「なっ？！！」
『一体撃沈！！でもまだまだ居るな～。…言実さんっ！"スナイパー二人の居る方角"は？？』
《穂刈は"午"に移動しているが、半崎は……"艮"の方角だ！！》
『了解！！なら、半崎くんが撃ちやすい角度に敵を誘導します！？(多分穂刈先輩の狙撃を見ていたなら、…私の意図に気づく筈。少なくとも、………加賀美先輩なら！)』

柚紀は情報錯綜を防ぐ為に基本は言実にしか通信を繋げない。…二人が駄目な訳ではないが、自分が欲しい情報を瞬時にくれると一番信用信頼しているからだ。だが、向こうとてこちらの様子をあらかたモニタリングが可能な筈だ、…でなければ現場隊員のサポートは不可能なのだから。それに当真が言っていたのだ

『(スナイパーは一瞬の隙を見逃さない、一撃必中・一撃殺法、所謂"アサシン"的なポジションだって。なら)後衛が敵を仕留める……その隙を作るのが前衛の役目！荒船先輩！？確かに前衛は先輩お一人ですが、…"本当に一人ですか"？穂刈先輩や半崎くん、それに……加賀美先輩だって居ます！！【隊長だから】って一人で全て背負い込んじゃ駄目です！！適材適所、役割分担をちゃんとするべきです！！？そうでないと(‐　ドーン！！　‐)…先導者である貴方が倒れちゃいますよ？』
「っ！！？(…成る程、な。確かに鶴ヶ峰は言実さんの姪と改めて思うが……あの人とは違う。あの人は"訊ねなければ答えてくれない"が、彼女は…"どうすれば相手の為になるか"を考えている。それを"甘い考え"と感じる奴も居そうだが鶴ヶ峰のコレは)……己の経験から学んだ、確かな自信による"必要な優しさ"…なのかもな。…おい鶴ヶ峰っ！！【金剛型と通常の敵との見分け方】と【地中から襲ってくるタイプの亜種の注意点】は何だ？」
『ええェェー！？い、いきなりそんな事言われましても～、(ヒョイ、ヒョイ)ん～っと、ん～っと、……お、オペレーターの助けなしなら装甲が硬いって事は素材や厚みが多分違うから【ナニかを装甲に当てて他と音が違えば】……ですかね？斬ったり撃ったりもアリですが、トリオンの無駄遣いになりそうですから。地中からのは【通常のより一回り大きい】ので見分けは楽で、注意点は【ブレードが鞭状に変化】と【欠損部分の修繕機能持ち】。ですが【弱点は通常のモールモッドと同じです】……つまりは"亜種だと身構えず普通に倒すだけ"な訳です！！……あっ？！えっと、こ、これで大丈夫、ですか？(ｵﾄﾞｵﾄﾞ)』
「……(ﾌｯ)あぁ、問題ない。…(ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)色々有り難うな鶴ヶ峰」

スナイパーと連携して確実に敵を仕留めていく柚紀を見て、感嘆と"亜種だから"と妙に気構えていた自分に気づき……"何時もの連携"が出来ていなかった事に気づかされる。が、やはり亜種の事を知らなければ対処は難しいので気になる事を"亜種対応の先輩"に訊ね、ちゃんと答えた後に"生意気な態度をした"と感じた柚紀が不安げな表情をしたのでうっすらと笑い頭を撫でながら"気にしていない・問題ない"と気持ちを表現する。そんな中〔荒船くん！？地中から例の亜種が接近してるから警戒して！！〕と加賀美から通信が入れば〔亜種は下手に攻撃するとヘイト取っちゃいますから通常のを倒しますね！〕〔頑張れ、隊長、…守れよ？……歌姫を〕と半崎・穂刈からも通信が入り「そっちこそ、仕事怠るなよっ！！」と仲間と元気にやり取りしている荒船を見て"もう大丈夫"と安堵した柚紀にも《土竜が来るぞ！》と亜種予告が言実から届き、身構えるのであった
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その土竜型をきっちり荒船が始末し、通常のが荒船を狙い始めたがスナイパーと連携し(柚紀も時折シールドで補助)数を減らしている所に新たなゲート発生。更には……

〔ムムムっ！！……"未登録なトリオン反応"？つまりは…【新種の亜種、多分オリジナルが出てきたよ】！！？諏訪・荒船両隊員は警戒を！！…歌姫ちゃ～ん、スタンバイして！！？〕
『へあっ？！！で、でも私今荒船先輩の所だし、通常のだってまだ、沢山居るから…(ナデ)……荒船、先輩？？？』
「俺の心配はするな、どんな敵でも"いつも通り"に倒せば問題ない。だから鶴ヶ峰、(ナデ、ﾎﾟﾝ)……お前は、"自分の役目"を果たせ。……こちら荒船！歌姫をそちらにお返しします！！敵を出来るだけ足止めしますから、ちゃんと受け取ってくださいよ諏訪さん！」
〔ったりめーだ！！…中間地点に堤が居るから、そこまでスナイパーの援護射撃くれや！？……つる姐！！？始めるか？！？〕
《あぁ、……十秒後更にカウントダウンと同時に始めるぞ柚紀。【如何なる状況でも歌姫を瞬時に使えるようにする】……今回の課題の一つだ。効果もある程度出すのを意識しろよ？でなければ意味がない故にな》
『じ、十秒後とか、集中する時間がっ！？……あ～、もうっ！？やりますよっ！！言実さんの鬼～！スパルター！！………上手く出来たらちゃんと褒めてね？』

新種の亜種が来たにも関わらず、全員が極度の緊張感を抱く事なく打ち合わせ通りスタンバイや行動を開始する。勿論柚紀も。……此処からが【歌姫の仕事】なのだから


～　強くなれる理由を知った 僕を連れて進め　～