23.鶏卵の曲(88.
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荒船隊室にお邪魔する事になった一行だが、小佐野だけ蚊帳の外にする訳にも行かないので堤が代表して呼びに行き、疲れて眠っている柚紀を見て思わず笹森に掴み掛かろうとしたのを、男子三人掛りで取り押さえて落ち着かせる事態となった。そしてトレーニング用のベンチに柚紀を横にさせる際に、わざわざ換装を解いた小佐野が膝枕をしてあげたのだ。曰く「この位の"ご褒美"あってもいいじゃない~?頑張ったんだからさ~」との事
実際、今の状況で柚紀を一人寝させるべきでないと諏訪と佐鳥はラボでの一件体験者は考えていたのでそのままの状態とし、堤が気を聞かせて買ってきてくれてた飲み物を各自で飲んでから隊長らしく荒船から話を切り出す
「………で、佐鳥。お前はどの辺りからコッチを見ていたんだ?どう考えたって"授業途中で抜け出している"のは明白だ。…(スウゥ)中・高の学生隊員のソレを言実さんが理由もなく許す筈がない。だが、あれだけ的確な援護射撃が出来ているなら………"あの人に通信を入れて状況把握しなければ"無理な芸当だ。…違うか?」
「……………(コリコリ)…荒船先輩の言う通り、です。……佐鳥は途中で学校を早退してきました。も、勿論っ!駄目な事は重々承知してますよ?!だけど…(チラッ)お昼頃からかな?こう、なんと言うか……"胸騒ぎ"が治まらなくて。今日は特にボーダーの仕事もないし、食べ物で胸焼けしたりする訳でもなく、オレは健康そのもの!元気な筈……なのに、どんどん気分やテンションが下がっていくのを感じて…………見兼ねた風音ちゃんに【先生に上手いこと言ってやるから早退しろ。…どうせ柚紀ちゃんが、心配なんだろ】と、言われて、それで……」
「うん、とりあえずソレは良いとして……あの場所にはどうやって辿り着いたの?あ、コレより荒船くんの質問の解答が先かな?【具体的にはどの辺りから援護射撃してくるていたの?】俺は全然分からなかったよ?」
一対多数の尋問状態な佐鳥だが、今回は時枝に相談もなしにした単独行動なのだ。…自分がしたことを他人に……チームムイトであり友人であり、…協力者兼恋敵の時枝の手を借りる訳にも行かないのだ。だから答えなければならない。……感覚的でなく、きちんと原理を理解しようとする荒船を中心にメンバーにある程度納得してもらう為にも。たが、中には感覚的な部分もあるのでそこは……素直に話すことにする
「……基地に、向かっている途中で…彼女の歌声が"何となく"聴こえた気がしたんです。生身だったから、……遠かったしちゃんとは…聞こえなかったけど、今回の選曲は【同じ同級生であり、"唯一歌声未体験"の半崎が知っている曲を】って柚紀ちゃんがこだわってて、でも彼女は流行りの曲や男子が知っている曲とか分からないって言うから、……オレが協力してピックアップした中の一曲なんです。かなり有名だし女性シンガーだから、変に緊張しないかっと思って。で、その…………に、二番が中々聞こえなくて、気になってたら……悲鳴?…叫び声?……と、兎に角"今まで聞いたこと無い彼女の声"が、歌とは違って鮮明に聞こえて、それで…」
「!?……亜種の電撃を食らった時、だな。で、換装して即座につる姐に連絡を入れて…って感じか?(ガシガシ)曲のレパートリー増やすために身近な奴に聞いたり、そんな風に気遣う奴ってのも、佐鳥がそう感じたりはまぁ、分かるな。【俺も似た経験した事があるからな】………で、狙撃始めたのは"どのシーン"辺りだ?具体的に言うなら【気を失った鶴ヶ峰が意識を取り戻した前か後か】だな」
「……………起きた後、です。それまでは移動や、亜種の関知範囲外で尚且つ良い狙撃ポイントを慎重に探してました。範囲はおつるちゃんの推測でしたが信頼はしてましたよ?でも念の為色々余裕を持つ必要もありました、……佐鳥がある程度命中率がキープできる距離も気にしないといけなかったので。こっちが助けに来たんですから助けられる訳にはいきませんよ。後、……"こんな相手"とか"諏訪さん達との通信が遮断している"的なのを聞いて、……正直心配でした。だって電撃…雷は【彼女の嫌いなモノを連想させる、…下手したら嫌いなモノ】かも知れないから(本当は、…"笹森が彼女を抱えている所から"見てはいたけど、撃ち始めたのは意識を取り戻して彼奴から離れた後。だから、……嘘じゃない)」
聞きたいことは色々あるが、とりあえず先ずは年上・隊長達が中心に話を進めていく。感覚的な理由が出てきたので諏訪が自分の知っている事や今までの体験・経験から内容を肯定して、堤からの問いを具体的な線引きをして解答を促し、それと理由等を聞いて……全員の表情が曇ったのだ。【柚紀のトラウマ案件】が出てきたのだから。それを聞いて「佐鳥、ソレ、…どういう事なんだ?」と笹森が代表して尋ねると、…少しだけ目元がキツくなった佐鳥が不機嫌そうにこう答えた
「諏訪隊の皆さんなら、……笹森なら見たことあるんじゃない?【曇り空や雨の日、柚紀ちゃんが明らかに気落ちしている場面】をさ。…オレ、ソレ見たくなくて思わず"雨降るなー、憂鬱になるー"的な事言ったんだ。そしたら……『雨は"恵みの雨"だから降らな過ぎるのは良くないよ?でもね、"梅雨"や"台風"とか、私は苦手かな?"両方自然現象"だから仕方ないって分かっているけど、酷い時は土砂崩れとかの"天災"になる。……特に六月は憂鬱になる』…的なのを話してくれた。で、続きを聞こうとしたらとっきーに止められたのもあるけど、嵐山さん…いや多分"迅さん"にストップされた。"それ以上は今は聞いたら駄目"……そんな意味合い、だったんだと思う。…台風は毎年被害が出る訳じゃないし、梅雨だって昔からずっとだ。でも彼女は嫌っている。……【雨の日に"ヒト"に関わる凄く辛い思い出がある】そう、オレは考えた。ならあんな反応を示す理由だって、頷けるよ」