17.技能上昇の曲~テンポ・気分もアップ~(82.
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それから亜種が万が一にも基地を襲撃しない様にと柚紀を連れて場所移動を開始する面々。……基地内で働く人達は戦闘員以外は基本生身、…トリオン兵が侵入してきたら被害は甚大なモノになるのは迅の予知でハッキリと断言している以上、それは避けるべきだと嵐山達にも理解出来たのだった。が、そうなると"意図的"に柚紀にトリオン放出してもらう必要があるのだが……
‐ …ダンッ!ダンッ!……ダンッ!、…トン、…ダンッ! ‐
「っと!?(ギュッ!)…柚紀ちゃん大丈夫?辛くない?コツ、掴めそう??」
『な、何とかっ!?…ご、ごめんね佐鳥くん。……私屋根の上をこうやって移動、したことないから、上手く出来なくて。わざわざ手、引っ張ってくれるお掛けでこう……踏み込む時の力加減とか、分かってきたかな?(スタッ……ズルッ)ふにゃっっ?!?』
「(スッ、…ポフン)……油断大敵、だよ鶴ヶ峰さん。一軒屋の屋根には角度が付いている構造もあるからね。着地地点には十分に気を付けて?今だってバランス崩して滑り落ちかけたし、…君って変に抜けてるから心配かな、おれ」
『アハハ……否定出来ないや。それに屋根上移動は私がやりたいって言ったからしているだけで、……コレが基本的な移動手段じゃない、みたいだし。…あ、支えてくれて有り難う時枝くん。さて、今度は目的地までミスしない様にします!!』
こんな感じで佐鳥と時枝のサポートを受けながら建物の屋根上を頑張って移動していた。今まで屋根上を通る際は"誰かに運んでもらった経験しかなく"、軽い誤解をしていた柚紀は"コレが普通"と最初は思っていたが、いざ提案すると言実にキッパリと否定はされたが『ま、トリオン体に慣れるためには色んな経験をするのが一番。今はトリオン兵の反応はない……目的地に到着するかゲートが発生するまでそれも一挙か』と、意見が通ったのであった
そんな三人より前を行く言実と嵐山は、時折後ろを気にしながら並走している
「所で言実さん、何故柚紀ちゃんのトリオン体の身体性能を"正隊員と同じ"に改造しなかったのですか?…貴女ならソレ位出来ますよね?」
『……それをすればあの子は"確実に無茶をする"からだ。…柚紀は未だに自己犠牲思考が根強い、生身ですらあれだけ無茶をする故に………トリオン体ではどんな無茶をするか、流石の私にも分からぬ。それにだ、今回みたいに"囮役"が必要になった際、あのようにすれば無理なくトリオン放出させれる。…歌姫以外の方法でもサイドエフェクトを使えるようにならねば成らぬ故に、な』
「………"初期に施す基礎・底辺を経験する"ですかね?確かに柚紀ちゃんは違和感なく動き回ってますが、本当は生身と変わらない。アレだけ動けるのは"周囲がそうだから"と言う"自己暗示"……ですかね?(…慣れとは恐ろしいな、サイドエフェクトを何も抵抗なく受け入れている自分が居る。本来はとんでもない事だと言うのに)」
歓迎会帰りの柚紀が起こした騒動にて【無意識に能力を使わせるのは危険】と察した言実は【どのタイミングで能力を使ったかを認識させ、制御を意識させる事】を柚紀に課したのだ。だから"トリオン体の身体性能をあまり向上させなかった"。…正確に言えば"スペック上させれなかった"なのだが。因みに認識させるのは、自宅やラボ等でトリオン変動をグラフに見せながら"この時ナニをしていたか"とおさらい感覚で問題ないと言実は思っていた。……実際、新人入隊式の日にて如何に変動し、その原因は何か?対応・対策はどうするか?と二人はやり取りを行い、柚紀は反省と自ら対策を講じたのだ。言実はそのサポートをしているに過ぎない。これに対して嵐山は異義を唱えるつもりはないが、……幾分か不安を覚えた。"これを当たり前にするのは危険"だと
…そんな感じで移動をしていたが、言実が迎撃ポイントに辿り着いたらしく足を止める。それに倣い他四人も足を止めて周囲を見渡す。"戦闘跡が色濃く残るこの場所"を見た瞬間
『えっ!?こ、此処ってまさか……(ゾワッ!?)っ!??ぃ、いや、ち、ちがう!違う!!チガウっ!!!(パッ!!ギュウッッ!!?)あ、"あの時"と今は、違うっ!?わ、わた、わたし、…私はっ!!!?』
‐ ガクガクブルブル、ガタガタ ‐
「「「!!!」」」
‐ ……クイッ…ギュッ!……ポンポン ‐
「大丈夫、大丈夫だよ。オレが、…皆が……おつるちゃんが居る。だから大丈夫、…心配しなくて良いよ。安心して、ね?……柚紀ちゃん(ポン、ポン)」
『………さ、…さと……りく、ん………うん、…だ、…たいじょ、うぶ。…大丈夫、だよ、ね?(……そうだよね、大丈夫。落ち着け私。でないと迷惑になる)(……スーハー、スーハー、…スーハー、スーハー)』
いきなり柚紀の様子が豹変してしまい、佐鳥と繋いでいた手を自ら離し"例の不安のサイン"を起こし、顔色も真っ青に近く…恐怖のあまりに体も震えている。これには流石に驚く嵐山隊だが、直ぐに佐鳥が柚紀を引き寄せて腕の中に閉じ込めれば、落ち着かせようと優しく声を掛ける
‐ ……敵が来たら自分は彼女の側に居れない、護るために離れないといけない。だからせめて、そうでない限りはこの少女の側に居たい。側で自分が出来ることをして、…彼女の笑顔を護りたい ‐
そう常に思っている佐鳥だから、瞬時に行動を起こせるのだった。………そんな佐鳥に行動力では"勝てない"と自覚しているが、やはり複雑な気持ちを抱く時枝は、……柚紀の豹変っぷりにあまり動じていない言実に視線を向ける。…嵐山にも視線を向けられている言実は……些か怒気をはらんだ視線を向ける少年を見て小さく溜め息を漏らせば口を開く