2.藪蛇の曲~黒髪の青年~(67.
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三人は帰り道に、「今日朝通った道は人通りは少ない」やら「少し遠回りになるけど、こっちの大通りの方が通いやすい」等を話ながら歩き、柚紀はマップアプリに学校までのルートを何とか登録したりとしていた。その際に笹森からメッセージが届いていたので、時枝と同じクラスになった事や心配してくれた事に対する感謝の気持ちを送り終えると「ながら携帯はキケ~ン!…一人の時は絶対駄目だよ!!」的な感じで二人に注意されたので、素直に謝る柚紀。……実際に烏丸と出会ったきっかけがコレなので、反論出来ないのだ
さて、学校から最寄りの秘密経路の入り口に到着すると、佐鳥がトリガーホルダーを翳してドアを開けて見せた。それを珍しげに柚紀は見つめていた。因みに"トリガーなし"では反応しないのを先に見せて、である
『…話には聞いていたけど本当にトリガーを持ってなければ入り口が開かない訳だから部外者はこの通路には入れないのか~。……なら暫く一人じゃ本部に行けないかな、…まだ私持ってないもん』
「えっ?!どうしてそんなに時間が掛かっているの?おつるちゃんと冬島さんが協力して作っているならもう完成しても可笑しくはない気が………」
「鶴ヶ峰さんはおれ達みたいに戦うためにトリオン体になる訳じゃない。…多分だけど、効率化を考えて色々策を講じる必要があるんだよきっと。具体的には……分からないけど」
『後は那須隊の小夜ちゃんに、トリオン体の時に着る服のデザインを言実さんがお願いしているから……だと思う。…何か秘密裏に進めていたみたいで、歓迎会の時に服を那須隊の二人に選ぶのを手伝って貰ったのも私の好みを知るリサーチだった、みたい』
「「………成る程」」
那須隊の隊服を思い出した二人は"彼女は一体どんな服になるんだ?"と想像がつかないが、内心"普段は着なさそうな服"を期待する。……トリオン体なら背中の痕を気にする必要もないのだから。そんな事を考えながら話していると、柚紀は言実のラボとは別の方へと行こうとしたので、時枝が反射的に手首を掴んで歩みを止めさせる。ただ掴んだのが左手首……例の機能付きの腕時計をしている部分だったので表情が一瞬歪んでしまう。因みに柚紀は半袖の制服の上に灰色のカーディガンを着用しているので二人には腕時計が見えていないのだ
『っ!?…どうかしたの時枝くん?それと……ごめん腕時計、してる所、一緒に握ってるから…ちょっとだけ、……痛い、かも』
「あっ?!!(パッ!)大丈夫?…ごめん、女性は左手首に時計するよね普通なら。それで……鶴ヶ峰さん、何処に行こうとしてるの?ラボの方角じゃない……よね?」
『(サスサス)えっとね、……当真先輩からメッセージが昨日届いたの。【隊長がダウン寸前だ、学校終わったら即行で来い!!】的なのが…で、ランク戦ロビーで待ち合わせになっているからそっちに行こうかと。……何か朝から別部隊と一緒にお昼前まで防衛任務みたいで、…多分居るとは思うけど……』
「(始業式に防衛任務?…当真さん、サボりじゃないよね流石に)ならロビーまで送って解散かな?……とっきーはどうするの?この後」
高校と中学では終わる時間が異なるので、嵐山隊は今日自由行動にしていた。佐鳥は合同訓練があるが、時枝は本部に留まる理由がないのだ。ロビーへ歩きながらどうするかを考えていた時に通り道に"資料室"の看板を見て何かを思い付いた(思い出した)らしく口を開く
「……調べものがあるからそれをしたら帰るよ。……大丈夫、軽くだしそこまで重要な事じゃないから、…(ナデナデ)鶴ヶ峰さんも昼食ちゃんと食べなよ?勿論佐鳥もね?」
『あ、……バレちゃった?言実さんって仕事や調べものしていると食事そっちのけで没頭するから…つい』
「あ~、お昼御飯ね!ん~……とりあえず佐鳥は荷物を隊室に置いてかな?でもって、当真さんに奢って貰おうっと!!年上なんだから、一食分位大丈夫でしょ、きっと!」
先程冬島の名も出てきた事もあり、調べものをして色々疎かにならないかを無意識に心配してしまい表情が曇る柚紀を見て、何故そんな反応をするか時間帯的な観点も含めて予測した時枝が大丈夫とはっきり断言してから、二人にも食事を摂るように促す。柚紀は体調管理的な理由から、佐鳥にはトリオン体でだと食事を摂るのを怠りやすいからそれを懸念して……だ。そしてロビーに到着するとあのトレードマークの髪型が見つからないので柚紀は携帯を取り出して当真にメッセージを送ろうとしたが、二人を引き留めるのも忍びないので『大丈夫、……人少ないし、直ぐに先輩が来ると思うから』と二人に告げれば、二人とも躊躇はしたが柚紀の意思を尊重し別行動を開始する。「荷物置いたら戻ってくるね~」と元気に離れる佐鳥と、「またね」と軽く手を振り歩き出す時枝。……ちょっとだけ、不安ではあるがロビーであの沢山の人が居る中で一人で過ごした事なら…何度かあるので大丈夫だと考え、とりあえず当真に連絡しようとソファーに座り携帯を操作する柚紀であった