それから地味に増えた子も含めて、縁側に飾ることにした柚紀だったが身長が低くて上手く飾れず落ち込んでいる姿を見兼ねた菊地原に「歌川に任せたら？無駄にデカイし有効活用しないとね」と言われたので、素直に聞き入れてお願いすれば快諾された。(菊地原が太刀川隊や冬島隊を更に作成し、歌川は柚紀が知っている弧月使いメンバーで仲が良かったり繋がりがある人(東や荒船隊)、更に柚紀は自分含めた"女性メンバー"を作っていた)
そしてある程度飾り、今居る四人を模したてるてる坊主を歌川が飾ろうとしたら柚紀が"待った"を掛ける

「ん？どうしたんだ鶴ヶ峰？……折角作ったのに飾らないのか？」
『あ～うん、飾るよ？でもその前に……昔やった"てるてる坊主を使ったおまじない"をしようかな～っと。ただコレ【あんまり他人には見せるな】って言われてる奴だから………秘密にしてね？(ｼｰ)』
「……秘密とか大袈裟過ぎるけど、まぁイマドキてるてる坊主を作る人も少ないだろうし"おまじない"程度の事だし気にする必要なくない？……で、ナニをする気？？」

意外と博識な柚紀が幾何学的な事を提案して興味を抱く同級生二人にナニやらお願いをする柚紀。…勿論風間にもだ。その"ちょっとした事"をして更に自分のには"もう一工夫"施すと、先ずは自分を模したてるてる坊主を握り締め柚紀は眼を閉じて意識を集中させる。……意図が分からない三人はただそれを見守るのだった

((……彼女は一体ナニをしようと？…"自分に見立てたてるてる坊主を軽く握り締めて欲しい"と言われてとりあえずやってますが…))
((更に自分のには"髪の毛を首筋に軽くくくりつけて"るしさ、……出来ればリボンとかが好ましいらしいけどトリオン体は髪の毛短いから手元にないから仕方なく、…的な感じだしアレ。………何の意味があるのさ？))
((………俺も分からないが、…"分かっていそうな奴"に聞いてみるか。……状況は把握しているな？アレの意図が分かるか？……………市河))

ナニをするかは分からないが、"邪魔をしない様に"と内部通信で会話をする三人。が、やはり知らないままなのはあまり良くないので、……こちらの様子をモニタリングしているシロに通信を繋げる風間。会話内容は宇佐美にも聴こえているが"自分も分からないし知りたい"と思っているので聞きに徹していた。そして〔……あ、あくまでも推測、ですが〕と一言告げた上で柚紀の行動概念を説明する

〔そのてるてる坊主を"依り代"と見立てているのではないのでしょうか？えっと……む、昔の時代背景の話に"天災や災いを退ける"的な儀式とかあって、…色んな方法が取り上げられている中に………【神に祈りを自らの身を捧げる】…つまり"生贄"…の可能性が〕
「「！！？」」
((はあぁあっ！？！？……ナニソレ？幾ら僕達に迷惑かけたくないからって、……そんな事する必要、なくない？何なのさ本当に！！………"自己犠牲"思考が強いと言うよりそこまで言ったらもう、……"自傷行為"とか"自殺願望"が強い、…そんな域になってない？))
〔あ、あくまでも可能性だよっ菊地原くん！！……確かに私はユズちゃんの数値変動がないかモニタリングしてるけど、…少し前から"遠隔操作"に切り替えてるの。………【繋がっていたら私が処理落ちしそうな状態に】なったから。…今はパソコンに直接触らずにお仕事してます。……だから分からない、…今のユズちゃんの心情が、考えが。………今まで"他人の心を知りたい"何て思った事はなかった。…フウちゃんは何でも隠さずに話してくれたから。でも、……ユズちゃんは、信念…根本的な所は変わりません。でもやっぱり"自分より他人を大切にする子"だから、………ナニをするか分からない、何故そんな事をするかを分からないのは……私はとても不安になる(だって、……"何もかも曖昧すぎるから")〕

そんなシロの言葉に三人は反応に困っていた。一概に"それはあり得ない"と断言できないからだ。【シロの能力】に【柚紀が生まれ育ったであろう環境】そして【他人には知られたくない事をしようとしている】のだから。……そんな風に困らせているとは露知らずな柚紀は意識を集中させ、……うっすらと可視出来る程のトリオンを放出させながら、手に持つ人形を空に差し出す様な体制を取ると

～　てるてる坊主、てる坊主　"今すぐ"天気にしておくれ
　いつかの夢の空のよに　晴れたら金の鈴あげよ　～

～　てるてる坊主　てる坊主　"今すぐ"天気にしておくれ
　わたしの願いを聞いたなら　あまいお酒をたんと飲ましょ　～

～　てるてる坊主　てる坊主　～
〔っ！？お願いです風間さんっ！！ユズちゃんに"三番を歌わせないで"っ！！？例えただの歌詞でも……"そんな事を口にしたら"…どうなるか分からない！？だって、だって今…"歌姫が発動している"の！だからっ！？〕

歌姫の名を持つ少女が紡ぐ優しい声を聞いていた三人に、シロ切羽詰まった声で停止を呼び掛ける。……柚紀に取って歌とはナニかを知っている、…知っているからこそ止めなくてはならない。そう判断したのだった。そして【諏訪から聞いたナニか】を思い出した風間は反射的に動くのだ。……ナニを言わせたくないかは分からないが、"あの言実が言った事"が柚紀にも当て嵌まるなら…不用意に紡がせるべきでないと判断したのと、もう一つ