60.迷訂の曲
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「鶴ヶ峰さんとおれ、ですか?……確かに周囲をよく見たりとか、共通点はありますが…要りますか?」
「ハァー……だから、だよ。そうやって自分が今どんな状況かより、他人を気にして我慢する。…時枝は特にそれが顕著だ、……分からなくもないが、そのまま放置してみろ。…確実に鶴ヶ峰にバレるぞ?だがきっとそれをお前には訊ねない。……"自分のせい"だと察してしまう。それを是とするか?」
「……(フルフル)…それでは彼女の負担になってしまう。おれは【聞ける事なら何でも聞きたい、知りたい】と思う反面、【話せない、話したくない、…彼女には】と思ってしまう時もあります。おれは……きっかけや自分が動く理由に納得できなければ、中々行動に移せません、から」
諏訪と話ながら時枝は、何故互いに気持ちを自覚した後も佐鳥と協力関係を続けているかを考えていた。一見すると佐鳥が出過ぎた行動をして柚紀が傷つくのを防ぐため……でもあるが、実際は逆なのだ。常に他者と一定以上の距離を保ってきた時枝は、嵐山達や同性の同年代には比較的"自分らしく"接する事が出来ても、…同年代だが異性でそれも"特別な子"が居た事がなく対応法が分からないのだ。だから通常通り一歩引いた位置に居てしまい、後手に回ってしまうのが多々ある事を自覚している。……それでは駄目だと分かっていても
「ま、その点鶴ヶ峰は自覚しているから自ら行動をしている訳だ。…例え危険が常に隣り合わせであるのを知っていても、立ち止まる訳にはいかねぇ。……状況は刻一刻と変化している、立ち止まっていたら置いていかれる、それが悪い事じゃないが…アイツが置かれている立場がそれを了承しないだろう。だが時枝、…お前まで焦る必要はねぇぞ?」
「???どう言う事ですか?話の流れ的に"おれも変わる必要がある"と言われるかと思いましたが…」
「……変われるならその方が良い。だが、……直ぐには無理だろ。鶴ヶ峰だって無理していきなり変わったって訳じゃねぇ、…自分のペースを知っていてそれに従っているだけだ。それが他人より早いってだけで、俺達と何も変わらねぇんだ。……見誤るなよ時枝。アイツの本質を、動くべき・変わらないといけないタイミングを、一度のミスが……命取りになるぜ?確実にな」
"変わる必要があるが、急がない。だが必ずその時が来る"……それを伝えようと言葉を捻り出す諏訪。それをストレートに言わないのは柚紀や言実と接していて学んだ感覚を生かしただけだ。"命取り"は些か大袈裟な表現かもとは思ったが、重大さを伝えるにはこれが最適だと考えたのだ。……少なくとも諏訪は"命より大切なものがない"と思っているから。諏訪の言葉を聞いて考えながら階段を降りようとした時枝だが、下から何やら急いで駆け上がって来る音が聞こえてソチラ見ると、飲み会を始める前のひと悶着時に対応してくれた店員であった。諏訪もそれに気づき足を止めており、声を掛ける
「どうした?そんな血相変えて、……何かトラブルか?」
「あっ!!良かった!今お呼びに行こうかと…(ガバッ)誠に申し訳御座いません!!コチラの不手際と不注意で、お連れ様に多大なご迷惑をお掛けさせてしまい。…一先ず賠償関係を話す前に先に保護者の方に状況報告をと思いまして……」
「不手際?不注意?賠償?……一体何がどうな…「説明より先ずは案内をして下さい、…彼女の元に」は?時枝どうした??」
理解が追い付いていない諏訪は無視して「コチラです!?」と、店員は来た道を戻り始め、時枝もそれに続いた。とりあえず諏訪も倣うが、やはり訳が分からない状態なので時枝に説明を求める
「説明しろ時枝、何でそこまで慌てる必要がある?……そもそも今現在席を外しているのは鶴ヶ峰だけじゃねぇ。佐鳥の可能性だって…「それは無いに等しいです」……その理由は何だ?」
「佐鳥はあれでも気持ちの切り替えには長けて居ますし、例え気持ちの整理が出来ていなくても他人に迷惑をかけてしまう奴じゃない。だけど鶴ヶ峰さんの場合は……(今の彼女は冷静に判断出来る状態とは、…言い切れない。それ以上に何処か抜けている感覚もあるし、何より)……慣れない場所で一人、それは今までの経験からしても恐らく良くない筈です…違いますか?」
「!?…ヤベェな!?只でさえ今日アイツは…(危ない目に遭ってたのを忘れてた!!未遂も含めれば……"三回以上"はマズイ!!)兎に角今は鶴ヶ峰の安否確認が優先だ!……妙な事になってなきゃ良いがっ!?」
二人とも着目点は違うが"回数的"にも"精神的"にも今の柚紀は危ういと判断し、焦る気持ちを押さえつつ店員の後を追う。一階に辿り着き、数人の店員が集まっている場所に到着してそこで見た光景とは……
頭から身体全体がずぶ濡れになって座り込んでいる柚紀と、その近くに居る店長らしい男性が本当に心配そうに仕切りに話し掛けている。だが柚紀は、ソチラを見ずにそれも目を閉じたまま話をしている様に窺える。更に店長らしい男性の近くには、見るからに学生だと分かる男子がオロオロ落ち着かない様子で見つめており、手にはホウキとちり取りにゴミ袋。…よく見れば柚紀の周囲には何か煌めく小さな物体が散らばっている状態であった。更に照明のせいで定かではないが、柚紀の顔が些か赤くし何処か身体がぐったりしている様にも見えるのだった
「ハァー……だから、だよ。そうやって自分が今どんな状況かより、他人を気にして我慢する。…時枝は特にそれが顕著だ、……分からなくもないが、そのまま放置してみろ。…確実に鶴ヶ峰にバレるぞ?だがきっとそれをお前には訊ねない。……"自分のせい"だと察してしまう。それを是とするか?」
「……(フルフル)…それでは彼女の負担になってしまう。おれは【聞ける事なら何でも聞きたい、知りたい】と思う反面、【話せない、話したくない、…彼女には】と思ってしまう時もあります。おれは……きっかけや自分が動く理由に納得できなければ、中々行動に移せません、から」
諏訪と話ながら時枝は、何故互いに気持ちを自覚した後も佐鳥と協力関係を続けているかを考えていた。一見すると佐鳥が出過ぎた行動をして柚紀が傷つくのを防ぐため……でもあるが、実際は逆なのだ。常に他者と一定以上の距離を保ってきた時枝は、嵐山達や同性の同年代には比較的"自分らしく"接する事が出来ても、…同年代だが異性でそれも"特別な子"が居た事がなく対応法が分からないのだ。だから通常通り一歩引いた位置に居てしまい、後手に回ってしまうのが多々ある事を自覚している。……それでは駄目だと分かっていても
「ま、その点鶴ヶ峰は自覚しているから自ら行動をしている訳だ。…例え危険が常に隣り合わせであるのを知っていても、立ち止まる訳にはいかねぇ。……状況は刻一刻と変化している、立ち止まっていたら置いていかれる、それが悪い事じゃないが…アイツが置かれている立場がそれを了承しないだろう。だが時枝、…お前まで焦る必要はねぇぞ?」
「???どう言う事ですか?話の流れ的に"おれも変わる必要がある"と言われるかと思いましたが…」
「……変われるならその方が良い。だが、……直ぐには無理だろ。鶴ヶ峰だって無理していきなり変わったって訳じゃねぇ、…自分のペースを知っていてそれに従っているだけだ。それが他人より早いってだけで、俺達と何も変わらねぇんだ。……見誤るなよ時枝。アイツの本質を、動くべき・変わらないといけないタイミングを、一度のミスが……命取りになるぜ?確実にな」
"変わる必要があるが、急がない。だが必ずその時が来る"……それを伝えようと言葉を捻り出す諏訪。それをストレートに言わないのは柚紀や言実と接していて学んだ感覚を生かしただけだ。"命取り"は些か大袈裟な表現かもとは思ったが、重大さを伝えるにはこれが最適だと考えたのだ。……少なくとも諏訪は"命より大切なものがない"と思っているから。諏訪の言葉を聞いて考えながら階段を降りようとした時枝だが、下から何やら急いで駆け上がって来る音が聞こえてソチラ見ると、飲み会を始める前のひと悶着時に対応してくれた店員であった。諏訪もそれに気づき足を止めており、声を掛ける
「どうした?そんな血相変えて、……何かトラブルか?」
「あっ!!良かった!今お呼びに行こうかと…(ガバッ)誠に申し訳御座いません!!コチラの不手際と不注意で、お連れ様に多大なご迷惑をお掛けさせてしまい。…一先ず賠償関係を話す前に先に保護者の方に状況報告をと思いまして……」
「不手際?不注意?賠償?……一体何がどうな…「説明より先ずは案内をして下さい、…彼女の元に」は?時枝どうした??」
理解が追い付いていない諏訪は無視して「コチラです!?」と、店員は来た道を戻り始め、時枝もそれに続いた。とりあえず諏訪も倣うが、やはり訳が分からない状態なので時枝に説明を求める
「説明しろ時枝、何でそこまで慌てる必要がある?……そもそも今現在席を外しているのは鶴ヶ峰だけじゃねぇ。佐鳥の可能性だって…「それは無いに等しいです」……その理由は何だ?」
「佐鳥はあれでも気持ちの切り替えには長けて居ますし、例え気持ちの整理が出来ていなくても他人に迷惑をかけてしまう奴じゃない。だけど鶴ヶ峰さんの場合は……(今の彼女は冷静に判断出来る状態とは、…言い切れない。それ以上に何処か抜けている感覚もあるし、何より)……慣れない場所で一人、それは今までの経験からしても恐らく良くない筈です…違いますか?」
「!?…ヤベェな!?只でさえ今日アイツは…(危ない目に遭ってたのを忘れてた!!未遂も含めれば……"三回以上"はマズイ!!)兎に角今は鶴ヶ峰の安否確認が優先だ!……妙な事になってなきゃ良いがっ!?」
二人とも着目点は違うが"回数的"にも"精神的"にも今の柚紀は危ういと判断し、焦る気持ちを押さえつつ店員の後を追う。一階に辿り着き、数人の店員が集まっている場所に到着してそこで見た光景とは……
頭から身体全体がずぶ濡れになって座り込んでいる柚紀と、その近くに居る店長らしい男性が本当に心配そうに仕切りに話し掛けている。だが柚紀は、ソチラを見ずにそれも目を閉じたまま話をしている様に窺える。更に店長らしい男性の近くには、見るからに学生だと分かる男子がオロオロ落ち着かない様子で見つめており、手にはホウキとちり取りにゴミ袋。…よく見れば柚紀の周囲には何か煌めく小さな物体が散らばっている状態であった。更に照明のせいで定かではないが、柚紀の顔が些か赤くし何処か身体がぐったりしている様にも見えるのだった