～時を少し遡り～

「結構歩いたし、此処で少し休憩っと」

駅から宛もなく歩いていた柚紀は、疲労を感じて目についた小さな公園に入り、ベンチに座って自動販売機で買ったお茶を飲んでひと息付く。それからボーっと空を見上げ

(言実さん、いきなり私が此方に来て迷惑じゃなかったかな？電話した時、何だか疲れた声だった気がするし、っと言うかこの後更に迷惑かける事になるし、それに休日なのに仕事中って事は忙しいって事だよね？……やっぱり事前に連絡すれば良かったかな～？)

ハァーっと大きなため息と共に俯き、自分の行動を今更ながら後悔する柚紀。暫く落ち込んでいたが、大きく深呼吸して自分の両頬を軽く叩いてベンチから立ち上り

「…よし、気分転換に一曲歌うとしますか！？」

行動した後に落ち込む事の多い柚紀は、切り換える為に好きな事を行うと自分ルールとして決めていた。主に好きな食べ物を食べたり、音楽を聴いたりするが一番効果があるのは気兼ねなく思いっきり歌を歌うことであった

(何を歌おうかな～、こう言う時は元気になる曲が良いよね。……あ、そうだ！！)

バックから徐に翠の石が付いたペンダントを取り出し、首から下げると石を掌で転がし

「…お父さん、私に元気を下さい」

そう呟き軽く石を握りしめた後、手を放して集中するために瞳を閉じると思い浮かべた曲を歌い出す