21.玲瓏の曲~戦場を駆け抜けろ~(86.
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柚紀の発言の意図を掴めない者達を差し置いて、宣言通りに車のフロントガラスに弾が命中した。…これを確認した柚紀は【向こうの音声が聞こえないだけで、こちらの声は届いている】点と、先程のは証明する為の実験だったと説明する。そして次はどうするかと思考を巡らせようとする柚紀だったが
『くっ!?な、何なのっ!!"コレは"っ!!?ぃ、嫌っ!!!あ、頭がっ?!(ペタンッ!)』
‐ ガタガタガタガタ ‐
「!?おいどうした鶴ヶ峰っ?!?しっかりしろっ!!(サスサス)(どうなっていやがる?"この程度"で頭を痛める程、コイツの"思考回路"は固くねぇ筈だ!……悪知恵もかなり働くし、時には"常識はずれ"な事を思い付く事もある!何より"あのつる姐の姪"で、姐さんの読みの正確さは迅の……)『(ピタッ)……あれ?…痛く、なくなった??』!!(ナデナデ)………話せる内に説明をくれ。ナニが自分の身に起きたか、理解できているならな(ナデナデ、スッ)」
いきなり頭を抱え込み辛そうな表情でその場に座り込む柚紀を即座に介護する諏訪。すると、直ぐに症状が緩和したらしい柚紀を見て流石の諏訪にも不信感が募ってしまい、無意識に声音が何時もとは違う感じになってしまう。…聴覚強化している柚紀にはその違いに気づいてしまい、立ち上がるために差し出された手をどうするかと躊躇していると
‐ ………ヒョイッ、…ポン ‐
「諏訪さん、あまり鶴ヶ峰を疑わない方が良いですよ?今の彼女は菊地原と同じ状態な筈です。"頭が痛い"と言いながら耳を塞ぐ姿を俺と日佐人は見た事があります。……今は大丈夫みたいだけど、どうしてか分かる?」
『……(チラリ)堤さんが、私に触っているからだと思う。(ススッ)そうで無ければ、…くっ!?(ギュッ)こう"ザサザザザ"とか"キイィーン"ってノイズが、……耳障りな音がするの。特に"豪雨を思わせる"前者の音が、五月蝿くて、嫌になるの!私、【雨が嫌い】っだから!?』
「!(ガシッ!)雨が嫌い?……でも、鶴ヶ峰はインドア派じゃ…」
堤が側に近づき諏訪に代わって立ち上がらせると肩に手を置いた状態で、…軽く畏縮してしまった柚紀に変わって返答する。更に訊ねられた事を"より正確に答えようと"その堤から離れて説明を試みる柚紀が、辛そうなのが声音でも表情からでも理解した笹森が思わず腕を掴んでしまう。…何時かの時枝と同じく時計をしている左手首を。だが今回は先程の"狙撃までのタイムを測る為に"軽くカーディガンを捲っており、時計の存在が分かる状態にも関わらずに、だ。そのせいで再度表情を歪める柚紀に気づき荒船が笹森の手を離させると、頭に手を置いたまま【向こうに伝える為に】自らの考えを口にする
「何で鶴ヶ峰にだけその"耳鳴り"らしい音が聞こえているかは不明だが、…【俺達が触れると聞こえない】それは確かだな?」
『(コクン)……皆さんには、聴こえていないみたいですね。それと堤さん、……私は何時【今みたいに聴覚強化】していましたか?…少なくともトリオン体の時は痛覚をほぼOFFにしていますから"頭痛を訴えた"のなら生身で、ですよね?』
「あれ?……佐鳥辺りから聞いてないの?…例の騒動時に外から基地に戻った際、"最初は"ウチの隊室で待機を言実さんに言われて、その時に……だけど?(……そう言えばあの時は"髪色が変化していなかった"。サイドエフェクトじゃないのにアレは、どうして発生したんだろ?……誰かが説明、してたけど思い出せないな)」
笹森の説明を聞き『そう言えば…』と、"三人から疑問の視線を向けられた佐鳥"を思い出して、その理由を理解し今度詳しく聞いてみようと内心で決めたのは良いが、この【超音波的な不快な音が原因の頭痛】は厄介だ。サイドエフェクト…歌姫を使う際は基本"他人と接触しない様に"柚紀はしているのだ。……あの騒動の際、本人は何も言わなかったが【そのせいで言実が大変な目に遭わせてしまった】のを気にしているのだ。…だがこの頭痛を抱えたままでは集中が出来ない。どうするべきかと思案しながら……渋々ポケットに手を入れる
『(……どちらにしても生身で歌姫を使うならコレなしじゃ無理、だよね。だけど何時もより集中出来ないから効果が十分に出せなくても、……"トリオン体の時並みに効果が出せれば"良いけど。出来るかな?)(‐ スッ(ポロッ)……リーン、コロコロコロコロ ‐)!……あっ?!おサノ先輩からのお守りの鈴がっ!!(タタタ)』
「!?おい、無闇に離れるなっ!頭痛もだが何時敵が現れるか分かったもんじゃねぇだろ??!」
『だ、大丈夫ですよ!もし敵が近くに居たり接近しているなら、【何か合図を出す筈です】。例えば足元を狙撃して移動を促すとか、です!(ガシッ!)良かったぁ~、この周囲デコボコしてますから無くさないか心配でした(‐ チリーン、リーン ‐)折角頂いたお守り、ですからね』
出撃の際に言実から手渡された"あるモノ"と一緒にポケットに入れていたあの魔除けの鈴が落ちてしまい、転がるのを慌てて追い掛ける柚紀に諏訪が注意する。その怒鳴り気味な声音に、堤が再び"今は聴覚強化状態"を指摘し、荒船も土竜型が来る可能性が頭を横切りこちらも焦った表情をする。の中、一歩出遅れたが笹森が慌てて追い掛け、無事に鈴を拾えた柚紀の側に行き……ナニかに気づく
「あれ?ねぇ鶴ヶ峰、……耳鳴り大丈夫?今は俺も触ってないよ?」
『!!そう言えば……平気かも。でも、どうして?……(‐ チリーン ‐)!?もしかして、(‐ リンリーン ‐)………コレのお陰?』
「!!ソレは確か小佐野から貰った魔除けの鈴だったか?当真が【お守りに負けるなよ】とか変な事言っていたが、…案外役に立つモノだな」
「魔除け、……おサノは【トリオン兵から鶴ヶ峰を守って欲しい】と願ってソレを渡したんなら、鶴ヶ峰が感じるその音は例の新種の亜種が放っている音になるのかな?」