22.神音の曲~厄を払い清めよ~(87.
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
嵐山隊との合同任務にて合流したあの開けた場所に辿り着いた柚紀は、上がった息を整えながら周囲に敵が居ないのを確認する。そして、実際にどうやって親玉……【ゲートでコチラに来る"前から"亜種の個体】つまりはオリジナルを見つけ出すかを考え始める
『(あの嫌な音は"二種類"で、ヒトは高音の方が不快に感じやすい。のと、…耳には"聞こえづらい"のもそう。だけど、私がソレをするのは)……"自滅"しちゃう、よね?(ハァハァ、ハァハァ- リンリーン ‐)……それに、コレだけじゃ(‐ チリーン ‐)歌だけじゃ、無理な気がするっ。(スゥー、ハァー)………私が無理せず出せる、…"トリオンに反応する"若しくは含まれた音なんて、他に何か……(チカッ)!?……(‐ チリーン ‐)待って、…待ってよ!!あるじゃん!!?【私のトリオンに反応するモノ】が!!?確かコレって、……上手く行けば、……出せるかも!!大きな音が!!?』
何かが光り、ソレに気づいた柚紀は準備を始める。"些か不恰好だが"仕方ないと割り切り、着ていたカーディガンをきっちり腰で縛り、髪も今回はトリオン体時のフブキみたいにポニーテイルに纏めれば"必要なモノ"を右手に集約させ、念のために学校指定のタイを"集中して落とさない様に"と纏めて縛り付ける。そして最後に、"銃を象った"左手を"とある建物の屋上を指差しながら"
『……"バーン"!…(フワッ)頼りにしてるよ?何時も私を助けてくれる………"正義の味方さん"』
と、意味深な言動を行えば、集中する為に瞳を閉じて呼吸を整えた柚紀は、……ゆっくりと動き出したのだった
‐ ‐ ‐
‐ ‐
‐
道行く先で、邪魔な敵を蹴散らしながら柚紀が居るであろう場所を目指す四人。そして目的地にて見つけた少女が無事であるのに安堵するが、……"ナニをしているか"が分からず不思議そうにしといる
‐ チリーン、リーン……リーン ‐
「え、えっと………鶴ヶ峰は歌がノって来ると、ってのは知ってるけど…アレってどんな意図があるんでしょうか?諏訪さん、分かりますか?」
「(ガシガシ)いや、俺も知らねぇな。…ってかアイツ……"踊っている"のか?何のためにだ?歌姫ナシじゃ、妨害電波に対抗出来やしねぇだろ?」
……そう、柚紀は踊っていたのだ。今どきの若者が好みそうなストリートダンスや社交ダンスでなく、"一人で指先から足先までピシッと洗練され、何処か優雅にも見える"…そんな躍りを。その動きに乗じて相変わらずあの鈴が鳴っているが、……それがある右手の変化に荒船と笹森が気づく
‐ リーン、リーン、リーン、リーン ‐
「鈴は確か、右手首に石付きの鎖に括り付けていた筈だが……トリガーホルダーと一緒に握っているのか?たが、なら最初からそうすれば良いだけだよな?(持ち直したのには、ナニか別の理由が?)」
「それに、……動くから汗を掻くのを想定してカーディガンを脱いでますし、髪色だって未だに鮮やかさをキープしている。………大丈夫か、鶴ヶ峰?今の状況ってただ単に"トリオンを無駄に放出している"だけなんじゃ、…それってアラート発動に繋がる……って!……左手首に"あの腕時計がない"!!…でも、さっき俺が手首を誤って握った時は、確かにあったよな?……なのに、どうして?」
笹森の発言を聞いてもう一度柚紀をよく観察する三人。……確かに左手首にあの時計はなく、右手結ばれたタイの隙間からデジタル画面らしいのが見えたのだ。そしてその右手に"トリオン粒子"が集まっているのが目視出来るようになり、それが右手にある"ナニか"に吸い寄せられている様にも窺え……あの広場で見た"幻想的な雰囲気"を漂わせる中
‐ ゴオォーン、…ゴオォーン、……ゴオォーン、…ゴオォーン ‐
‐ リーン、リーン……リーン、リーン ‐
「な、何ですかっ?!この重低音で体に響くような音はっ?!!」
「っ!多分だが、あの腕時計から出てるアラート音だ!!だが、確かアレはベルみてぇーな高音だった筈だぜっ?!これは、どっちかと言うと……寺とかにある鐘の音、だな」
アラート発動基準には呼吸や心拍数の他に【トリオン変動】も対象であり、【自他に影響が懸念されるほどの変化及び"放出"】を満たした場合も条件となっているのだ。そして、柚紀は言実に"アラート音の変更"をお願いしていたのだ。……流石にあの音量で高音は本人にも辛いのもあるが、"周囲に異変を気づいて欲しい"だけで不快な思いをさせるのは本意ではないのだ。……因みにアラート発動の"正確な条件"を柚紀は知らない。…とりあえず"自分が危うくなったら鳴る"程度なのだ。そんな"二重の金属楽器の音"が鳴り響く中
《……考えたな、アラート発動時に鳴るオトを逆に利用するとは。それも低音は他人の胸元に当てて聞こえる心臓音と似ている事から、安心できる音でもある。…羊水に浸り目も開かぬ母親の胎盤でソレを聞いて成長する故に、……本能的な感じだろうな。お陰でお前達にさほど違和感を与えぬ状態で、……あの亜種が放つ妙な音を相殺させてこうやって通信機能回復に繋がった訳だ。………が、…アレは長く持たん。…早急に"大元…根源"を叩け。流石に"演奏"を邪魔されれば出てこよう》