32.逆天の曲(97.
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
雨が止み、元の担当地域に戻ろうとした面々だったが他の隊員のフォローをしていた巽から"その地域で任務続行を"と指示が来た。理由は【元の担当地域にはバンダーが大量に発生しそうな点と、落雷の影響でこの地域の通信環境が良くない点】が上げられた。…前者は恐らく迅の予知によるモノであり、後者は宇佐美やシロからも同意見が寄せられたのと、全員妨害型の被害に遭っており"通信が通じない時の不便さ"を知っているので、特に反論はなかった(因みにこの地域の本来の担当者はB級の寄せ集めで、中・遠距離重視の構成らしい)
そして、土竜型が住宅密集地出てくると、柚紀の姿を見失いやすいので、……やはり嵐山・諏訪・荒船隊が戦闘に活用した場所が戦いやすいとなってしまったのだった
『うむ~、……別に駄目じゃないとは思いますが、私この地域ばっかりだな~。…コレ一層のこと"実践訓練はこの地域で"って割りきるべき、ですかね?でも"亜種"は此処限定じゃないし』
〔まぁ今回は我慢はしてよ歌姫ちゃんや。…今までの歌姫の解析結果からして、"残り二方向"の地域把握出来れば、少なくとも警戒区域を能力範囲内に納まる計算かな?……そこは言実にプラン練り直して貰うよ。それに今日は本部長も実はお休みなんだよね~。…指揮を取る私の負担軽減って事で頼むよ~!?〕
「……………そう、だったんですか?言実さんが休まれるのは話に聞いてましたが、本部長もは、俺も初耳ですよ?」
〔ありゃ?話してなかったっけ?いや~本部長はね、本当は別の日に休む予定だったんだけどさ~。……実力テスト"後"にコッソリ言実と手合わせしたらしくてさ~、…色々ちょっと頑張りすぎたみたい~。トリオン体なら生身に影響が出ない筈だけど、………ナニを頑張ったんだか〕
「……巽さん、変な言い方しないで下さい。僕の耳、知ってますよね?貴女みたいな類い稀なる妄想力は僕が一切なくてもそんな明らかに含みを持たせた言い方されると、……変に勘繰りしますから」
意外な事実が発覚して驚く面々。…確かに忍田も人なので休みは必要なのは頷けるが、全体の指揮を取れる者となるとボーダーでも言実や東を含めてもそう多くはないのだ。今はゲート抑制期間だからと言っても"同時に休む"とは風間も考えていなかった様子だ。そしてオペレーターは全員何かと指揮を取る能力は職業柄高いので、巽も"予想外"な事態さえ無ければどうにかなるのだ。……菊地原が指摘する様な"おふざけ"が出来ているので要らぬ心配かも知れない
その二人のやり取りの意味が掴めず不思議そうにしている柚紀が歌川に訊ね、あやふや曖昧な回答をしている所にゲート発生を報せるサイレンとアナウンスが流れ、全員気持ちを切り換える。そして黒い球体からトリオン兵が現れた辺りに宇佐美から通信が入る
〔皆!迅さんから伝言!!(ザザッ)【今回も新種の亜種が出るけど、見た目での見分けが不可能】ってか"上手くミエナイ"みたいです!!?(ジジッ)うわ~、通信状況悪いな~。…(ザザザ)……きくっちー、君は市河ちゃんに情報聞いて。陽菜さんの専用機は部隊に支給されているのより高性能だから、(ザザザ)通信もクリアな筈だよ。ってな訳だから、うちの子宜しくねー!〕
〔っ!は、はいっ!?…気を付けて菊地原くん。ユズちゃんのトリオン量にはまだ余裕があるけど、……ナニかの原因で"また揺らいだら"…(それに、何だろう?ナニか違和感がある。言実さんに限ってそんな事)「市河、どうした?」!!…あっ、その………少し気になる事があるのでモニタリングと平行して調べますが、何かあったら聞いてください。……ユズちゃんを、お願いします〕
「(気になる事、ね)そ、まぁ新種が出なきゃ問題ないと思うからこっちの心配はしなくて良いよ?…寧ろ複数の作業を同時進行してミスされる方が迷惑だし、……ナニかやらかしても悲鳴とか上げないでよ?((……鶴ヶ峰は換装直後に今使用しているトリオン体に違和感を覚えてた。余裕があれば調べて貰えない?))」
敵との交戦前にもたらされた迅による予知を聞いて少し違和感を覚える風間隊だが【柚紀に関して能力が不安定】なのを以前に聞いているので、とりあえず"新種が出るので警戒"的な考えで纏まる。そして通信にノイズが発生しており、これでは菊地原の動きに支障が出ると判断した宇佐美からサポート業務を委託されるシロ。……"これから先を見据えて"頼みを受けるシロが発する言葉を聞いて、任務前に抱いていた"懸念材料の調査"をついでに依頼する。………シロなら能力込みで"この程度なら可能"と判断したのだった
そして、打ち合わせ通り敵が現れたので露払い役である菊地原の側に不安げな表情を浮かべた柚紀が近寄ってくるのに気づき
「……(ナデ)僕の耳が届く範囲にさえ居てくれれば良いよ。後は好きにしてて構わないからさ。…変に助けようとか役に立とうとか、思わなくて良い。(ナデ、ポン)でも、新種が出たらそこからは、…歌姫の仕事だからね?忘れないでよ??」
『…………(フニャリ)うん!大丈夫!!…自分の役目は理解してるから。えっと、…お世話になります菊地原先輩!!?(ペコリ)』
「っ!!?……だから、その先輩呼び、…慣れないから止めてよ。否定はしないけど呼ぶならずっと、……は、他の奴に何か言われるか。………………れ、連絡取り合う時か、ひ、百歩譲っても風間さんが居る時だけにしてよ!!?イイ??」
『???……うん、分かりました先輩!!?』
緊張と不安の音をさせている柚紀を安心させようと言葉を掛ける菊地原だったが、風間達が敵と戦闘を開始しているので柚紀の方を見ずに話していた。目を見ながら話したい柚紀だが、戦闘に突入したので無理なのは分かっており、そして"菊地原が自分を気に掛けてくれている"のは重々承知しているので、…笑えるのであった。そして唐突な"天然発言"に反応を困らせている菊地原を横目に見ながら風間と歌川が余裕で敵を倒している辺りは、流石A級隊員である