63.流離いの曲~🔷●●●を求めて~
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それからある程度騒ぎ賑やかなのが落ち着いた所で「そろそろ帰るぞ~!半分はまだ中学生だ、長居し過ぎるわけにもいかねぇ」と、諏訪が声を掛けたのをきっかけに個室を後にする一行。出入り口で言実と諏訪が店長と何やら話をしながら会計をしており、他のメンバーは邪魔になるのは承知して店前で話をしたりお店を背景な写真を撮ったりして待っていた
そんな中、あの女性店員が女子に"のみ"何かを手渡し「良ければまた来てね、歓迎するから」と声を掛けたて早々にお店へ戻っていった。さて何を貰ったかと言うと
「あ!!知ってます此処!!夏限定で営業している移動するお店屋さん!!此処のアイスも美味しいですがクレープも絶品なんですよね~」
「そうそう、営業が不定期で中々食べれなかったりするけど(ペラッ)……お!裏に出店予定日が書いてる!?こりゃ行くしかないでしょ!!」
「それに【一枚四名様まで、何かサービスします!内容は交渉次第】とか…面白い事やっているみたいね。フフッ……柚紀ちゃんのお陰で得しちゃったわ」
『えっ?わ、私の……ですか?よ、よく分かりませんがお役に立てたのなら…嬉しいです、はい』
と、女子の間では何やら有名なお店の券らしいがこの手の事は全くの未経験な柚紀は上手く状況を飲み込めないが、日浦や小佐野更には加賀美まで嬉しそうにしているのを見て、とりあえず"良いことをした"と理解し表情を綻ばせる。因みに熊谷も同じのを貰ってはいるが、それを持って何やら男子達と話し合っている様子だ
「でも四人か~、私やオペレーターの先輩達は同じチームの人と行かれるとしまして……柚紀先輩は誰と行きますか?因みにこのお店、9月の連休(?)まで営業してます!!」
「やっぱり嵐山隊の皆さん?…あ、でも綾辻ちゃんが行けないかそれじゃあ……」
「後は同級生の子とか?東隊の二人と仲良くなるには丁度良いんじゃないかな?あ、壁役必要ならウチの日佐人貸すよ?」
『そう、ですね。折角頂いたからには使わないと……(でも誰と行こう。小荒井くん達とだと、…東さんがいた方が安心するけど……こういうお店に大人の男性が居ると目立つ、よね?)…一緒に居ても……違和感がない人、か』
今日のモールでの買い物時に女性服のお店には店員を含めても男性はほぼ居なかったので、女子に人気のあるらしいこの店に"学生"は兎も角成人男性を連れて行くのには柚紀は些か抵抗を感じたのだ。……他人が嫌な気分にさせないとも限らない事を柚紀はやはりしたくはないのだ。そんな事を考えながら改めて貰った券を眺める
車型の紙にお店の名前と、"夏限定の移動スイーツ店!手作りアイスやクレープが絶品!!"とアピールポイントが書かれており、左右にアイスとクレープを持った動物のキャラが描かれていた。片や水色のペンで何やらサングラスをした犬で、男性の格好をしておりアイスを持ったもので、もう片方は蒼色のペンでタレ目な猫が女の子の格好をしてクレープを持っていた。……それを見て柚紀は"誰かに似ている"とぼんやり考えていた。そんな時
‐ ………な………た…………で… ‐
‐ ……ま………………ぉ………き……は… ‐
‐ …し………………れ…………と……な……か…ま…… ‐
‐ ……じ…………い………き………この………ぞ… ‐
‐ りょ……ぃ ‐
‐ りょ……ぃ ‐
『!!(キョロキョロ)』
「??あの、柚紀先輩?どうしたんですか?いきなり周囲を見渡して、……何か気になるモノでもありましたか?…先輩???」
「「!……柚紀ちゃん?」」
券を眺めていた柚紀が微かに聞こえた"音無き声"らしいのを聞き、いきなり数歩前に出れば辺りを見渡し始める。それに気づいた日浦が声を掛けたが反応がなく、異変に気づいたオペレーター二人も柚紀の方を見る。それにも気づかず周囲を見渡していた柚紀は不意に自分の上を"ナニか"通りすぎたのを感じ取り、屋根の上を見上げる。その時、一瞬だけ見えたモノがあり
『(今、一瞬しか見えなかったけど……見間違えたりしない、アレは!!)あ、…ま、待って!!?(ダッ!!)』
「あ!!先輩っ!!どうしたんですか一体っ!!?」
「茜どうかした…?!…えっ??柚紀っ!?何処に行くの?!止まりなさい!!?アンタ今っ……"何も持ってないのよっ"!!?」
「「柚紀ちゃんっ?!!駄目っ!!」」
何かを追い掛ける様にいきなり走り出す柚紀を、距離があったせいで一番近くに居た日浦は勿論声に気づいて此方を向いた熊谷、そして小佐野・加賀美の制止の声も届かず、柚紀は夜闇の中へ姿を消してしまうのだった