3.親交の曲~桜髪の少女編~(68.
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それから言実達がラボに到着すると、少し前まで使用していたエアマットを再び引っ張り出しで使用可能な状況にした辺りで冬島隊の二人が、マットに柚紀を横たわらせタオル生地の肌掛けを掛けてやり白衣を再び着用し、例の時計で数値を計ったりしている辺りで軽い軽食を持参した嵐山……と迅がラボに訪れたのをきっかけに互いに情報共有を開始した。それがある程度終えて一番初めに口を開いたのは
「………済まねぇつる姐、…俺が【何時にロビーで待ち合わせ】とかちゃんと決めていればこんな事にはならなかった」
「ま、それもだが柚紀ちゃん呼んだ理由はアレだろ?(ファ~)……俺に会わせるためだろ?(ゴキゴキ)…トリオン体の調節に難航してて、ココあんまり寝てなかったからな~。……だからよ、あんま当真を叱らないでやってくれ言実ちゃん」
『(ハァ~)……貴方に些か無理なお願いをしているのは私だ、文句など言わぬさ。…佐鳥、時枝、……お前達も自分を責めるなよ?今回は自ら騒動に首を突っ込んだ柚紀と、…あの学校をサボった馬鹿者共が悪い』
ランク戦ロビーに柚紀が居た原因である当真が先ずは謝罪の言葉を述べるが、目元に隈を作りかなりお疲れな様子ながらラボに来た冬島が擁護する。その姿を見て小さくため息を漏らした言実は何時もの様に淡々と冷静に語ってはいるが……眠っている柚紀を見て心中穏やかではないだろうと、全員が感じ取っていた
「ですが言実さん、柚紀ちゃんだって無謀な事を進んでしたりはしない筈です。それに、………迅。お前には視えていなかったんだよな?"柚紀ちゃんが危ない目に遇う未来が"…そうだろ?」
「……………全く視えていなかった訳じゃ、ない。だが……"可能性が極めて低かった"んだよ。三輪隊や風間さん達のお陰で大事にはならない……そっちの方が高かった」
「ま、実際に風間さん宛にメッセージが届いた際、諏訪さんが【柚紀からのじゃないか?】って指摘して直ぐに確認した。……までは良かったが、中途半端な内容だったせいで理解するのが少しばかり行動が遅れちまった。…多分だが、(チラッ)柚紀が自ら首を突っ込む程の事が発生したから誤送信したんじゃねぇか?」
時枝が嵐山に連絡した際に、迅も柚紀の脅しが通じたのか普通に学校に行っていた。だが、朝の時点で"倒れる柚紀の未来の確率が高ければ"…途中で抜け出して助けに行くか裏で手を打っていただろう。そして、太刀川独自の視点から柚紀の行動原理を推測すれば、小さくだが迅が頷いたのだった
「…理由はあのスコーピオン使いの人、だと思います。……三輪先輩と対峙していましたが風間さんや言実さんがロビーに来ても、あの人だけ焦りは見られなかった。…苛立ちはあった風には、見えましたが」
「でもあのガンナーの人が誤射したのはおつるちゃん達が来る前。…三輪隊の二人に声を掛けられたから?(ギュッ!)そもそも何で彼女……柚紀ちゃんが、撃たれたり斬られたりしなきゃならないのさっ!!ねぇ、答えてよ!!おつるちゃん!!?」
『落ち着け佐鳥、……予想は容易に出来るがそれが真実とは限らぬ。…………気が進まぬがやはり本人に聞くしかあるまい(コツコツ)』
「本人に?……ですが鶴ヶ峰さんは…直ぐに目を覚まさないのでは?頭に弾丸が当たったとなれば、…脳へのダメージや後遺症が出ないかが…………おれは不安です」
言実並みに柚紀を心配する佐鳥と時枝。…特にスナイパー達はこの後合同訓練がある、……麻雀には堤もだが東も参加していた。なので、佐鳥が休む事も出来なくもないが……柚紀がそれを是とはしないだろうし、今の状態で参加すれば出来ばえは良くないのは明白だ。それでは指導を担う者としての示しがつかない、それらを考えた言実は眠っている柚紀の側に行き、額に手を当てて目を閉じて少しの間ジッと動かない状態となる。そして
『……………"起きろ"……柚紀…(…スウゥ……スッ、ナデ)』
『んっ………ん~(……スウゥ…パチ、パチ……パチ)…言実さ、ん?…ご……ようじ…は……なぁ~に?』
(全)「!!」
意味不明な動作は兎も角、言実の呼び掛けに応えるかの様に目を開き言葉を発する柚紀。それを見て流石の迅も驚きを隠せない。……気を失うほど衝撃や痛みを頭に食らっているのだ、幾ら何でも目覚めるには早すぎると思ったからだ。そんな驚愕している男性陣はさておき、"無理に意識を覚醒させた"自覚のある言実は手短に用件を済ませる事に
『(ナデ)まだ眠いのに無理して起こして済まぬ。…だがお前の話を聞かねばならぬ状況でな、(ナデ)……直ぐに終わる故に少し我満してくれ』
『……うん、…わかった』
『……何故あの騒動に干渉した?何故、…あの少年を庇ったんだ?』
『………あの…スコーピオンの…ひと、…"ホンキ"で…かれをきろうとした。……"くびを"………トリオン…たいだって、…わかっていても……みたく、…なかったから。…あとね、………"ダメ"…って…おもっ…た…………トリガーは…"まもる"チカラ……ひと…を…きず…つける……チカラ…じゃない…………だ…から……』
『………そうか、…(ナデ)まだ起きているのは辛いだろ?……少し眠れ。(ナデ)安心しろ、私が側に居る』
『……ぅん、…ぉゃす、…みなさ…ぃ…。ぁと……めぃわく…かけ、て…………ごめ……と、…み…さん……に…った……ぇ…(ガクッ…スゥ、スゥ)』
「……………」
言実の問いに答えると再び眠ってしまう柚紀。彼女が返した答えと寝る前に発した言葉、…柚紀らしくはありその考えは悪くはない、だがそれらを実際に行動するには……あまりにも無謀で貧弱な生身では危険すぎると感じる面々であった