35.内心暴露の曲~少女の安寧を保つ為に~(100.
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「……さて、柚紀ちゃん関連について色々レクチャーする前にだ(ゴソゴソ、…ポイ)……コイツは菊地原、お前宛てだな。使うかはそっちの判断に任せるが…………"お前さんも少なからず影響を受けているだろ"?」
「(パシッ!)……ナニコレ?(ゴソゴソ)………エンブレム柄の小さいシールに、イヤーカフス?ってかこのカフス何処かで見た気がしなくもないけど……」
「ん?(ヒョコリ)……ナニも凝った模様も入ってないシンプルで何処にでもありそうな奴だね。カフス、カフスか~、…誰か付けていた気がす………あっ!!?(ポン!)確か正隊員用のトリオン体時におつるちゃんが身に付けてた筈だ!!でも何でコレを菊地原に?それもシールは何の為に??」
風間達も退室して残った三人に説明をする前に"袋の中身を全て"捌こうとする冬島。空になった袋をゴミ箱に捨てる最中、二人は渡された物や人物を見つめる。佐鳥は興味深げに、時枝も気にしているがどちらかと言うと"疑念を抱いている"様子だ。そしてシールは兎も角イヤーカフスは言葉通りに"耳に装着する装飾品"だ、つまりは
「菊地原のサイドエフェクト"抑制"的な理由でかな?市河さんに渡した物や理由を考慮するとさ、シールは小さいし……目立たない耳たぶ裏に着けるとかかな?でもお前に必要か?制御もだけど能力に関しても割り切っているよね。……何でそんなのをわざわざ言実さんが今更用意したんだ?」
「……………(プイッ)知らないよ僕だってナニも聞いてないから(……風間さんが言実さんに話した?…いや、それはないか。あの人なら姪の能力が他とは違って"他人にも影響をもたらしやすい"レアケースなのに気づいて、……同じサイドエフェクト持ちには特に影響が出ると思ってコレを用意した、こんな感じかな?)」
……そう、本来【サイドエフェクトの恩恵も弊害も使用者本人のみに作用する】のだ。シロがそれが顕著であり迅の未来視も菊地原の耳も同じなのだ、そして柚紀も。だが、能力の効果や発動条件の複雑さ、使用後の影響が自他ともに絶大てあり、特に【使用者に悪影響が出やすい】柚紀とシロは"他とは別と"考えられやすい。どうしてそんな認識が発生してしまうかと言うと
「隠す必要ねぇぜ菊地原、ってか二人には隠すな。……知られた所で何も出来ねぇんだからさ、"仲間内にだけ"知っていれば問題は確かにねぇだろうがよ~、………ふとした時に"少し違う立場で親しい奴が居る有り難み"を知る事もあるんだ。身内だから話せねぇ事もあるんだ、人脈は多いに越した事ねぇぜ?と、言うよりもだ……【同級生で同じサイドエフェクト持ちのお前が話さねぇと、あの二人だって能力について自分から"ずっと"他人に話しづらいままだ】(スウゥ)それをお前は良しとするのか?」
「……………(ハァ~)……何であの二人はあんな面倒な能力を持っちゃったんだか、だからあんな性格になるんだよ。あ、逆か?………ま、コレは"どっちが先か"分からないから置いておくとして、…………基本"他人が能力の恩恵を受ける事はない"。迅さんだって"視た未来を変えたいが為に他人に伝えたり行動をしている"し、僕は"能力の有効活用を自分なりに見出だせている"からに過ぎない。でもさ、市河は【知った上で何をすれば良いかを見出だせていなかった】"最近までは"ね。今はそれが見定まったみたいだからコッチは問題ない、問題なのは鶴ヶ峰の方だよ」
「柚紀ちゃん?でも彼女だって【皆の役に立ちたいから】ってはっきりとした理由があ「それが問題なんだよ」……どう言う事?」
冬島の話を聞き流そうとした菊地原だが、"二人の為"と言われてしまい思わず考えさせられる事になった。シロは"友人の為"と決めたのは良いが柚紀は、……佐鳥の言う通りだが明らかに違うのだ。ナニが違うかと言うと
「その【皆の範囲が曖昧なのが問題なんだよ】。…彼女の能力は絶大の効果を発揮する、それを一度でも体験すれば"またその恩恵を受けたい"と考える奴も出てくる。……彼女はボーダーに正式に入隊していない、更には何処かのチームに所属もしていないんだ。【部外者が関わる以上、相応の報酬や価値観を示せ】そう考える馬鹿だって居ないとは限らない。………世の中は親切心、ボランティアだけじゃ成り立たない。何ごとも基本はギブアンドテイクだからね、僕達位の学生でもその考えるを理解できるし、大人はもっとシビアだ。多分"知り合いと組んである程度成果が出たら、ランダムで他の隊員とも組ませる"なんて事を上層部は考えそうだからね。……"能力の独占"は争いの元、鶴ヶ峰に関してだけでなく、何事もバランスを取る必要が出てくるのは、……二人だって理解出来るでしょ?」
「「……………」」
菊地原の指摘に二人は考えさせらるのだった。今のボーダー内にも"派閥によるパワーバランス"が存在する。城戸一派は太刀川隊や風間隊といった【実力者が勢揃い】しているのに対して、嵐山隊含む忍田本部長派は【人数の多さ】が一番であり、少数精鋭である玉狛はやはり【S級隊員である迅の存在】が大きいのだ。そしてエンジニアとしても戦闘要員としても腕の良い言実は"中立"の立場、……その身内であり大切な姪が【今後どうなるか】でボーダー内のパワーバランスは簡単に崩壊するのだ。まだ組織内部でのいざこざだけなら良いが、万が一にも【柚紀がボーダーに行きたくなくなったり、この街に居るのを拒んだ場合】……………最悪、"言実と共に三門市から出ていく"。そんな可能性だってあるのだから