あれからスムーズにテストは進行し、金曜日の内にＣ級隊員は全員終了させる事に成功する。(基本全員参加なのだが、本人が明白な理由を元に辞退したり、決められた時間にブースに居なかった者はサボったと見なされ、権利を剥奪されるのだった)そして、トリオン体の言実は疲れておらず、逆に物足りなさを覚えたので即興でルール無用の無差別模擬戦が開催される事態になったのだった。これには戦闘狂な太刀川を初め腕に自信のある者達が意気揚々と参加したが、……弟子的なポジションに居る出水と組んで言実は圧勝していたのだった。(曰く『通常はバランスを考慮するが、今日位は問題なかろう』との事だった)

そして一晩明けた土曜日はＢ級隊員達相手の実力テストを予定通り行う流れとなっていた。が、昨日のＣ級と幾分か違いがある。先ずは"ニ～四人で組んで言実一人と戦う点"、対する言実も"正隊員用のトリガー・トリオン体を使用する"。これでもまだ言実が勝つのだから、…一体このお方はどれだけ強いのだろうか？だが、ずっとＢ級との対戦では"飽きる"ので、時折Ａ級チームとの対戦も織り混ぜている。……因みに飽きるは誰がと言うと

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「……さぁあ～、追い詰められた挑戦者サイトは一縷の望みに全てを掛けて審査員に突撃していくが～～……それを無慈悲な程冷静にバイパーで撃ち抜く～！！？これにより挑戦者サイトは全滅！？試合……じゃなかった、テスト終了です！！さてさて出水くんや、挑戦者サイトに対して何かアドバイスとか一言あるかい？」
「コレ毎回答えるの流石にシンドイっすよ、巽の姐さぁ～ん！！……強いて言えばつる姐相手に"もしかしたら"的な考えを抱くのは止めた方が良い。あの人に限って"棚ぼた"的な事はまずあり得ねぇ、……一人で戦われてる時は尚更だ。ま、かと言って誰がと組んでもあの人の強さは健在ですがね」
「ほいほ～い、コメント有り難うね！……おっ？？次のカードが始まったが、今度の相手はどんなチームだ～～？」

『……陽菜さんが凄く生き生きしてる。此処最近亜種の解析とか、裏でも色々やってるらしくて、お見舞いに来て頂いた時に「癒しの歌プリーズ！！」と言いながら抱き着かれて、…ちょっと大変でした。所で、……皆さんはアレを見ても驚かれないのは何故ですか？(ｺﾃﾝ)』
「ん？んーとだな～……柚紀ちゃんもチーム戦…Ｂ級ランク戦があるのは流石にもう知ってるよな？アレってさ、専用の観覧室が存在するんだがそこでは実況と解説付きで戦いを見れたりするんだよな～。因みに今シーズンも十月から始まるぜ？」
「で、実況は主にオペレーターの方が担当で、解説は現役の隊員、…大体Ａ級若しくは大学生やしっかりしてる人達に白羽の矢が立ちます。……まだ俺は経験した事はないですがね。多分鶴ヶ峰さんなら察しが付くと思いますが、巽さんは言実さんの専属で、他の人より都合がつきやすいので頻繁に実況をされているって訳です。因みに実況と解説の音声は会場で無いと聞けません、ROMにはデータが残らない仕組みになってます」
『ふむふむ、成る程～！だから私は知らなかった訳だね！？Ｂ級ランク戦もROMはかなり見てるけどそんな声聞いたこと無かったから、知らないのは当たり前だね。……(ﾆｺｯ)説明有り難う御座います、米屋先輩！古寺くん！！後、……古寺くんは何で私を"さん付け"するの？同級生だよ？？他の人も大体"鶴ヶ峰呼び"だよ？(ｺﾃﾝ)』

実況・解説スペースを作り座っている巽と出水達と程よく離れた位置でモニターと二人のやり取りを気にしている柚紀は、今日の"露払い役"である米屋と古寺に色々訊ねていた。何故この二人と一緒かと言うと、"今日の一番手"が何と三輪隊とのエキシビションマッチであり、柚紀も楽しみにしていたのだが、……うっかり寝坊をしてしまい、基地に着いた頃には終わってしまっていたのだった。(言実が家を出る際に様子を見に行ったが、珍しく熟睡しているのを見て"疲れている"と思い気を使いそのままにしたのが原因)それを知って明らかに落ち込み……思わず涙目になっているのに出水が気づき、米屋に連絡を入れてお守りついでに"せめて戦い内容を聞かせよう"と考えたのだった。因みに古寺が居る理由は"チーム編成上"である。三輪隊は前衛後衛が各二人、…米屋の目線では前衛サイトしか語られない。現在スナイパーに関してもしっかり勉強をしている柚紀が、"後衛サイト目線"の話も聞きたがると奈良坂が察したのだ。(情報源は日浦)で、年上のより同学年の古寺の方が負担も少ないと米屋にアドバイスされてこの面子になったのだ。三人でないのは、隊長である三輪や…………"上層部を警戒して"出水が二人までと条件を付けたのであった。柚紀の事に関しては出水の発言にも説得力があるので、基本米屋も素直に聞き入れている。仮にも言実を師に持つのだから、当たり前でもあるのたが、きちんと一定の実績を上げているからでもあった