29.秋天の曲(94.
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柚紀のそんな素朴で何気ない質問を聞いた職員は、一見様子が変わらないが明らかに目が泳ぎ言葉を探しているかの様に直ぐに答えなかった。因みに柚紀は隣が誰のラボか等を全く知らない。……と、言うより"両隣は空き部屋"なのだ、理由は知らないが知る必要がないと思って気にしていないのだった。たがあくまでも気にしないのは自分であり、此処で働いている相手なら別に知り合いが居たって不思議ではない。のに何も答えない、答えを躊躇うその様子に違和感を覚えた柚紀は相手から距離を取ろうと後退りする。と、相手が反射的に此方に手を伸ばしてきたのを見て…怖くなり『ぃ、嫌っ!!?』と拒絶反応を示す。……すると
‐ ……シュウン!パシン!…バッ!? ‐
「大丈夫か鶴ヶ峰っ?!……見たところエンジニアの方とお見受けいたしますが、彼女に何かご用ですか?」
「!?君は、確か風間隊のっ?!…そ、そんなに警戒しないでくれ。彼女が鶴ヶ峰チーフの姪なのは知っているし、何度か彼女の能力テストにも立ち合っている。……丸っきり初対面じゃない。今だって簡単な世間話をしていただけさ」
「(チラッ)……本当か?『……(コク、リ)』…でしたら、何故彼女はこんな不安そうな表情を?それに先程"嫌"と言う声が聞こえた気がしましたが、……気のせいですか?」
カメレオンを解除して歌川が二人の間に現れると、伸ばされていた手を払い除け背に柚紀を庇いながら職員と対峙する。まさかの介入者に一瞬驚くが冷静さを保ちつつ受け答えをする相手。……姿は見えないが、そのせいでより一層"声の微妙な変化"が気になり、顔色が優れないままの柚紀を見て警戒心を緩めない歌川。そんな彼に訊ねられた問いに職員はこう答えた
「それは僕が聞きたいですよ、…訊ねられた事を答えようとしたら彼女がいきなり離れようとしたんですよ?……見たところ"あの服"を着ていない。こんな状態でナニかあっては大変だと思い、…思わず引き寄せようとしてしまいました。……軽率な行動をしたのは此方に非があるのは認めます。が、……何故あの様な行動をしたか、お答え願えませんか?ねぇ~、"歌姫"さん」
‐ ゾクゾクゾク ‐
『っ!!?ぁ、…わ、……わた、し……私、はっ(駄目だっ!今の、私を呼ぶあの声には"悪意"が含まれている、そんな気がする。理由は、分からないけど……この人は、"嫌だ"!!ド、ドウスレバ、イイノ?ナニヲ、イエバ、カイケツスルノ?)(ギュッ!…スッ、ススッ)』
以前男子生徒に勝手に下の名で呼ばれた時の、嫌悪感を感じてしまった柚紀は完全に【彼は自分には良くない人】と認識してしまい恐怖を抱いてしまう。でも自分をわざわざ追い掛けて来てくれた歌川に迷惑を掛けたくないと、何とか話そうとするが……"一定の信頼度を寄せている者"が側におらず、そして"正直に話してそれが信じられるか"が分からず、"不安のサイン"を示しながら後退りをしていき…目尻に涙が溜り視界が歪み始め、流れ落ちそうになったその時
‐ …………ポフン!…ナデ、ナデ ‐
「ふ~ん。…なら順番的にそっちが先じゃないんですか?"質問に答える"のは。……彼女がした質問に貴方は答えていない、…どうしてですか?(ナデ)別に鶴ヶ峰は節介じゃないですよ?マイペースで時間にも余裕を持たせて行動を心掛けている。だから直ぐに答えなくても彼女なら待ちますよ?(ナデ)これが言実さんだと……話が変わりますけどね、あの人は優柔不断とか嫌いな人だから。…別に"答えれない"でも良かったんですよ?彼女は正式なボーダー隊員じゃない、……話せない秘密事項があっても不思議じゃないですからね。(ナデナデ)因みに"無理して答えようとした"、これは有り得ない筈です。なら鶴ヶ峰が気づいて謝罪します。…変に目敏いですからね~。だとしたら残る可能性は【何か後ろめたい事をする、もしくはした後】で尚且つ【鶴ヶ峰に正直に答えづらい内容の質問をされ】貴方がそれに対して【普段とは異なる反応を示した】………こんな感じかな?(ナデナデ、ナデナデ)」
「「!!?」」
『菊地、原、くん?(……パッ、…ギュッ!)』
後退る柚紀を受け止めたのはトリオン体で髪を結んだ姿の菊地原だった。彼の存在により思わずすがり付く柚紀を落ち着かせる菊地原に職員が反論しようとするが「あ、僕には嘘は通じないよ?…それは知っているよね?」と更に相手を追い込む言葉を掛けて揺さぶり……"本性"を暴こうとするが。……彼は小さく溜め息を漏らし道端に転がっている"あるモノ"を拾い、それを近くにいる歌川に渡し……申し訳なさそうな表情をして語り始める
「………とある人に頼まれたんですよ【休みの鶴ヶ峰チーフのラボに侵入して研究データを盗め】とね。…かなり前ですがラボに荷物運ぶのを手伝った際にドアロックのパスを偶然拝見してしまい、……お酒の席でそれを話したみたいですね。流石に数字は言わなかったらしいです、…僕にはその時の記憶がありませんから真相は定かではないですが。……でも、いつの間にかパスが変更されていて入れず、…その帰りに彼女から【何故此処に?】と聞かれて焦ってしまった。……これが真実です。…それは彼女のトリガーホルダーです。先程転んでしまった時にポケットから落ちてしまったみたいですね、……廊下は走ったら危ないから今度からは気を付けてね?(ヒラヒラ)」
"罪を告白して"すっきりした様子の職員は開発部門の部屋がある方へと歩いていくのを無言で見送る三人。歌川が菊地原を一瞥する。"相手の言い分は本当か?"と内部通信で問えば"話している最中に呼吸等に乱れは無かったから、多分本当の事だよ"と返事をし、…何も話さない二人を不安げに見てくる柚紀に気づき「……ホラ、ウチの隊室に行くよ。これ以上面倒掛けさせないでよね」と悪態を吐きながら連行していく菊地原に黙ってついていく柚紀と、…風間(宇佐美)に報告しながら後を追う歌川であった
‐ ……シュウン!パシン!…バッ!? ‐
「大丈夫か鶴ヶ峰っ?!……見たところエンジニアの方とお見受けいたしますが、彼女に何かご用ですか?」
「!?君は、確か風間隊のっ?!…そ、そんなに警戒しないでくれ。彼女が鶴ヶ峰チーフの姪なのは知っているし、何度か彼女の能力テストにも立ち合っている。……丸っきり初対面じゃない。今だって簡単な世間話をしていただけさ」
「(チラッ)……本当か?『……(コク、リ)』…でしたら、何故彼女はこんな不安そうな表情を?それに先程"嫌"と言う声が聞こえた気がしましたが、……気のせいですか?」
カメレオンを解除して歌川が二人の間に現れると、伸ばされていた手を払い除け背に柚紀を庇いながら職員と対峙する。まさかの介入者に一瞬驚くが冷静さを保ちつつ受け答えをする相手。……姿は見えないが、そのせいでより一層"声の微妙な変化"が気になり、顔色が優れないままの柚紀を見て警戒心を緩めない歌川。そんな彼に訊ねられた問いに職員はこう答えた
「それは僕が聞きたいですよ、…訊ねられた事を答えようとしたら彼女がいきなり離れようとしたんですよ?……見たところ"あの服"を着ていない。こんな状態でナニかあっては大変だと思い、…思わず引き寄せようとしてしまいました。……軽率な行動をしたのは此方に非があるのは認めます。が、……何故あの様な行動をしたか、お答え願えませんか?ねぇ~、"歌姫"さん」
‐ ゾクゾクゾク ‐
『っ!!?ぁ、…わ、……わた、し……私、はっ(駄目だっ!今の、私を呼ぶあの声には"悪意"が含まれている、そんな気がする。理由は、分からないけど……この人は、"嫌だ"!!ド、ドウスレバ、イイノ?ナニヲ、イエバ、カイケツスルノ?)(ギュッ!…スッ、ススッ)』
以前男子生徒に勝手に下の名で呼ばれた時の、嫌悪感を感じてしまった柚紀は完全に【彼は自分には良くない人】と認識してしまい恐怖を抱いてしまう。でも自分をわざわざ追い掛けて来てくれた歌川に迷惑を掛けたくないと、何とか話そうとするが……"一定の信頼度を寄せている者"が側におらず、そして"正直に話してそれが信じられるか"が分からず、"不安のサイン"を示しながら後退りをしていき…目尻に涙が溜り視界が歪み始め、流れ落ちそうになったその時
‐ …………ポフン!…ナデ、ナデ ‐
「ふ~ん。…なら順番的にそっちが先じゃないんですか?"質問に答える"のは。……彼女がした質問に貴方は答えていない、…どうしてですか?(ナデ)別に鶴ヶ峰は節介じゃないですよ?マイペースで時間にも余裕を持たせて行動を心掛けている。だから直ぐに答えなくても彼女なら待ちますよ?(ナデ)これが言実さんだと……話が変わりますけどね、あの人は優柔不断とか嫌いな人だから。…別に"答えれない"でも良かったんですよ?彼女は正式なボーダー隊員じゃない、……話せない秘密事項があっても不思議じゃないですからね。(ナデナデ)因みに"無理して答えようとした"、これは有り得ない筈です。なら鶴ヶ峰が気づいて謝罪します。…変に目敏いですからね~。だとしたら残る可能性は【何か後ろめたい事をする、もしくはした後】で尚且つ【鶴ヶ峰に正直に答えづらい内容の質問をされ】貴方がそれに対して【普段とは異なる反応を示した】………こんな感じかな?(ナデナデ、ナデナデ)」
「「!!?」」
『菊地、原、くん?(……パッ、…ギュッ!)』
後退る柚紀を受け止めたのはトリオン体で髪を結んだ姿の菊地原だった。彼の存在により思わずすがり付く柚紀を落ち着かせる菊地原に職員が反論しようとするが「あ、僕には嘘は通じないよ?…それは知っているよね?」と更に相手を追い込む言葉を掛けて揺さぶり……"本性"を暴こうとするが。……彼は小さく溜め息を漏らし道端に転がっている"あるモノ"を拾い、それを近くにいる歌川に渡し……申し訳なさそうな表情をして語り始める
「………とある人に頼まれたんですよ【休みの鶴ヶ峰チーフのラボに侵入して研究データを盗め】とね。…かなり前ですがラボに荷物運ぶのを手伝った際にドアロックのパスを偶然拝見してしまい、……お酒の席でそれを話したみたいですね。流石に数字は言わなかったらしいです、…僕にはその時の記憶がありませんから真相は定かではないですが。……でも、いつの間にかパスが変更されていて入れず、…その帰りに彼女から【何故此処に?】と聞かれて焦ってしまった。……これが真実です。…それは彼女のトリガーホルダーです。先程転んでしまった時にポケットから落ちてしまったみたいですね、……廊下は走ったら危ないから今度からは気を付けてね?(ヒラヒラ)」
"罪を告白して"すっきりした様子の職員は開発部門の部屋がある方へと歩いていくのを無言で見送る三人。歌川が菊地原を一瞥する。"相手の言い分は本当か?"と内部通信で問えば"話している最中に呼吸等に乱れは無かったから、多分本当の事だよ"と返事をし、…何も話さない二人を不安げに見てくる柚紀に気づき「……ホラ、ウチの隊室に行くよ。これ以上面倒掛けさせないでよね」と悪態を吐きながら連行していく菊地原に黙ってついていく柚紀と、…風間(宇佐美)に報告しながら後を追う歌川であった