63.流離いの曲~🔷●●●を求めて~
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「全く、いい加減自覚して欲しいよ。自分が如何に非力な存在かって事をさ。…そりゃあ精神的な強さは認めるよ?だけどさ、……それが常に発揮される訳じゃないでしょ?それに彼女は一応一般人扱いの筈だよ?言実さん含めて皆認識が甘すぎなんだよ彼女に、そのせいで僕までとばっちり食らうし(スタッ)(そう接する理由……分からなくもない、けど。あんなに辛い思いをしても下を見ずに上を、前を見れる、立ち止まらず前へ進み続ける。そして……僕みたいに性格が捻くれたりもしない。そんなの並大抵の精神力じゃ…)……本当に変な子だよね鶴ヶ峰ってさ。とりあえず(ゴソッ…スポスポ)……聴こえれば良いけどさ、彼女の"音なき声が"(スッ)」
風間達が居る店と、柚紀達が食事をした店の中間に辺り場所の屋根上に着地した菊地原。とりあえず周囲を見渡しても、あの髪色は見つからず人々が行き交う騒音ばかりで、少女の声など聞こえない状態だ。そんな中ぶつぶつ文句を言いながらも、ポケットから"ある物"を取り出して装着し目を閉じて意識を集中させる
菊地原のサイドエフェクト【強化聴覚】において既に"音の聞き分け"はマスターしている状態で、迅同様柚紀限定で聞こえ方が距離に関係なく一定ではないのは"最初から知っていた"。更に逆説的発想……先程装着した"耳栓"をする事により、生活音でない音【他人の本音】まで聴こえたのだ。但し今の所、聴こえたのは柚紀ののみで、偶然にそれも一回のみなのだ
「(普通の話し声ですら聞きたくないのに他人の本音までとか、…僕は知りたくもない。だけど……彼女なら、まぁ聴いて上げなくもない、かな?…隠すし、勝手に落ち込むし、……誰にも話そうとしない。それに、たった一回聴いた内容だって、怨みや憎しみとかじゃなくて……)
‐ ……い…だ………こ……い……お…が…………だ………た…け………………独りにしないでっ!お父さんっ!!お母…さんっ!! ‐
(スッ)……君が"本当に"恐れている事だ。そんなの聞いたら、…無視できる訳ないでしょ?僕は君の……先輩、だからね(ダン!!)(にしても、両親に対してあんな風に呼び掛ける何て……やっぱり君の親はもう、…"居ないの?")」
聴こえたのが途切れ途切れな点から、さほど"今は"精神が不安定でないのと距離があるのを察する菊地原は再び移動を開始する。……一度声を拾えれば問題ないのだ、後は勝手に体が動いてくれる。……本人も何故かは理解していないが、気にしていない。あの奇才なサイドエフェクトを持つ寂しがり屋な少女の元へ行けるのなら、それに越したことはないのだから。ただ、ハッキリと"今回初めて"聴こえた内容に表情を歪ませる。……菊地原も知らないのだ、【何故柚紀がこのタイミングで三門市に……言実の元へ来たのかが】そして、そう至らしめた"家庭の事情"を
~~~
ただ無意識に、一瞬だけ視えたモノを追い掛けて走っていた柚紀はいつの間にか色んなお店が立ち並ぶ繁華街を抜け出していた。そして、我に返ったきっかけは……
‐ ドンッ!! ‐
『あっ!す、すみませんっ!?前をちゃんと見ていませ(ガシッ!?)っ!!あ、あの……離して、貰えま、せんで、しょうか?』
「ん~?ヒック………お~!!中々の別嬪さんじゃね~か?!こんな時間に一人とは…ヒック……危ねぇな~…」
「それにしても、お嬢さんあんた手ぶらだよな~?ん?アレか??親と喧嘩でもして家を飛び出してきたのか???(ニヤリ)」
「行く宛がないなら、おいちゃん達と一緒に来ないかい??ナニ、…痛いことや嫌な事はしないよ??ただ、……少しだけ遊びに付き合って貰うだけさ(ニヤニヤ)」
『(フルフル)わ、私はっ……ひ、人を探しているので、…あ、貴方達とは……行かない。だから、…は、離して、下さい』
人とぶつかり正気を取り戻した柚紀は相手に謝ろうとしたが、いきなり腕を捕まれてそちらを見て顔色が変わる。…ぶつかったのは恐らく30代後半くらいから40代の男性三人組で、腕を掴んだ男性は勿論他二人もかなりお酒を飲んでいるらしく、全員の顔が赤い状態だ。本能的に"ヤバイ"と感じた柚紀は一人でいる理由を話して解放してもらおうとする。が、
「いやいや、嘘はいけないよお嬢さん。君みたいな子を置いて行くなんて普通じゃないでしょ??」
「ヒックそうそう、……こぉんな、可愛らしい子、ヒック一人にさせる奴のヒック…気が知れないよな~……そんな奴放って置いて……(クイッ)おじさん達と楽しいことしない?」
‐ ゾクリッ ‐
『っ!!い、嫌っ!!は、離して!!?行きたくないっ!!!?』
柚紀の言い分を信じようとせず、強引に迫り甘い言葉を使って承諾させようとする大人の言葉に柚紀は許否する発言をする。それでも諦めず、更にもう一人自分に手を伸ばしてくるのが見えて恐怖を覚え反射的に目を瞑りどうしてこうなったかを考える
『(私はただ、…あの人に、……彼等に会いたいだけなのに。何時も影から見守ってくれる、時には手助けしてくれる、優しい人達に。それに彼等が纏う蒼と青………私にとって、あの色はっ!)……けて、』
「ん?…何を言ったって無駄さ。誰も君を助けたりなんかしない。誰だって見知らぬ他人に手を貸す何て…馬鹿げた事しないさ。さぁ、いい加減大人しく(ギュッ)言うこと聞きやがれ!!?」
中々折れない柚紀に痺れを切らしたもう一人の男が片腕を掴み、こちらを向かせようとする。それでも目を閉じたまま下を俯き柚紀は大きく息を吸い込んで、……こう叫んだ
『嫌だ!!?助けてっ!?…お父さんっ!!!?(青はお父さんの色。だから青空が好きだし、あの人達と一緒に居ると自然と落ち着くし……今みたいに無性に逢いたくもなる。だって、…同じ事の繰り返しは……嫌だから)』
風間達が居る店と、柚紀達が食事をした店の中間に辺り場所の屋根上に着地した菊地原。とりあえず周囲を見渡しても、あの髪色は見つからず人々が行き交う騒音ばかりで、少女の声など聞こえない状態だ。そんな中ぶつぶつ文句を言いながらも、ポケットから"ある物"を取り出して装着し目を閉じて意識を集中させる
菊地原のサイドエフェクト【強化聴覚】において既に"音の聞き分け"はマスターしている状態で、迅同様柚紀限定で聞こえ方が距離に関係なく一定ではないのは"最初から知っていた"。更に逆説的発想……先程装着した"耳栓"をする事により、生活音でない音【他人の本音】まで聴こえたのだ。但し今の所、聴こえたのは柚紀ののみで、偶然にそれも一回のみなのだ
「(普通の話し声ですら聞きたくないのに他人の本音までとか、…僕は知りたくもない。だけど……彼女なら、まぁ聴いて上げなくもない、かな?…隠すし、勝手に落ち込むし、……誰にも話そうとしない。それに、たった一回聴いた内容だって、怨みや憎しみとかじゃなくて……)
‐ ……い…だ………こ……い……お…が…………だ………た…け………………独りにしないでっ!お父さんっ!!お母…さんっ!! ‐
(スッ)……君が"本当に"恐れている事だ。そんなの聞いたら、…無視できる訳ないでしょ?僕は君の……先輩、だからね(ダン!!)(にしても、両親に対してあんな風に呼び掛ける何て……やっぱり君の親はもう、…"居ないの?")」
聴こえたのが途切れ途切れな点から、さほど"今は"精神が不安定でないのと距離があるのを察する菊地原は再び移動を開始する。……一度声を拾えれば問題ないのだ、後は勝手に体が動いてくれる。……本人も何故かは理解していないが、気にしていない。あの奇才なサイドエフェクトを持つ寂しがり屋な少女の元へ行けるのなら、それに越したことはないのだから。ただ、ハッキリと"今回初めて"聴こえた内容に表情を歪ませる。……菊地原も知らないのだ、【何故柚紀がこのタイミングで三門市に……言実の元へ来たのかが】そして、そう至らしめた"家庭の事情"を
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ただ無意識に、一瞬だけ視えたモノを追い掛けて走っていた柚紀はいつの間にか色んなお店が立ち並ぶ繁華街を抜け出していた。そして、我に返ったきっかけは……
‐ ドンッ!! ‐
『あっ!す、すみませんっ!?前をちゃんと見ていませ(ガシッ!?)っ!!あ、あの……離して、貰えま、せんで、しょうか?』
「ん~?ヒック………お~!!中々の別嬪さんじゃね~か?!こんな時間に一人とは…ヒック……危ねぇな~…」
「それにしても、お嬢さんあんた手ぶらだよな~?ん?アレか??親と喧嘩でもして家を飛び出してきたのか???(ニヤリ)」
「行く宛がないなら、おいちゃん達と一緒に来ないかい??ナニ、…痛いことや嫌な事はしないよ??ただ、……少しだけ遊びに付き合って貰うだけさ(ニヤニヤ)」
『(フルフル)わ、私はっ……ひ、人を探しているので、…あ、貴方達とは……行かない。だから、…は、離して、下さい』
人とぶつかり正気を取り戻した柚紀は相手に謝ろうとしたが、いきなり腕を捕まれてそちらを見て顔色が変わる。…ぶつかったのは恐らく30代後半くらいから40代の男性三人組で、腕を掴んだ男性は勿論他二人もかなりお酒を飲んでいるらしく、全員の顔が赤い状態だ。本能的に"ヤバイ"と感じた柚紀は一人でいる理由を話して解放してもらおうとする。が、
「いやいや、嘘はいけないよお嬢さん。君みたいな子を置いて行くなんて普通じゃないでしょ??」
「ヒックそうそう、……こぉんな、可愛らしい子、ヒック一人にさせる奴のヒック…気が知れないよな~……そんな奴放って置いて……(クイッ)おじさん達と楽しいことしない?」
‐ ゾクリッ ‐
『っ!!い、嫌っ!!は、離して!!?行きたくないっ!!!?』
柚紀の言い分を信じようとせず、強引に迫り甘い言葉を使って承諾させようとする大人の言葉に柚紀は許否する発言をする。それでも諦めず、更にもう一人自分に手を伸ばしてくるのが見えて恐怖を覚え反射的に目を瞑りどうしてこうなったかを考える
『(私はただ、…あの人に、……彼等に会いたいだけなのに。何時も影から見守ってくれる、時には手助けしてくれる、優しい人達に。それに彼等が纏う蒼と青………私にとって、あの色はっ!)……けて、』
「ん?…何を言ったって無駄さ。誰も君を助けたりなんかしない。誰だって見知らぬ他人に手を貸す何て…馬鹿げた事しないさ。さぁ、いい加減大人しく(ギュッ)言うこと聞きやがれ!!?」
中々折れない柚紀に痺れを切らしたもう一人の男が片腕を掴み、こちらを向かせようとする。それでも目を閉じたまま下を俯き柚紀は大きく息を吸い込んで、……こう叫んだ
『嫌だ!!?助けてっ!?…お父さんっ!!!?(青はお父さんの色。だから青空が好きだし、あの人達と一緒に居ると自然と落ち着くし……今みたいに無性に逢いたくもなる。だって、…同じ事の繰り返しは……嫌だから)』