19.帳の曲~導くは緑の雷光~(84.
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
嵐山隊と組んでの防衛任務が終わった数日後、亜種の解析や柚紀の実践データ分析やサイドエフェクトに関する学習が一通り終えて柚紀の体調面も問題ないのを確認した上で、予告通り荒船・諏訪隊の合同防衛任務が組まされた。"歌姫初体験"な荒船隊だけでは柚紀も色々不安だろうと考えた結果、一番歌姫馴れしている諏訪隊と組む事になったのだ。……亜種含めた敵を相手にするならやはり前衛は"三人以上"居るのが安定する、これも合同にした理由である
前回同様お昼前に早退するように(今回は"ボーダー関係"でときちんと話す予定)言われて朝登校した柚紀の元に、珍しく笹森がクラスにやって来た。佐鳥は何時もの様にお邪魔しているが、フブキは今日は日直らしく朝の仕事中で不在である
「お、おはよう鶴ヶ峰。あ、あのさ…き、今日早退する件、知っている、よな?」
『おはよう笹森くん。うん!お昼前にってちゃんと言実さんから聞いたけど、…それがどうかしたの?(コテン)』
「えっとさ…(ゴソゴソ、スッ)……さっき、諏訪さんから連絡が来て【車で迎えに行くから一つ前の時間に早退しろ】だってさ。ぜ、前回とか鶴ヶ峰が早退する時ってほぼ迅さんが迎えに来てただろ?【彼奴も学生だ、負担掛けさせる訳には】って思ったらしくて、…因みにだが、俺達のついでに半崎も拾っていくらしいけど、……問題、ないか?」
「半崎となら既に柚紀ちゃんと顔合わせ済みだから大丈夫だよ!?まっ、心配なら荒船先輩を拾っていくのを勧めるけど……諏訪さんの車でって"後ろの席"に男三人…座れるの?」
柚紀の異性に対する問題点を心配する笹森に対して、佐鳥が代わりに返答するが"念のため"の緩衝材もきちんと助言する。それを聞いて「な、成る程!聞いてみる!?」と柚紀に見せていた携帯で諏訪に連絡する笹森を横目に、佐鳥に対して"有り難う"の気持ちを込めて笑顔を向ける。それに対して笑顔で返した佐鳥。……そんなやり取りを一歩引いた場所から見聞きしていた時枝とシロが"答え合わせ"をしていた
「(コソッ)…鶴ヶ峰さんが佐鳥の発言に対して嬉しそうにした理由ってさ、【車と言う狭い空間で男子に挟まれる可能性を回避出来たから】?あの発言からして佐鳥は【彼女は助手席に座る】が前提みたいだし」
「(ボソッ)ま、まぁあの諏訪さんなら、多分、そうします、よね?えっと……お引っ越しの時、言実さんも助手席に座っていたみたい、ですから。後………(チラリ)新人入隊式で荒船先輩との間に"ちょっとした溝"が出来たのをユズちゃん、気にしてるみたいで…任務前に和解、出来れば良いけど」
「(ポツリ)……少しのわだかまりや迷いが現場では命取り、だからね。…そう言えば【ベイルアウト=死】の概念は、克服出来たそう?」
「あ!それは大丈夫!!実際に"残基アリ"のゲームをやって見せて認識をあらためてる筈だよ?まぁ、…ベイルアウトしないに越した事、ないけどね」
もはや保護者予備軍的な立ち位置に居る二人であった。…今回は手出しすべきでないと理解しているのでキッチリと"傍観体制"に徹する時枝。中途半端では柚紀の邪魔をしてしまう気がしたからだ。シロに関してはやはり柚紀以外に触れる危険があり、フブキが居ない状況ではあまり側に居たくはないのだ。例え佐鳥や笹森でも……
そんな二人を見て(‐ チクリ ‐)と胸の痛みを感じた柚紀が表情を曇らせたのを見て「何か心配事?」と佐鳥に訊ねられると『…早く早退すると英語の授業に出れないのがちょっと、ね』と在り来たりな理由を話せば「なら時枝か市河にノート見せて貰えば?お~い、二人ともちょっと来てくれ」と笹森が手招きしたのであった。男子三人が話している間にポンとシロが柚紀の肩に手を置き……"本当の不安事"を読み取れば「大丈夫、だよ」と薄く微笑みながらそう断言して手を離す。"ナニが"とは柚紀は聞かなかった。何となくだが【シロが自分では理解できていない時折感じる"モヤモヤ"の正体を知った上で】大丈夫と言ったと思っているからだ。だから『うん、有り難う』と笑顔で返事を返すのだ。……優しい彼女が罪悪感に押し潰されない様にと
そんな女子二人のやり取りを微笑ましく見つめる二人と、……"女子の笑顔"に耐性があまりなく赤くさせている笹森であった
‐ ‐ ‐
‐ ‐
‐
それから諏訪の指示通り一つ早く早退した柚紀と笹森は、校門前に車を停めて待っていた諏訪と合流した。何故早くしたか気になり訊ねれば「次だと講義を抜け出す必要があって時間が微妙だったから」と説明された。…高校や大学は一つの授業時間が微妙に違うので仕方ない訳であった。さて、次はどちらを迎えに行くかと悩んだ際に……半崎の連絡先を柚紀は知らず、笹森も連絡を忘れていた事が発覚したので「……先に荒船拾うか」となり、とりあえず車に乗り込む三人であった。…勿論、柚紀は助手席であった