18.王道の曲~昇り落ちの繰り返し~(83.
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「んでだ、…何時までトリオン体で居るんだよお前は。もう任務終わったんだ解いて平気だろ?(ツン)ラボに戻るまで誰にも会わずには絶対に無理な話だ。……その顔を見られて良いなら(ニヤリ)話は別だがな」
『!!だ、駄目っ!?絶対に諏訪さんが泣かせたって勘違いする人が出てくる!!?そんなの嫌だよ!(シュウゥゥ……ガクン!)ふぎゃっ!?』
「「「!!?」」」
嵐山に降ろされて三人から無意識に離れていた柚紀と諏訪はそんな会話をしており、額を小突かれ"変な勘違いをされて諏訪に迷惑をかけたくない"と慌てて換装を解く。が、やはり"ナニか"により足に力が入らなくなりバランスを崩してしまう。その驚きの声に我に返った三人が駆け寄るよりも早く
‐ …ガシッ! ‐
「っと!?……ったく、確かに鶴ヶ峰のトリオン量が多いのは認めるがよ~…もう少し管理をしっかりしろよな。(ストン)こうも訓練の度に倒れられちゃあ、後味が悪いってもんだ。(ナデナデ)……止めろとは言わねぇが、お前が"自分が未熟だから"とか思うのと同じで…彼奴等だってそう思っちまうぜ?それは……嫌だろ?」
『!!?(チラリ……コクリ)…ご、御免なさい』
至近距離にいた諏訪が倒れる前に片腕で支えると、とりあえずその場に座らせ自分もしゃがみこめば視線を合わせて諭させる。…それを聞いて自分を心配そうに見つめている嵐山達を一瞥し、小声で謝罪する。顔を見ながらは無理で普通なら聞こえなくても…トリオン体の彼等になら聞こえるだろうと思ったのだ
そんな背後から見ても明らかに"落ち込んでいる"柚紀に佐鳥が近づこうとしているのに気づいた諏訪が、手を翳して"待て"の意を示し、立てないであろう柚紀をおんぶしようとして制服…スカートの長さを見て考える
「(トリオン体の時は燕尾があったから平気だったがコレは……)…なぁ鶴ヶ峰、悪いがカーディガンを腰に巻いてくんねぇか?基地内はそこまで寒くねぇだろうし、何より……(ガシガシ)今のままじゃあおんぶ、しづらいわ俺」
『???……よく、…分かりませんが、………腰に巻けば、良いわけですね?(イソイソ、イソイソ…キュッ)……で、出来ました、よ?』
「おぅ。じゃあ……(クルッ)ほれ来いよ。…ラボまでちゃんと送ってやるから安心しろ。で、"眠たいなら"寝ても構わねぇからな?」
『……………(モソモソ、ギュッ!…)……すぅ、…すぅ』
"スカートの中身"が見えてしまうのを危惧した諏訪が予防策を講じると、疑う事なく実行し素直に背中におぶされば……ものの数秒で寝てしまった柚紀を見て苦笑いを浮かべて立ち上がれば「待たせたな、行くか」と嵐山達に声を掛けると歩き出す諏訪を慌てて追い掛ける。…諏訪の隣を歩き柚紀の寝顔を一瞥した佐鳥が気になった事を訊ねる
「ねぇ諏訪さん。…何でさっき佐鳥が近づこうとしたのを止めたんですか?佐鳥はただ"大丈夫だよ"って言いたかっただけ、ですよ?」
「……それはあくまでも鶴ヶ峰を安心させる為の言葉で"本心じゃない"だろ?…止めとけ佐鳥、"コイツを理由に自分の気持ちを偽るのは"な。別に嘘が駄目じゃねぇが、確実にバレるぜ?………それで最終的に互いが傷つく事になる。(ギロ)鶴ヶ峰に新しいトラウマを植え付けるつもりか?」
「っ!!?そ、そんなのっ、…嫌だし駄目です!!佐鳥はっ、…オレは柚紀ちゃんに笑っていて欲しいです!あんな辛そうな、泣いた顔は見たくありません!!!」
「なら太刀川みてぇに"自分が思うがまま動く事"だな。…例え失敗してもそっちの方が後悔しねぇからな。って……(クルッ)他人の俺が口出しして悪ぃな、コレは"個人若しくは部隊単位で考える事"だよな普通」
こんな感じで柚紀同様佐鳥にも諭させる諏訪だったが、隊長である嵐山を差し置いてでしゃばりすぎたと反省の意を示す。これに対して嵐山は静かに首を横に振った
「……諏訪さんが言実さんや冬島さんから柚紀ちゃんの事を聞くように、俺も迅から色々話を聞いてます。あくまでも一部は推測であり…勿論全てが当たっているとは思っていませんが……………俺には分からない事も沢山あります。…迅や柚紀ちゃんの苦しみが、辛さが。俺はサイドエフェクトを持っていない、大切な人を亡くした事も…ないので」
「……後者は何れ体験するが、前者…サイドエフェクトに関して言えば"類似的な事"ならあるだろ?………あの飲み会の時、つる姐は"ナニ"を例えに使ってお前に説明しようとした?サイドエフェクトは言ってしまえば"先天性の才能"的な奴だ。嵐山にだってあるだろ?…他人より秀でているであろう才能がな」
「………才能?…俺は、別に……」
嵐山が吐いた本音…弱音に対しては少し厳しめな言葉を持って返答する諏訪。…佐鳥や柚紀は自分の部下である笹森と同学年であるから優しめな言葉を使ったが、嵐山は違う。確かに年下だが一部隊の隊長なのだ。……甘やかせないのだ、本人の為にも…"彼の部下や二人の鶴ヶ峰"の為にも。そんな話をしていていつの間にか歩みを止めていた集団に近づくは"黒い服"を着た
「あ~もう、…駄目ですよ諏訪さん。嵐山は真面目な奴なんですから、本当の事であってもそんな風にハッキリと言ったら無駄に悩ませちゃいますよ。嵐山は"自然体"が一番何ですよ、柚紀ちゃん同様に、ね。……お疲れさん、言実さんが居たとは言え傷一つないのは流石嵐山隊だな(ヒラヒラ)」
「「「「!…迅(っ!?/さんっ!!)」」」」
何時ものトリオン体でなく学ランの……生身姿の迅だった