。以前巽と初対面時に言実が言っていた"趣味"の一端が"コスプレ"なのだ。ゲームや漫画アニメで出てくるキャラクターの中には"髪色がカラフルな子"もおり、先程柚紀が言ったみたいに"かつらを被る"のは意外と慣れないと辛いので"なりきる
"には些か手間が掛かるのだ。……そんな面倒事に言実は付き合う気は全くなく、幾ら友人の頼みでもずっと断り続けて来たのだった。…………冬島が知っているのは、たまたま巽に作ってしまった"大きな借り"を返すために"かつらなし"を条件にコスプレを渋々していた時にラボに訪れて目撃されたからである