65.送り火の曲~もう少し、後少し~
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あれから色々あったが、柚紀と嵐山隊の二人に風間隊の三人、更に迅も一緒に言実さん達が待つ広場に向かっていた。因みに前に佐鳥・柚紀・菊地原・歌川が歩き、その後ろを風間・迅・時枝が続いていた。佐鳥を中心に他愛のない話をする前方に時折参加もするが、後方は何やら小難しい話をしていたりもする。そんな中、佐鳥は何やら頻りに携帯を取り出して何かを気にしているのに気づき、柚紀は不思議そうに訊ねる
『佐鳥くん、どうしたの?何だか落ち着きがないけど、……この後何かあるの?それとも、…元々何か予定あったの?』
「え??えっとさ、柚紀ちゃん。……どうしてそう思ったの?ただ佐鳥は携帯を見ているだけだよ?」
『?………だって、頻繁に見ているよ?…私の事は既に連絡しているから、向こうから来ることはないだろうし、ご飯を外で食べることは佐鳥くんなら親御さんに事前に連絡してそうだし……それ以外で携帯を見るとしたら時間を気にしているか、…皆が知らない秘密のナニかかなと……うん』
佐鳥の性格や今までの経験で、誰かと話している時や一緒に居るときは相手に気を使い携帯を見たりなどしない。そう推測した柚紀は、そんな佐鳥が気にするナニかを"自分なら"と考えて口にしてみた。当たり前と言えばそこまでだが、やはり自分の事を多く語らない柚紀が考えを口にしてくれる事や、それが自分に対してなのが嬉しくてちょっと恥ずかしくも感じる佐鳥
「えっと、確かに時間を気にしてはいるよ。あ!用事はないよ!この後は帰るだけだし、広報の仕事が終わればフリーな時間ではあったけと、仕事が長引く事だってあるから基本約束とかしてないから!?」
「つまりは"この後にナニかがあるのを今日何処かで知って"、その時間が迫っている訳か?……この時期で、夜と言えば…」
‐ ヒューー………ドーン! ‐
「「あ!?」」
「……始まったね」
「ほぅ、…そう言う事か」
「成る程、これを柚紀ちゃんに見せたかった訳か。夏の風物詩……」
『………花火?』
佐鳥の言い分から歌川が分析し、予想を言おうとした瞬間に音と共に夜空に浮かんだ大輪の花。それを足を止め見上げるメンバーだったが、佐鳥は何やら焦り始め思わず柚紀の手を掴み
「ヤバッ!!始まっちゃったよ?!と、とりあえず…(ガシッ!)立ち止まってたら邪魔になるし、もう広場まで直ぐだから急ごう!?(コレもだけど、オレの"本当の目的"は…)(ダッ!)」
『えっ?!!ち、ちょっと佐鳥くんっ?!ま、待ってよ!!いきなり走り出さないで!!?』
「ちょっ?!佐鳥止まれ!!ってか鶴ヶ峰っ!何で僕の腕掴んでいるのさ???巻き込まれる此方の身にもなってよ!!」
「………とか言いながらも、鶴ヶ峰の手を離させようとはしないし、足を止めない辺りが…不器用ながらの彼奴らしい優しさだよな。…俺は念のため追い掛けますので、三人はゆっくりで大丈夫ですから(ダッ!)」
いきなり走り出した佐鳥に連れられて柚紀、そして無意識に隣に居た菊地原の腕を掴んでいた事によって芋づる式で三人が走り出してしまう。…一応心配な歌川が三人に声を掛けてから追い掛けていき、残された者達も歩きながら後を追う
「そう言えば商店街の方で縁日的な出し物と、花火の告知があったね。……ずっと基地に居た柚紀ちゃんに"夏らしい思い出を"、佐鳥らしい考えだ」
「鶴ヶ峰は何も言わないが、まだまだ遊び盛りな子どもに変わりない。…本来ならもっと夏らしい事をしたいと思っても不思議じゃない筈だ」
「本人はインドア派なのは認めてますが、別に体を動かすことは嫌じゃないみたいです。ただ、汗を他人より掻きづらい体質みたいですから長時間の外出や運動は避けている感じですね、夏は特に。……エアコンが効き過ぎている部屋も苦手みたいで、室温はあまり低くしていませんでしたし、…かと言っても気温が下がった夜だからと油断も出来ない。それは鶴ヶ峰さんが一番理解している、だから……おれは彼女が嫌がらない限り自由にさせるべきだと考えてます。佐鳥も多分ですが、ね。彼奴は基本"誰かにも楽しい思いをして欲しい"とか考えて動いてますから」
時枝の言葉を聞いて思った以上に柚紀は"虚弱体質なのかも"と考える二人。……超インドア派な言実は意外とフットワークが軽く、ストレス発散も時折お酒に行ってしまうが主にトリオン体とは言え任務に参加するしたり模擬戦をしており、嫌そうな素振りは一切してないのだ。特殊な体質だから仕方ないとは言え、気にしなければ何時か倒れてしまうのでは……と心配する三人であった