61.密談の曲
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『(コクン)そして出来ることなら、……見せたくないかな?…見てもいい気分にならないのか確実だし、……コレは私の不注意が原因だから、…だから……(昔の事だよコレも、否定しようもない事実なのに……何で私は、言えないの?見せれないの?…二人に?……二人にだから?…分からない)…ごめん、なさい』
「っ!…柚紀ちゃんが佐鳥達に気を使うのは嬉しいよ?でもさ、(サワッ)……隠したままだと辛くない?今の君を見ていたら、…何時かその罪悪感に押し潰されないかが……………オレは心配だよ」
「だね。……何かのきっかけで、おれ達以外にも気づく人か必ず出てくる筈だ。学校が始まれば、…体育で着替えの際にソレを見られる可能性だってあるよ?…対策を取るにしても、実際に見ないとおれ達は何も出来ない。それにさ、…………(ナデ)何も出来ずに鶴ヶ峰さんが傷つくのを見るは、嫌かな。おれは勿論佐鳥も」
「うんうん」
『…………』
理由を話す最中、二人に対して上手く説明が出来ない自分が嫌になり、…視界に居る佐鳥の顔も見れなくなり俯いて謝罪する柚紀を見て"泣かないか"心配で、"此方を見てほしくて"、だから顔を上げて欲しくて…それが伝える為に今回は軽く指先だけ柚紀の顔に触れながら本音を漏らす。更に互いに表情が見えない位置に居る時枝は、可能性の話を考慮した事を断言する傍ら、柚紀の頭を撫でてやりながら"自分も君が心配だ"と分かって欲しくて此方も本音を漏らす。それらを聞いて黙りこんでしまった柚紀だが、各々触れている手をやんわりと退けて、口を開いた
『……分かった、よ。見せるよ"背中にあるモノ"をさ。でも、……少し離れて欲しいな。近くじゃよく見えないだろうし、(チラッ)何より………わ、わ、私が、…落ち着かない(クルッ)…です!』
「「あ、…う、うん。分かった」」
開き直ってそう断言した柚紀だったが、その代わり的な願望を告げるのと同時に、佐鳥・時枝を各々の顔を一瞬だけ見つめた。その表情は何処か恥ずかしそうでうっすらと顔を赤くしている風にも見えた。…照明がオレンジ色を帯びた電球色のせいで正確な判断は出来ないが。だが、"似た光景"を数日前に見た二人は反射的に顔に熱が集まるのを自覚し、冷ます意味合いも含めて味噌汁のお椀が置かれた位置まで戻る
そして、柚紀が落ち着き覚悟を決めるまでの間に、二人はこっそり確認しあうのだった
「(コソッ)……ねぇ、とっきー。…あの屋上の一件以降、佐鳥達に触られたり近くにいても彼女嫌がらなくなったじゃないか?でもさ、……また変わったよね?反応が」
「(ボソッ)だよねやっぱり。……少なくともおれ達"三人"の時だけだと思うけど、…時折あんな感じで落ち着かない状況に陥る事があるね。別に今までだって無かった訳じゃない、……不意打ちとで驚くのとか、癖や無意識の行動だって健在だし"当たり前の範囲内"………だけどさ…」
‐ 身内の一例があるから確定ではない。でも、…あんな表情をされたら……期待してしまう。自分の良い方に解釈してしまう、勘違いしてしまう。そうなりたいと……想っているから ‐
互いに気持ちを落ち着かせていると、柚紀は覚悟を固め一度肩に掛けていたタオルを外し、未だに湿っているカーディガンを何とか脱げば自分のすぐ横に置き、二人に背中が見せるように身体を反転させる。何時もなら髪をかき上げるが、今日は結んでいるのでソレをする必要はない。そして背中の"モノ"を見た瞬間に二人に驚きの表情が露になった。背中全体ではなく左側だけで、キャミソールの下がどうなっているか分からないが……見える範囲だけでも隠したかった理由を理解したのだった
「柚紀ちゃん、ソレって……火傷痕?でも皮膚の色が…赤には赤だけど、…濃い感じ?でも何で……(かなり昔の事だよね?お父さんが関係するなら、…でもずっとあんなにくっきりと残るのか?)」
「恐らく熱による火傷じゃなくて、薬品による皮膚の被れ…じゃないかな?鶴ヶ峰さんのお父さんは医者、……なら"その手"の薬品があっても不思議じゃない。でも…(なら何で痕が残っている?話を聞いている限りでは処置は出来る筈だ、腕は確かな様だし何より彼女も迅さんもその人を慕っている……なら悪い人じゃない、よね?)」
"でも"や、"なのに"…二人が疑問に思う事が大体理解できている柚紀は、やはり長くコレを見られるのは嫌なのでタオルを広げて背中を隠すように掛け直してから、二人に向き合う形に体制を戻せば軽く背中の痕辺りを一撫でしたのち、しっかり二人を見て話始めた
『うん、……コレは薬品が原因の所謂"化学熱傷"で、普通ならこんな痕は残らないんだ。勿論、お父さんはちゃんと処置してくれたよ?けど、……今考えれば上手く治らないのも仕方ないと思うの、…私は特殊な体質だからね。更に言うと、……私は"ある期を境に"それ以前の記憶が朧気なの。全てを忘れている訳じゃない、でも…思い出せない事も確かにあるの。特に七歳以前の記憶が、ね』
「っ!…柚紀ちゃんが佐鳥達に気を使うのは嬉しいよ?でもさ、(サワッ)……隠したままだと辛くない?今の君を見ていたら、…何時かその罪悪感に押し潰されないかが……………オレは心配だよ」
「だね。……何かのきっかけで、おれ達以外にも気づく人か必ず出てくる筈だ。学校が始まれば、…体育で着替えの際にソレを見られる可能性だってあるよ?…対策を取るにしても、実際に見ないとおれ達は何も出来ない。それにさ、…………(ナデ)何も出来ずに鶴ヶ峰さんが傷つくのを見るは、嫌かな。おれは勿論佐鳥も」
「うんうん」
『…………』
理由を話す最中、二人に対して上手く説明が出来ない自分が嫌になり、…視界に居る佐鳥の顔も見れなくなり俯いて謝罪する柚紀を見て"泣かないか"心配で、"此方を見てほしくて"、だから顔を上げて欲しくて…それが伝える為に今回は軽く指先だけ柚紀の顔に触れながら本音を漏らす。更に互いに表情が見えない位置に居る時枝は、可能性の話を考慮した事を断言する傍ら、柚紀の頭を撫でてやりながら"自分も君が心配だ"と分かって欲しくて此方も本音を漏らす。それらを聞いて黙りこんでしまった柚紀だが、各々触れている手をやんわりと退けて、口を開いた
『……分かった、よ。見せるよ"背中にあるモノ"をさ。でも、……少し離れて欲しいな。近くじゃよく見えないだろうし、(チラッ)何より………わ、わ、私が、…落ち着かない(クルッ)…です!』
「「あ、…う、うん。分かった」」
開き直ってそう断言した柚紀だったが、その代わり的な願望を告げるのと同時に、佐鳥・時枝を各々の顔を一瞬だけ見つめた。その表情は何処か恥ずかしそうでうっすらと顔を赤くしている風にも見えた。…照明がオレンジ色を帯びた電球色のせいで正確な判断は出来ないが。だが、"似た光景"を数日前に見た二人は反射的に顔に熱が集まるのを自覚し、冷ます意味合いも含めて味噌汁のお椀が置かれた位置まで戻る
そして、柚紀が落ち着き覚悟を決めるまでの間に、二人はこっそり確認しあうのだった
「(コソッ)……ねぇ、とっきー。…あの屋上の一件以降、佐鳥達に触られたり近くにいても彼女嫌がらなくなったじゃないか?でもさ、……また変わったよね?反応が」
「(ボソッ)だよねやっぱり。……少なくともおれ達"三人"の時だけだと思うけど、…時折あんな感じで落ち着かない状況に陥る事があるね。別に今までだって無かった訳じゃない、……不意打ちとで驚くのとか、癖や無意識の行動だって健在だし"当たり前の範囲内"………だけどさ…」
‐ 身内の一例があるから確定ではない。でも、…あんな表情をされたら……期待してしまう。自分の良い方に解釈してしまう、勘違いしてしまう。そうなりたいと……想っているから ‐
互いに気持ちを落ち着かせていると、柚紀は覚悟を固め一度肩に掛けていたタオルを外し、未だに湿っているカーディガンを何とか脱げば自分のすぐ横に置き、二人に背中が見せるように身体を反転させる。何時もなら髪をかき上げるが、今日は結んでいるのでソレをする必要はない。そして背中の"モノ"を見た瞬間に二人に驚きの表情が露になった。背中全体ではなく左側だけで、キャミソールの下がどうなっているか分からないが……見える範囲だけでも隠したかった理由を理解したのだった
「柚紀ちゃん、ソレって……火傷痕?でも皮膚の色が…赤には赤だけど、…濃い感じ?でも何で……(かなり昔の事だよね?お父さんが関係するなら、…でもずっとあんなにくっきりと残るのか?)」
「恐らく熱による火傷じゃなくて、薬品による皮膚の被れ…じゃないかな?鶴ヶ峰さんのお父さんは医者、……なら"その手"の薬品があっても不思議じゃない。でも…(なら何で痕が残っている?話を聞いている限りでは処置は出来る筈だ、腕は確かな様だし何より彼女も迅さんもその人を慕っている……なら悪い人じゃない、よね?)」
"でも"や、"なのに"…二人が疑問に思う事が大体理解できている柚紀は、やはり長くコレを見られるのは嫌なのでタオルを広げて背中を隠すように掛け直してから、二人に向き合う形に体制を戻せば軽く背中の痕辺りを一撫でしたのち、しっかり二人を見て話始めた
『うん、……コレは薬品が原因の所謂"化学熱傷"で、普通ならこんな痕は残らないんだ。勿論、お父さんはちゃんと処置してくれたよ?けど、……今考えれば上手く治らないのも仕方ないと思うの、…私は特殊な体質だからね。更に言うと、……私は"ある期を境に"それ以前の記憶が朧気なの。全てを忘れている訳じゃない、でも…思い出せない事も確かにあるの。特に七歳以前の記憶が、ね』